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呪いの装備

 結局、スイカバーは1本強奪された。

 まあ、あのままウザ絡みされても堪らないので、必要経費と割り切ろう。



「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「私、異世界で勇者をしてますコンラッド・パルティウスという者です。」

「コンラッド様ですね。ご用件をお伺いします。」

「あの、呪いの指輪ってどうやって外すんでしょうか。」

「外れないタイプの物ですね。」

「はい。先日、ちょっとしたことで手に入れたんです。」


「呪いの装備と知っていたのですか?」

「いいえ。店主も弱い魔法効果はあると言ってましたが、まさか呪いとは思いませんでした。」

「効果がよく分からない物をむやみに身に付けるのはお止め下さいね。」

「ええ、反省してます。」

「それと、外せないタイプの呪物は、その目的を達成するか有効期限を過ぎないと、物理的に外すことはできませんね。」


「厄介ですね。解呪とか浄化はできないんですか?」

「相当な技術をお持ちの方が初歩的な呪物を解呪したり浄化するのは可能ですが、こういったものはとても複雑な術式や怨念を持っていることが多く、そう簡単ではないのです。」

「不可能ではないんですね。」

「原理があるものは必ず解けます。ただし、かなり困難です。」


「分かりました。でも、賢者と聖女でも無理だったんですよねえ。」

「お二人が今よりレベルが上がれば、できるかも知れません。ところで、あまり切迫感を感じないのですが、具体的にはどんな呪いを受けているのですか?」

「まず、平坦なところで必ず転びます。」

「動きにくい装備を着けているからではないですか?」

「トイレも近くなりました。」

「歳ですね。」

「まだ22です。それと、魔物のヘイトを集めやすいですね。あっ!そう言えば男性人気が落ちました。ギルドでも他の冒険者に絡まれることが増えました。」


「勇者に絡むのですか?」

「身の程知らずもいいところですよね。それと、勘違いが多くなりました。」

「それは呪いの影響では無いのでは?」

「いいえ。自室だと思ったら違うってことが頻繁に起きます。認識阻害でしょうね。」

「精神系の呪いが多いようですね。」

「はい。それに、私の顔を長い時間見ていると酒に酔った時のような気になると言われました。これが一番困りますね。」

「魔王討伐にうってつけのようにも思えますが。」

「いや、自制心を失って最強になってしまうリスクの方が高いですよ。」


「でも、聞くと確かに大した呪いではありませんね。」

「そうは言いますけど、呪いのアイテムなんでしょう?」

「ええ。自力で外せないという時点で呪物確定です。でも、呪物というよりは質の悪いパーティーグッズ感がありますね。」

「例えば?」

「だって、不意に転んだり、意図しないドアを開けるんでしょう。」

「はい。」

「それってラッキースケベ製造機と言えません?」

「言わないでください。」


「魔物だってきっと全部オスだと思いますよ。所謂、羨まけしからんというヤツです。」

「いいえ。時に命に関わりますから呪いです。」

「女性を酔わせて。」

「トイレが近いです。」

「そこだけはささやかな呪いっぽいですね。」

「これって・・・」


「まあ、勇者であればその程度、大したハンデでは無いでしょう。自然に外れるまではいいのでは?」

「嫌なんですけど。」

「それにしても、こんな物、どこで手に入れられたのですか?」

「いや、その・・・」

「どうせロクでも無い所でしょう。」

「いえ。普通の家です。」

「まさか、タンスを勝手に漁ったんじゃないでしょうね。」

「いやそれは・・・勇者だから。」

「窃盗犯です。自業自得です。」

「ごめんなさい。反省します。」


「まあ、それでラッキーアイテムを手に入れたのなら、それで良しとしなければ。」

「ついにラッキーって言っちゃいましたね。」

「趣味は最悪ですが、男の夢ですね。」

「はい・・・」

「まあ、せいぜい聖女に見限られない程度にして下さい。」

「分かりました。失礼します。」



「どうせあーしを呪いの装備だといいたいんだろ?」

「分かってるなら仕事しなさい。それと、スイカバーくらい自分で買いなさい。」

「無理だよ。あーしの給料は全部バイクにつぎ込んでるって言ったっしょう?。」

「タイヤが輪ゴムなのに、そんなに掛かるの?」

「掛かるよ。こないだ事故ったし。」

「カブなら安いんじゃ無いの?」

「いや、250CCだし。」

「もうちょっと入るかと思ってた。」

「燃料タンクの話じゃないっすよ。」


 ミチコの呪い、早く解けないかなあ・・・


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