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幕末の魔法剣士

 さて、私も欠勤して遊園地でゴーカートでも乗ろうかなと思ってると、次のコールが鳴る。



「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「拙者、幕末の世で人斬りをしておる、天見竜之進と申す。」


「アマミ様ですね。人斬りとはまた、物騒なものになりまあしたね。」

「拙者、非才の身ながら剣術に命を賭ける者。故に戦う術を持たぬ者は斬らぬ。」


「なるほど。では、ご用件をお伺いします。」

「うむ。拙者、新たな剣技を会得したく、何か妙案が無いかと思案の途中。何か拙者に良い策を授けてはいただけぬか?」

「そう言われましても・・・アマミ様はどのような流派で?」

「天見四元流を名乗っておる。」

「それは、どのような剣なのでしょう。」

「うむ。こちらに来る際に神より賜りし魔術を纏う剣術にて、火、風、氷、雷、光、闇を自在に操るもの也。」

「六つもありますが。」

「相手に手の内を明かす必要はあるまい。」

 チート持ちなのに、随分卑怯だ。


「それで、どんな技があるのですか?」

「うむ。今会得しているものは、灼焔爆烈剣、氷結脆砕剣、烈風疾刻剣、晴天霹靂剣、天光白眩剣、奥義宵闇の風の六つ。」

 何だろう、ちょっとダサい・・・


「所謂魔法剣ですね。」

「いずれも初見殺しの技である。」

「もう充分なのではありませんか?」

「普通の侍なら通常の剣術でどうにでもなる。しかし、この幕末の世には摩訶不思議な剣を操る者も多くての。先週は忍術を操るお庭番を始末したし、今日は分身の術を使う浪人と戦った。」

「つまり、異能バトルの世界なのですね。」

「左様。各藩とも異能者を抱えておる。」


「アマミ様もどこかに所属しているのですね。」

「うむ。基本は無所属なれど、元は柿岡藩士である。」

 どこ?


「まあ、それと強力なライバルもいるんですよねえ。例えば、刃が逆に付いてる刀を振り回す御仁とか。」

「志村軒殿か。あれは凄い・・・」

「いや、変なおじさんじゃないですよ。」

「うむ。拙者の中ではじゃない方扱いだ。」

「彼と対戦したことは無いのですか?」

「彼奴は今、都を拠点に暴れているようだ。拙者は江戸での依頼が多いのでまだ相まみえてはおらぬ。しかし、奴ともいずれは剣を交えることになろう。その際に備える必要がある。」


「しかし、あの卑怯な技の数々があれば、勝てるのではありませんか?」

「奴の剣には秘奥義まであるではないか。拙者は奥義しか持たぬ。今のままでは勝てぬのでは無いか?」

「いや、奥義か秘奥義かではなく、戦闘中に無駄話などせず、出し惜しみせずに最初から一撃必殺の構えで行けば、必ず勝てる相手だと思いますよ。」

「しかし、奴は追い詰められてからが強い。」

「それは、さっさと勝負を決めない敵方の落ち度です。勝てるタイミングで決めなければ、勝てるものも勝てませんよ。」


「それは確かに一理ある。では、どうすればいい。」

「せっかく遠距離技を持っているのですから、相手の視界を光りか闇で奪って烈風ナントカ剣で仕留めれば良いのでは?」

「烈風疾刻剣である。しかし、あれで人が斬れるのであろうか・・・」

 どんだけ弱いんだよ・・・


「大丈夫です。魔法ならある程度の威力は保証します。」

「そうだな。最大火力で出せばいいのだからな。しかし、それでも技の少なさは否めん。」

「では、闇の雷とか、小さな氷の刃を強烈な光で包むとか、相手の後ろから突然魔法を展開させるとか、いろいろ卑怯な手段を取ることができるではありませんか。」

「そなた、かなり卑怯よのう。」

 アンタに言われたくない・・・


「そうだな。重ね掛けなら、可能性は無限大であるな。」

 いや、無限大どころか2属性掛けだと15通りだろうけど・・・


「まあ、ネーミングは大変でしょうけど、新たな境地を開拓できることをお祈りしております。」

「うむ。かたじけない。」

 こうして電話は終わった。


「根はとても良い方のようでしたね。」

「小心者なのはよく伝わって来ました。」

「そういう方が、最後まで生き残るのですよ。」

「ああ、卑怯ですもんね。」

「頭脳プレイと言わないといけないのですよ。」

「頭脳はかなり不安ですね。」


 また、副班長に残念な目で見られた。


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