第17話 内政ブースト
現状、俺のステータスはこうなっている。
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名前: アルト
嫁の人数: 2人(リリア、ノンナ)
戦闘能力: 255(C級)
内政ブースト: 2000(農100 / 工500 / 建設1400)
特殊技能:
◇四次元BOX
◇回復魔法マリッジ・ヒール
◇身躱し
◇風魔法カイザー・ガスト
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戦闘能力「255」。
今回の戦争で生き抜けたのは、明らかにリリアとノンナが結婚してくれたからだ。
初期の戦闘能力「5」じゃゲオドの鼻息だけで失神していただろう。
それから内政ブーストについて。
内政ブースト2000というのは「農」「工」「建設」の三項目にブーストをかけることができる数値である。
今は建設に1400も割り振ってある。
まずはとにかく「施設」を増やしていかなきゃ始まらないからな。
施設はそれぞれに、領民の能力向上、魔物の出現率低下、そして防衛力の強化といった効果がある。
まあ、基礎を固めるみたいな話だ。
「……出発前に仕込んでおいたんだ。そろそろ形になっているはずだが」
とりあえず現場へ行ってみるか。
こうして俺は戦争から館に帰るなり、さっそく出かけようとしたのだが……
「あーるーとー♪」
リリアが俺の右腕に抱き着き、ふんどしのお尻をぷりっとさせた。
「戦争お疲れ様〜」
ノンナは白いエプロン越しの大きな乳房を俺の左腕にぶつけてくる。
「お、おう……」
二人とも左右に俺の腕をつかんで離さない。
まあ、そりゃそうか。
戦争中ずっと放ってたんだもんな。
「ところで今日はお風呂を沸かしたんだよ〜」
「一緒に入ろ?」
え……
「マジか! ちょー気が利くじゃん」
これは嬉しい。
よくできた嫁たちじゃんか。
「わーい、僕も兄ちゃんとお風呂入りたーい!」
「よ……よせ、セラム」
背後に弟たちのそんな声が聞こえた。
一番下のセラムはまだ幼いが、次男のヨルセンは最近そういう気の使い方をする。
弟たちには申し訳ないが、俺ってば昔かたぎな男なので嫁には頭が上がらないのだ。
三人で風呂場へ向かう。
「ズボン、脱がしてあげるね」
「おう」
ノンナが前側から俺のベルトをカチャカチャと外す。
そして、リリアが後ろからズボンをズルっと脱がせてくれた、その時である。
「……ねえ、なんで女の子のパンティ穿いてるの?」
「へ?」
そう言われて下を見ると、ツーンっと張ったテントの上には赤いリボンが揺れていた。
しまったぁ!
結局あれからパンツ穿き替えるの忘れてたんだ!
「ふーん」
「アルトってHENTAIだったんだね……」
「待て! 違う! 話を聞いてくれ!」
俺は、王都でヤベえ女騎士に追われて王都を抜けてきたこと。
その時にやむをえず女装するハメになったことを説明する。
「そうなんだぁ」
「ほッ、わかってくれたか」
「もちろん。あたしたちはアルトにどんな趣味があっても好きだよ」
全然わかってくれてねえ(泣)
◇ ◆ ◇ ◆
ライオネ領主は地元へ帰ると、すぐに自ら朝ごはんを作り始めた。
もちろんコックは雇っているが、自宅にいる時は家族へ手料理を振る舞うことにしているのだ。
――ジュー……!!
オムレツがもうできる。
ライオネ領主は、三階の愛娘の部屋へ上がっていった。
「おーい、ステラ。パパだよー。今帰ったぞー」
そう声をかけるが少し様子がおかしい。
ドアを開けると、何やら部屋にネズミが出るらしくクローゼットから物音が聞こえる。
なるほど、ネズミが怖かったのか。
「じゃあそろそろ朝ごはんだから降りてきなさい」
「はーい」
ライオネ領主は娘の部屋の前でそう告げると、階下の食堂にプレートを並べていった。
やがて、螺旋階段から愛娘ステラが降りてきて、一家の朝食が始まる。
パンにハム、レタス、オムレツ、スープ……
伯爵は、スープを上品にすする娘を見ながら、ふと尋ねた。
「そう言えば、アルトリアちゃんは……」
「ひゅえ……!?」
「む、どうした?」
何故か、ステラがあわてたように咽る。
「べ、別になんでもないし……それよりアルトリアちゃんがなぁに?」
「いいや。ずいぶんステラと仲良くしてくれているようだな。どこに住んでいるんだ?」
「え? ええと……東の方かな」
「東? ライオネ領内か?」
「いや、違うんだけど」
領外で東と言えば……
「ダダリの子か」
「う、うん。まあ、そんなトコ」
ライオネ領主は少し考え込むようにヒゲをなでた。
「ステラ」
「は、はひ!?」
「もし、ダダリに何かがあった場合は、アルトリアちゃんはウチに避難させなさい。お前の友達だ。遠慮することはない」
そう言うと、ステラは首をかしげながらも「う、うん……?」と相槌を打った。
「領主さま」
そこに部下がやって来た。
彼はライオネ領主の後ろから、そっと耳打ちした。
「……ガゼット領主がいらっしゃいました」
「そうか」
ライオネ領主は立ち上がり、妻や子供たちへ向けて、
「お前たちはゆっくり食べていなさい。パパはちょっと仕事があるから」
と言って、食卓を去った。




