ステータス書き換え
最近ちょっと弛んできた背中周りを鍛えるため、プカプカ浮いていたら、次のコールが鳴った。
「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」
「俺、異世界で自由業をやってるジル・ウェイクっていうんだ。よろしくね。」
「ジル様ですね。ご用件をお伺いします。」
「いやあ、実は殺し屋に狙われてて大変なんだ。何か良い方法ない?」
「逃げるか依頼者と話を付けるしかありませんね。」
「できるんだったらそうしてるよ。」
「それにしても、自由業って珍しいですね。放浪者かニートですか?」
「放浪と言えばそうかもなあ。冒険者的なこともしてるし、街の掃除屋みたいなことも依頼を受けてやってる。とにかく、自由気ままにやってたんだ。」
「では、街の掃除屋関係で恨みを買ったんですね。」
「そうなんだ。俺、ステータス書き換えっていうチート持っててさあ。悪人や気に入らないヤツのステータスを書き換えてんだよね。」
またそんなぶっ壊れスキルを与えちゃってまあ・・・
「しかし、他人に介入できるタイプは珍しいですね。」
「そうなの? ステータス表示画面上の文字を一文字だけイジれるスキルなんだけど、弄りようによっては無効化や弱体化が簡単にできるからね。」
「例えば、どのように使うんですか?」
「レベル100の相手を000にしたら死んじゃった。」
「所謂0キルが出来るのですね。」
「あと、土魔法を士魔法とか、風属性を風邪属性とか。」
「魔法が一切使えなくなるんですね。」
「あと、ファイヤーウォークとか聖男とか愚者とか。」
「それは恨まれますね。」
「そうなんだ。それで殺し屋を大量に差し向けられちゃってさ。」
「でも、暗殺者を暗記者とかにするか、年齢の上の桁を9にすればいいのでは無いですか?」
「いやあ、俺のスキルって咄嗟には使いづらくてさあ。」
「確かにそうですね。そうなると、街中で怪しいスキル持ちは軒並み改変していくしかありませんね。」
「いや、無理だよ。一人に掛ける時間だって最低10秒は掛かる。」
「地道にやっていくか、遠くに逃げるしかありませんね。」
以前、スキル付与の方がいたが、彼は顧客を強力な味方にして身を守っていたが、彼は決して相手の不利益になるような技術の使い方はしていなかった。
そういうところなのだろう・・・
「まあ、すでに聖男にされてしまった方からは許されないでしょうから。和解は諦めて、戦うか逃げるかをハッキリさせるのがいいですね。」
「もう、今の国で平穏に暮らすのは無理か。」
「それが一番無難ですね。ところで、他にスキルをお持ちではないのですか?」
「ああ、これだけだ。だから、堅気の仕事は難しいんだ。」
「ダンジョンで稼げる世界なら、そこで活躍するかですね。」
「いやあ、あんまり戦闘向きじゃ無いから、不意打ち系なんだよね。それを活かし」
「同じ事の繰り返しですよ。」
「それじゃあ、せっかくのチート持ちなのに、勝ち組になれないな。」
「チート持ちであったとしても、転生1年後の生存率は13%ですよ。」
「そうかあ。大人しくするのが一番なのか。」
「細く長く頑張って下さい。」
「ところで、お姉さん神様か何か?」
「天使です。」
「天使のステータスでも書き換えられるのかなあ。」
「ああ、無理です。天界にはステータスはありませんから。」
「どうして?」
「神が嫌がるのですよ。格差反対だそうで。」
「確かに、全知全能に格差があるのはおかしいもんな。」
「個人的には、全知全能かつ無知無能な存在のステータスなんて、関心無いですけどね。」
「随分、毒を吐くね。」
「愚痴くらい言いませんと、自家中毒しますね。」
「天界も辛いんだね。」
「私も細く長くやってますよ。」
「分かったよ。参考にする。」
「では、お気を付けて。」
「ああ、ありがとう。」
こうして電話は終わった。
「やはり、異世界でも悪事を働かないのが一番です。」
「でも、異世界でも漢字を使うんですね。」
「彼だけが自在に使えるパターンと言語そのものが日本語のパターンがありますね。」
「名前はジルなのに・・・」
「それを突っ込んでいては、小説など読めませんわ。」
「そうでした。」
さっき毒は吐いたが、念のため豆腐のヨーグルト掛けもいただく。
プカプカ浮かびながら・・・




