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あの神の愛し子

 呪いを解くのに手間取っていると、次のコールが鳴る。


「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「もしもし。私は異界で国王をしてます、ジュリアン2世と申します。」


「ジュリアン様ですね。ご用件をお伺いします。」

「私、国王なのに超貧乏なんです。どうにかなりませんか。」

「税金を沢山取るか、家臣から賄賂をもらえばいいのでは無いですか?」

「かなりの重税は掛けているのですが、先日も税金を役人が落としたとのことで、ほとんど収入がありませんでした。」

 まあ、かなり着服されたんだろうなあ・・・


「来年度、大変ですね。」

「毎日、残り物のパンを店からもらってきて生活してます。」

「国宝を売ればいいのでは?」

「そんな物、あると思います?」

「しかし、それでよく国家破綻せずに済んでますね。」

「極貧で借金だらけなのに、破産はしないようになってるみたいですね。」


「クーデターとか起きないんですか?」

「誰も欲しがりませんよ。負債も引き継ぐ訳ですからね。」

「しかし、どうしてそんな貧乏な国の王なんかになってしまわれたのですか?」

「はい。トラックに跳ねられて、雲の上のような所で神様に会ったのですが、それが貧乏神様だったのです。そして、私の希望通り王様にしてくれて、ご親切に加護も沢山いただいたのですが、その加護が強すぎるのだと思います。」


「どうせなら加護などもらわなければよかったですね。」

「いや、チートだとしたら欲しいじゃないですか。」

「欲は人を貧しくさせる毒ですよ。それで、どのような加護をもらったのですか。」

「食事を取らなくても死なない能力とDIYがとても得意になる能力。金属と紙限定で軽く感じられる能力と触った物を急速に劣化させる能力。それと子だくさんになる能力ですね。」


「貧乏になる要素しかないですね。」

「まあ、王様に必要かと問われると、少し疑問ですね。」

「少し所の話ではありません。違和感しかありません。」

「でも、金銀財宝に囲まれる生活なら、それが軽く感じられた方がいいですよね。」

「それなら紙ではなく、金属と石にするべきでしたね。」

「DIYが休日の趣味になりましたからね。」

「王様なら最高級の物を買うべきでしょうけどね。それに、触れた物が劣化するのは困るでしょう。」

「金や銀が錆びて朽ちたのは驚きました。」


「王妃様は無事ですか?」

「いやあ、どのみちいつかは」

「陛下。謝罪会見をしたくなければ、そのくらいで。」

「失礼しました。」

「とにかく、陛下と国が貧乏なのは神の加護で間違いありませんね。」

「まあ、薄々はそうでないかと思ってましたよ。」


「それで、具体的にはどのような実害があったのですか。」

「私が転生してすぐに父の後を継いで即位したのですが、直後に天災と不作で税収が減り、支出は増え、何故か宝物庫や金庫から金銀財宝が一気に無くなり、わずか2年で極貧生活に転落してしまいました。」

「鮮やかですね。」

「貧乏神様様です。」

「ふざけている場合ではありません。」


「ところで、何か脱却する方法は無いのでしょうか。」

「簡単です。陛下が退位すればいいです。」

「まあ、そうなりますよね。でも、退位した後、私はどうすればいいのでしょう。」

「敵国があるならそこに亡命すればいいのではないでしょうか。」

「ああ、敵国を貧乏にしてしまう作戦ですね。」

「食料が無くても大丈夫ですし、陛下が触れただけでお金も建物も朽ちてしまいみたいですし、最終兵器並の猛威を振るえますよ。」

「まるで破壊神のようですね。」

「とてもチート持ちらしくなりました。」

「自慢できませんけどね。」

「とても恐れられると思いますよ。」


「そんなことして地獄行きにならないですか?」

「物に触れただけで地獄には行きませんよ。」

「しかしまあ、こんなはずでは無かったのですが。」

「たまたまお亡くなりになった日が貧乏神様の担当日だったのが、不幸の始まりです。」

「いえ、そもそもトラックに跳ねられたことが・・・」

「いいえ。大きなチャンスだったのです。神ガチャさえ上手くいっていれば。何とも惜しいことです。」

「とても残念な結果だったことは激しく同意です。」


「いずれにしましても、このまま玉座に座り続けたところで、誰も幸せにはなりませんし、国を潰したら汚名が歴史に残ってしまいます。」

「分かってます。すぐに退位します。」

「では、陛下のご健勝をお祈りしております。」

「ありがとうございました。失礼します。」


「とても幸薄い方でしたね。」

「疫病神と貧乏神、おくされ様と嫉妬の神、竈の神。とにかく地雷原だわ。」

「そうね。ほぼ外れクジのガチャですものね。」

「私の後輩もですけど。」

「いいえ。私の方こそ、+ナターシャさんですから。」

「すいません。そのとおりでした。」


 副班長も解呪のスキルを極めた方が良いと思う。



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