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支援魔導師の神髄

 さて、そろそろクリスマス。

 またあの忙しさがやってくるが、ミチコが来るかどうか分からない。

 私もサボっていいかなあ・・・



「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「俺は魔導師のエルム。悩みがあって連絡した。よろしく。」


「エルム様ですね。ご用件をどうぞ。」

「私は支援魔法の使い手だが、私の魔法は少々使い勝手が悪い。改良したいと考えているが、出来るか?」

「魔術の存在する世界において、魔術は法則を持った自然現象です。ですから改良することは可能ですよ。」


「方法を教えて欲しい。」

「お客様の世界では術式で魔術を発動させますか?」

「ああ。」

「では、その術式の構文を変えることで、別の作用を引き起こすか不発になるでしょう。」

「そうか。やってみよう。」


「ところで、どんな魔術を使えるのですか?」

「一番得意なのは、二日酔いを解消させる魔法だな。」

「状態異常回復ですか?」

「まあ、その一種なのだろうが、二日酔い限定だな。お陰でいくら酒を飲んでも酔わない。」

「他には?」

「瞬きがすごく早くなる魔法とか声がビックリするほど大きくなる魔法。髪の毛がレインボーカラーになる魔法が使える。」


「瞬きが早くなると動体視力が上がるとかですか?」

「いや、そんな追加の効果は無い。だが、瞬きの時間短縮が一瞬の勝負を分けるに違いない。」

 紙一重で全く使えない魔法ばかりだ・・・


「つまり、いろんな魔法の亜種が使えると考えるといいみたいですね。」

「神様に、誰も持っていないような支援魔法をお願いしたんだ。確かに唯一無二ではあるんだけどな。」

「しかし、それでは戦闘も補助もできませんね。せめて、身体強化でもあればいいのですが。」

「あるぞ。男性限定で、女性には言えない所がやたら強化されるヤツが。」

「聞かないでおきます。」


「他にも、剣が炭化するまで燃え続ける魔法とか敵の魔法だけ威力増大させる魔法とか、ちょっと惜しいんだよなあ。」

「ちょっとどころではありませんね。よくそれで今日まで無事だったと思います。」

「まあ、我ながら良く頑張ったと思うぜ。支援魔法使いは、慎重さと工夫で生き残るもんだぜ。」

「しかし、ちょっと改良すれば強力なものばかりです。」

「そうなんだよ。使い勝手も良くなるし、何よりオールラウンダーになれそうだろ。」

「ええ、今の何一つ役に立たなそうな状態から劇的に強化されますね。」

「何か、超disられてんだけど・・・ 」


「術式の書き換えは、魔法の杖があれば可能です。」

「分かった。買って来る。」

「今はお持ちで無いのですね。」

「俺は杖無しで発動できるからな。」

「元々のポテンシャルは高いのですね。」

「ああ、今はチート級の無能だけどな。」

「マイナス部門のオンリーワンから正規のナンバーワンを目指して下さい。」

「ああ分かった。必ず誰もが認めるナンバーワンになってみせるぜ。」

 こうして電話は終わった。



「不思議な能力をお持ちでしたね。」

「神の悪意を感じます。」

「多分、良かれとは思っていたのでしょうが。」

「あれでですか?」

「何か、私たちでは及びも付かない深いお考えが・・・」

「それだけは絶対に無いと思います。」


 こんなことしないだけで、生存率は飛躍的に上がると思うんだけどなあ。

 やっぱり、悪意を感じる・・・


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