民度が・・・
あれからコーンスープとおしるこの缶の底の粒を取る装置をテンちゃんに依頼した。
そういう魔法を作れって?
これ以上、使い道の限られる魔法を持つのは面倒なのだ。
できれば、魔力ではなく、簡単な器具で用を足したい。
とここで、本日最初のコールが鳴る。
「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」
「僕は異世界RPG世界で冒険者をやってます達樹と言います。」
「タツキ様ですね。ご用件をお伺いします。」
「僕の住む世界はネトゲの世界なんですが、民度が低くて怖いんです。どうにかならないものでしょうか?」
「中世ファンタジーの世界ですか?」
「そうですね。時代としてはそうです。」
「中世なら、それが普通ですよ。」
「確かに、現代日本と同じようにはいかないことは分かってるんですが、民度を下げているのはNPCというより、他の転生者なんです。」
「なるほど。転生者多数の世界なんですね。」
「はい。世界中の転生者がここにいます。言語だってバラバラなんです。」
「それは大変ですね。現地の言葉は何ですか?」
「NPCの話す言語は、転生者が最初に選択した言語に翻訳されるみたいで支障ありません。」
「転生者の言葉は自動翻訳されないのですか。」
「はい。ロシア語とかアラビア語が飛び交ってます。」
「それでは、自然と同国出身者でコミュニティが出来上がってしまいますね。」
「はい。日本出身者もある程度はいます。見た目はバラバラですけど。」
「元日本人でも金髪とか、性別を変えている場合だってあるでしょうからね。」
「そうですね。まあ、ゲームだと割り切れば、そこはどうにでもなります。でも、民度の低さはどうにもなりません。クエスト中の殺人事件なんて毎日何件も起きます。」
「ある意味、モンスターより脅威ですね。」
「ええ。街中だって命がけの喧嘩だらけです。みんなゲーム感覚なんですよ。」
「日本人だと大変ですね。」
「そうなんです。ヤツら、強さこそ正義ですからね。思考回路と価値観が中世から全く進歩してないんです。」
「それは日本人ならではの感じ方ですね。むしろ、ヒャッハーの方が世界標準ですよ。」
「人間の進歩って、遅いんですね。」
「ええ、何千年も続いてきたものが、数十年で変わるはずがありません。」
「じゃあ、やっぱり日本人で助け合うのが一番なんですね。」
「日本人にとってはそうでしょう。それに、転生者は前世の宗教観とか生活習慣も持ち越してますし。」
「じゃあ、彼らとはこれからも関わらないとして、NPCとはどうすればいいでしょう。」
「NPCはその世界においてはニュートラルな存在でしょうから、いい人を見つけて交友関係を持つのがいいと思います。」
「分かりました。それにしても、転生者って良い魂がスカウトされるものだと思ってました。」
「基本はそうですよ。ただし、集団転移とか、神様の手違いとか隠蔽工作とか、あとは深刻な魂不足なんかで今や例外が主流になりつつあります。」
「ヤツら、次は地獄行きですよね。」
「そうでしょうね。それと、タツキ様の世界はハンティングが主流の世界なのですか?」
「一応、ストーリーはあって、その達成を目的に活動している人も沢山いますけど、それは誰かが達成すればいいもんほなので、大半の人は自由に暮らしています。」
「では、モンスターとは必ずしも対立関係には無いのですね。」
「単なる捕食関係ですね。」
「では、例え相手がモンスターだからといって、面白半分に殺戮を繰り返すことは控えた方が良いですね。」
「ハンティングが主体のゲームなのに・・・」
「冥界の審判者にとって、奪った命がどの種であるかはさほど重要ではありません。数と理由により魂の判別をしているのですよ?」
「ああ、ウナギ屋がウナギの霊に祟られるヤツですか?」
「まあ、あれは霊障ですから違いますけど、快楽による殺害は最も大きな減点対象だとお考え下さい。」
「分かりました。気を付けます。」
「それでは、タツキ様の今後の幸せをお祈りしております。」
「では、失礼します。」
「あーし向きの世界ね。」
「アンタ、地獄に行くわよ。」
「まだ殺してないよ。」
「アンタはまだ捕まってない犯罪者みたいなものよ?」
「アッハッハ! 日の出の魔女ほどじゃないよ。」
「そういや、前よりは大人しくしてるそうじゃない。」
「そりゃあ、次あんなことになったら降格だかんね。」
「ミチコには効かない脅しね。」
「魔女って主任になりたいんだって。」
「さらにセンターの民度が下がる所だったわね。」
「大丈夫。あーしがいるから。」
いや、原因はアンタよ。
と言いたいところだが、か弱いモブは黙っとこう・・・




