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やっぱりこうなってた・・・

 さて二日後。出勤してみると、そこにあったはずの職場は半壊していた。

 前庭にはいくつもの巨大なクレーターがあり、建物もとても中には入れるような状態では無かった。

 あの建物、魔王の攻撃でも傷一つ付かないくらい頑丈なのに・・・


 職員は誰もいないので、片付け中の作業員に事情を聞いたら、昨日、二人の天使がこの世の終わりとも思える勢いでバトった結果、このような惨状になったそう。

 争った二人は近くの病院に入院中だそうだ。

 そこまで聞けば誰の何が原因かは良く分かったし、先輩とはいえ、見舞う義理も無いのでそのまま帰宅した。


 実は、あれほどの建物被害が出ても、実は一瞬で修復はできる。

 ただし、現場検証とか事情聴取があるだろうから証拠として保存されているに過ぎない。

 本当に、昨日休んでて良かった・・・


 そして、更に4日後。

 勤務再開の知らせを受けて出勤したところで班長に呼ばれる。


「いやあナターシャ君。本当に大変だったよ。」

「でも、班長だって時間外だったんでしょう?」

「日の出前の惨劇だったからね。しかし、早朝から呼び出されて大変だったんだよ。取りあえず、君も無事で何よりだ。」

「私はエラリー先輩共々、休暇中でしたから。」

「まあ、せめて君たちがいればある程度の抑止になったかも知れないと思うと、悔やまれるがね。」


 管理者なんだから、もう少し部下の安全確保に気を配って欲しい・・・

 と、呆れていたらコールが鳴った。

 らしくはないが、走って受話器を取る。


「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「私、異世界で科捜研に勤めています、沢木麻衣子と申します。」

「サワキ様ですね。ご用件をお伺いします。」

「私、科捜研の職員として13年努めてきたのですが、そろそろ飽きてしまいまして、再就職のご相談にため、お電話したところです。」


「転属願いを出せばいいのではないですか?」

「それが、警察の仕事はほぼ全て理解しておりまして、その、今さら新鮮な気持ちになれないのです。」

「それなら転職も一つの手ではありますね。しかし、科捜研はいろいろ楽しくてやり甲斐があるように思えるのですが。」

「でも、指紋やDNAなどの遺留品や防犯カメラの映像を調べて報告するだけの地味な仕事です。」

「そうですね。地道な努力が求められる裏方ですね。でも、有名な彼女は表にどしどし出てますよ。」

「あの方は特別です。警察で越権行為は御法度なのに、よくあんな真似ができるなと感心してます。」

「いつまでもお若いですしね。」

「あれこそ最新の鑑定技術で探るべきですね。」

「でも、まだ罪を犯してませんから。」

「残念です。」


「しかし、長い間同じ事ばかりしているので飽きたのでしょうか。」

「そうですね。長年やっていると、科学的手法を使う前に犯人が分かってしまいます。」

「素晴らしい刑事の勘ですね。」

「いいえ。長年培った学習能力の賜です。だいたい犯人役は、関係者名簿か顔を見れば分かるようになりました。」


「ああ、ストーリーに関係無くですね。」

「ストーリーはいつもだいたい同じですから。」

「主婦層がメインターゲットですものね。」

「被害者はいつも金持ち。犯人の動機は100%怨恨です。」

「海岸か海浜公園を張っていれば、だいたいそこでクライマックスですものね。」

「はい。最近はいつも先回りしてました。」

「そうですよね。息切れしてないですもんね。」

「私だってまだ息切れはしませんよ。アラフォーですから。」


「失礼しました。それで、転職先はどちらに?」

「取りあえず、不動産を取り扱っている彼と結婚して、それからゆっくりと考えたいなと思いますが、いかがなものでしょう。」

「その不動産屋は大企業なんですか?」

「彼が一代で築き上げたものですが、最近CMも打って知名度が高くなって来ましたね。」

「多分、事件の匂いがします。」

「大丈夫です。犯人の目星はあらかじめ付いてます。」

「それなら大丈夫ですね。では、早急に結婚しないと遺産にありつけません。」

「子供もですね。」

「アラフォーですから。」

「違います。そっちの意味ではありません。」


「しかし、科捜研の職員が一旗揚げてしまいました。」

「そうですね。何だかワクワクしてきました。」

「では、まずはプロポーズ頑張って下さい。」

「はい。明日すぐに辞表を提出してまいります。ありがとうございました。」

 こうして元気に電話は終わった。



「かなり個性的な方でしたね。」

「次の職場があるなんて、いいな~」

「あら、せっかくこのフロア、新築になったのに。」

「ミチコ、毎日暴れてくれればいいのに。」

「全治1ヶ月らしいわよ。」

「魔女はどうだったんですか?」

「彼女は全治3ヶ月ね。」


「ミチコ、強いんですね。」

「チーム全員で襲いかかったみたいよ。」

「それでも魔女に勝ったんですよね。さすがだわ。」

「まあ、来週からギブスを嵌めて出勤らしいけど。」

「来ますかねえ・・・」

「仕事は出来ると思いますわ。天使は丈夫ですから。」


 私も本気で次の仕事場探さないと。


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