第66話 ドキドキ!野球拳タイム!
「私とノーシャが野球拳?誰の得にもならないじゃない」
なるんだなこれが、主に僕の。
「そうですよ、野球拳なんかではこの鬱憤は晴らせそうにありません、やはりここは女同士殴り合いが一番なんですよ」
「そうだろう、だからこの野球拳―――――――僕も参加する」
「なん……ですって?」
「そんなことが……?」
二人の目が見開かれる。
「大丈夫なの?あなた、あの、伝説の野球拳をやろうというのね」
「そうだ」
「エロ漫画でしか見たことがない、あの野球拳ですか」
「そうだ」
すると二人は顔を見合わせて、意味深に頷きあった。
「仕方ないわね、ここは、それで我慢しておきましょう」
「私も引きましょう、いえ、なにも野球拳がやりたいというわけではなく、ここで引かねば女が廃ってしまいますからね」
「そうか、ありがとう」
「じゃあ、いくわよ」
「やりましょう」
「ああ、やろうか」
三人、示し合わせたかのように部屋の真ん中に集まり、それぞれ目を合わせる。
その目は皆、一様に真剣であった。
一人は、空から強襲する鷹が如く。
一人は、狙った絶対に獲物は逃がさない、猫の如く。
一人は、その蛮勇をもって、強者に立ち向かう小動物の如く。
しかし、皆の思惑は一致していた。
男・女の生まれたままの姿が見たい…
ただ、それだけ。
その目的を果たすべく、三人は動き出す……!
「はい!やーきゅーう!すーるっなら!」
「こーいう具合にしやしゃんせー!」
「はい!アウト!セーフ!よよいのよい!」
勝った。我が右手に感謝。
ノーシャも勝ち。アムエルのみが負けた。
ほら、ぬーげ!ぬーげ!
「なんかうれしそうですね」
「勝負事に勝ったら、うれしくなってしまうものさ」
「なるほど確かに」
「まだ、これからよ」
二戦目、負けた。
アムエルは再び負け、ノーシャの一人勝ちであった。
まず、靴下を脱ぐ。
「そのおみ足で踏まれてみたいですねぇ!」
「変態め」
「まさか、また負けるなんて…」
アムエルは着ていた部屋着のシャツを脱ぎ、タンクトップ姿になった。黒に、赤いレースが付いている、上品だがどこか色気を感じるブラが透けて見える。
うーん、良い!なんだかんだ素っ裸よりも服を着ている時の方がやっぱりエッチ!
「女子の薄着姿を見てもうれしくないんですよね」
「あたりまえじゃない」
君らはそうだろうね、僕は違うが。
三戦目
いや、また負けた。
今回は僕の一人負け。
「なんだ、ノーシャお前、いかさまでもしてるのか」
「いえ、してませんが」
「やっと勝てたわ…」
僕は部屋着として着ていたパーカーを脱ぐ。
風呂上りなので、パーカーの下はシャツ一枚だ。
脱いだ瞬間、ノーシャから歓声が上がる。
「いいですねぇ!いいですよぉ!」
「くっ、賛成した手前、文句を言うのは道理ではないけれど、旦那のあられもない姿を他の女に見られるのは、なかなか来るものがあるわね」
四戦目
また負け。
なにかおかしい。もちろんじゃんけんで四回連続で勝つことは頻繁ではないにしても、ないこともないと思うが。
なにか引っかかるんだよな。
「ウホホイ!ウホホイ!さっさと脱いでください!」
ノーシャはもうハイになって、飛び跳ねている。
「あなた、本当になにもしていないんでしょうね?」
アムエルも疑っているようだ。きっと引っかかるものがあったのだろう。
いままでのじゃんけんを思い返してみる。
……こいつ、不自然にいつも僕の方、というよりも、僕の手を見ていなかったか?
次はよく見ておこう。




