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死に損ないの世なおし 〜怨霊幼女編〜 【閻魔の代理執行人】  作者: まこマZ
地獄での出来事集 本編未収録エピソード蛇足1〜6 全6話
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地獄での出来事 蛇足4 『神々の禁忌』 (本編8話付近)

(本編からカットした地獄での出来事集を追加の蛇足として公開いたします。)


 俺がアニオタの端くれという事もあるからか、彼は本物の神様だと直感で感じた。


「申し訳ございません! 失言でした! われらアニオタ、世間様に何ら恥じる所などありません!」


「……そ、そうか……?」 

 アニオタ神様の目に少し希望の光が灯ったように見えた。


「そ、そうです! 自信持って行きましょう!」

「大丈夫かのぉ……」

「わ、わたしもアニオタの端くれ! ……つ、つまり貴方の信者のようなもの。だから、あ、貴方を信じます!」


 なんか信者だとか貴方を信じますとか……本当はあまり言いたくないセリフなんだけど……。

 でも、ションボリしてしまったアニオタのおじいちゃんを見て、少し励ましたくなってしまったのである。


 効果覿面でおじいちゃんの顔が明るくなった。

「おぉ! そ、そうか、信じてくれるかー!?」


「ハイ!」

「よし! 信じてくれたのなら話が早い。だからのぉ、わしらはちゃんとアニオタの縁で繋がっておったワケじゃ! 予知夢の唐突展開にもちゃんと関連性があったのじゃ!」

「な、なるほど……確かに……」

「そして、わしはアニオタ神! その根源たるアニメの存在を失う訳にはイカン! だから人類滅亡を絶対に阻止せねばならんのじゃ!」


 確かにアニメ死守は絶対だ!

 でも……人類滅亡を阻止するって……いったいどうやって……?


 ん?

「そういえば、ウエヤーマン様は神である今でもアニメを観てるって事ですよね!?」

「ハァ? 何をとぼけた事を言っておる! アニオタ神ともあろう者が常にアニメを観ずになんとするのじゃ!?」

「そ、そりゃそうですよね……。って事は神様の世界とか天国でならアニメが観られるって事ですね!?」

「勿論じゃ! あ、いやいや……何も天国だけではないぞ! 地獄でもほれ、TVやPCもあるしネットにつながっておるじゃろが!」

「そ、そうでした! ……そ、そうか……死んでもアニメは観られるんだ……!」


 感動のあまり、つい拳を握りしめてガッツポーズを決めている自分がいた。


「フォッ、フォッ、フォッ、当然じゃ! 無論、地獄の囚人の間は無理じゃが、刑期を終えればお主でもアニメを観ることができるようになる!」


「ほ、本当ですか! ……あ、ありがとうございます! ありがとうございます……」

 跪き、アニオタ神の手を取ってひたすら感謝の念を述べる。


「うんうん」

「……わたしも……アニメが観られるのは超絶嬉しいです!」

「うんうん……」

「でも、もし人類が滅んでこの世からアニメが無くなってしまうなんて、それこそがこの世の終わりです!」


「あの世も終わりじゃ!」

 アニオタ神様が机を叩いて言った。


「そ、それに、わたしには成人した子供たちもいます。彼らの為にも人類滅亡は絶対阻止です! 全面的に賛同致します!」

「おぉぉ! ありがとうのぉ〜。さすがアニオタ、想いは一つじゃ!」

「ハイッ!」


「……さて、ではどう阻止するかじゃが…………」

「……ハ、ハイ…………」


 アニオタ神様が真剣な表情になってこちらを見つめる。

「実はのぉ……わしが人間界に行って直接活動するようなことはできぬのじゃ」

「え? ……えぇっーー!? ど、どうしてなのですか!?」

「それが、現在の神界のルールなのじゃ。神が現世の地球に降り立って特定の勢力の為に活動する事は禁じられておるのよ。不文律の禁忌ではあるがの……」

「でも、神様って苦しい時に手を差し伸べてくれるものでは……?」

「まぁ昔はそういう時代もあったかもしれんがのぉ……。今はもうそういう時代じゃないんじゃよ……。お主やお主の周りで神に直接助けられたものはおるか? 神を見た者さえおらんじゃろ?」

「……は、はい……」

「そうじゃろう?」


 ん? 待てよ……。

「あ、あぁっ! い、いました! お稲荷様の使徒! ってか子孫? と、とにかくゲツという狐神族の子がいます!」

「おぉ! ホーッホッホッホッホー、あの子狐の事か!」

「は、ハイ! ……え? ご、ご存じで?」

「あの者はのぉ……わしの言うとる神々とは、またちと違うのよ……」


「そ、そうなんですか?」

 たしかに俗に言う神様という存在とは少し違うのは分かるが……。


「まぁ、それについては色々と複雑なんじゃ。また後日、話そう」

「……わ、分かりました……」


 ゲツにもまだ俺の知らない何かがあるって事か……。


 アニオタ神様が続ける。

「話を戻してじゃな。……そう、わしが言うとるのは俗に言う、ほれ……天からパアッ〜と降臨されたり、神社などでスゥッ〜と現れた後にありえんような奇跡を起こして人々を救ってくれる……。そんな神々との出会いのことよ」

