ゲームの世界
さて、今日も夜食はヨーグルトと豆乳だ。
そのお陰か、最近お腹の中が白くなったような気がする。
いや、きっと美白とデトックスが相当進んでいるはずだ。
「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」
「もしもし。俺、VRMMO世界で冒険者をやってる、ジャレッドという者なんだけど。」
「ジャレッド様ですね。ご用件をお伺いします。」
「この世界、超テキトーなんだ。何とかならない?」
「バグならエンジニアに報告しますが、どのようなことでしょう。」
「まず、武器がコントローラーなんだよ。」
「それは仕様だと思います。」
「いや、確かにここは俺が前世で好きだったゲームの世界だけど、いくら何でも武器はそれらしい物を持たせてくれよ。」
「その世界には剣とか弓は無いのですか?」
「他の人間はちゃんと武器を持って戦ってるよ。俺だけコントローラーなんだよ。」
「剣はどうやって使ってるのですか?」
「メニュー画面で装備したら何か剣が目の前に現れるんだ。それをコントローラーで操作したら剣がそのとおり動くんだ。コンボ技もあるんだ。」
「慣れれば支障無いのでは?」
「いや、臨場感ゼロだよ。確かにゲーム画面はそうかも知れないけどさあ。ここ、リアルな世界なんでしょ?」
「そういう仕様だと思いますよ。できるだけリアルなゲームを再現した。」
「再現するの、そこかよ・・・」
そんなこと、私に言われても困る。
「それと、倒したモンスターがある程度時間が経つと消滅するんだよ。」
「環境に優しいですね。」
「自然の摂理に思いっきり反してるだろ。」
「まあ、ゲームではエンカウントし易いですから、消失してくれないと邪魔で仕方無いと思います。」
「それと、食べ物の味がしない。」
「味は無いでしょ。」
「味くらい付けてくれよ。」
「大丈夫です。栄養素はちゃんと含まれているはずです。」
「まあ、実際飢えてないし、アイテム欄を見れば何かは分かるけどな。」
「塩と砂糖の違いが分かれば、特に困ることは無いはずです。」
「どっちも無味無臭だけどな。」
「まあ、あくまでゲームの中なんですから。」
「あと、BGMをOFFには出来ないのか?」
「設定画面は出せないのですか?」
「そんなもんね~よ。」
「では、無理ですね。」
「せめて寝るときくらい静かにして欲しいよ。」
「静かなBGMじゃないのですか?」
「そりゃあ、スローで静かな曲だけど・・・それに毎日同じ曲だし。」
「寝るときの曲なんて、そんなに何曲も用意しませんよ。」
「あと、チーターがいるんだよ。」
「そりゃあ、ゲームですからね。」
「ホントムカつくよ。」
「でも、異世界転生にチート持ちは当たり前ですよ。」
「それが嫌でゲーム世界にしたのに。」
「そのチーターを何とかやり込めるのが、その世界の醍醐味では?」
「いや、ゲームだとざまぁだけど、ここでやると殺人だからな。」
「ゲームだと、あんなに喜んで倒してるのに・・・」
「いや、いくらモラルが崩壊した世界でも、それはさすがに抵抗あるぜ。」
「でも、ゲーム世界ならではのいいところもあるのでしょう?」
「アイテムボックスはいいよな。金とかどんな重い物でも楽ちんだし。後、ステータス画面って便利だよな。」
「一般的には非難の声も大きい仕様ですが、実際にはとても便利なものです。」
「そうだな。ヤツら、当事者じゃ無いから好き勝手言うけど、実際に命のやり取りをしてる生身の人間にとっては、死活問題なんだよな。」
「でも、それはゲーム世界だからこその恩恵ですので、悪い所ばかりで無く、良い所も評価してプレイして下さいね。」
「結局そう来るのかよ。」
「どの世界でも、良い所と不満な点、理不尽や不公平はあるのです。」
「分かったよ。最強目指して頑張るよ。」
「では、ジャレッド様のご健闘をお祈りしております。」
こうして通話は終わった。
「今度は○ソゲー世界でした。」
「まあまあナターシャさん。お下劣な言葉と口にしてはいけませんよ。」
「そうでした。つい、素が出てしまいました。」
「それが素なのは困りましたね。」
「養鶏場の娘ですから。」
「養鶏場の方は温厚な方が多いですよ。」
「副班長。生き物相手の仕事をしている人は優しいってイメージを持たれがちですけど、本当に優しい人はあれを捌いて食べたりしませんからね。」
「いくら何でも、出荷してるだけでしょ?」
「父は首ちょんぱしてました。」
「生命の営みね。」
副班長はとても上品でいい人だと思う。
天使目線だけど・・・