「……い、イヤ……確かに身近な知り合いなどからも、そう言う体験について聞いたことは無いですね……」

「であろうが。……考えてもみよ、現世にどれだけの人間がおるのか……。神が人々の個々の案件に全て関わっていたら身が持たぬ」

「た、確かに……」

「それにのぉ、一方を助ければ他方に被害を与える事もある。そこに複数の神々が各々の目的で参戦すれば、それはカオス状態——いや、いつの間にか神々による大戦争を引き起こし、人類どころか六道や他の世界までぶっ壊れて正にカオスに逆戻りする恐れすらある!!」


 こ、怖っ……。

「なんか想像を絶する大事(おおごと)になるって事だけは分かります……」

「だから神々も自制し、現世に関与しない事が暗黙の掟になっておるのよ」


「……で、でも……やはりこれは緊急事態じゃないですか!? 人類存亡の危機なんですよ!?」

「いーや、それでもダメなのじゃ。確かにわしのように人間由来の神はたくさんおるが、そうで無い神々もおる。この世界は人間だけのものではないのじゃ」

「そ、それはそうかもしれませんが……」


「むしろ人間を邪魔だと思っている勢力もおるのじゃぞ!」

「え、えぇっ!?」

「さらに神の世界には生物由来でない原始的な神々も御座(おわ)す。そのような神々からすれば人類の進化と衰退など、無数に存在する惑星たちの壮大な歴史の中のたった一つの星で起こっているほんの一コマに過ぎない————」


「ちょ、ちょっとスケールが……」


「————ぅんにゃ! 星単位、宇宙単位で物事を捉える最高位レベルの神々にとっては『人類など、瞬く間の一瞬で生まれて滅ぶような存在』なのじゃぁぁーーーぁっ!!」


「————ヒョ、ヒョエぇ〜〜〜っ…………!」


 言いたい事を一気に(まく)し立てたからか、アニオタ神様が息を切らせていた。

「……ハァハァ……、……ハァ……、フゥ〜……、あ! す、すまんっ! つい興奮してオタクの早口みたいになっちゃって……」

「だ、大丈夫ですか?」

「ダイジョブじゃ…………。ゴ、ゴホンッ! ……ま、まぁそういう具合に根本的な存在理由や扱うスケールが我々とはかけ離れた恐ろしい神々もおるのよ」


「……ハ、ハイっ…………」


 ……


「……と言う事は、もしアニオタ神様が神々のルールを破り、人類だけに肩入れして他の勢力に影響を与えようものなら……。影響を受けた側を庇護する神々から恨まれ、さらにもし原始の神々の怒りに触れた場合はスグに消されてしまう可能性もあるという事ですね?」

「そういう事じゃ」


 しかし、このようにお互いに絶対不可侵というのであれば、そもそも神様というのは何のために存在しているのだろう……? 

 いや、元々はそうでは無かったが現在ではそうなってしまっているだけという状況か……。


「まぁのぉ、人類を存続させる為にわしが身代わりになるのは別に構わん。むしろアニオタなら望むところじゃ!! カッコいいしのぉ!」

「あはは……」

 この神様もしっかり厨二病を患っておられる……。


「しかし、その為にアニメを見れなくなるのは本末転倒じゃからのう……」

「確かに!」


 こ、これは一種のパラドックス!?


「だから、わしの代わりに人類滅亡を阻止する為に働く者が必要なのじゃ!」

「そ、それがわたし……と言う事ですか……」

「そうなのじゃ! 千造よ、わしの代わりに働いてくれぬか!?」


 アニオタ神は藁をも掴む勢いで期待に目を輝かせ、俺の目を覗き込んでいた。


 ……


 な、なんか、この流れ……やるしかなさそうだよね……。


 えーい、ままよぉっ!


「わ、分かりました! や、やります、やらせて頂きます!」

「お、おぉ!」


 って言うか、こういう言い方のほうが良いのか……?

「そ、そのお役目、是非ともこのわたしにお任せ下さいませ!」

「お、おおぉぉーーーっ!!」

「アニオタなら本望っす!」

「おうおう! うん、よくぞ申した千造よ! それでこそ我が信者!」


「は、ははぁーっ!」

 キ、キマった!?


 ……


 だけど……まだ問題がある……。


「……あ、あのう…………」

「なんじゃ?」

「あのですね……わたしには何の力も無いのですが、そんなんで本当にお役に立つ事ができるのでしょうか? ……さらに結局、具体的には何をすれば……?」


 こういう事って本来もっとヒーローとか超有能な人材に任せるべきでは……? っつーか、俺ってもう死んじゃってて……。

「それにわたし……今は霊魂で、まだこの地獄の囚人で……。刑期を無事に終えたとしても、その後、人間に生まれ変わって現世に戻れると決まっている訳でも無いのですが……その辺りの事はどうなるんでしょう……?」

 そ、そうだ、それに閻魔女王様からは刑期が終わったら使命を与えると言われてたんだった。


「フッフッフッ……それな……」


 アニオタ神は用意周到とばかりに不敵な笑みを浮かべていた……。


(地獄での出来事集 蛇足5 『閻魔の代理執行人』へ つづく)

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