第13話 三件目
「到着まであと六分です」
折原の声に、鳴瀬千尋は前方を睨んだ。
八汐レイクホテル。
江口壮真、朝比奈由莉。
二人とも連絡がつかない。
今度は事件が起きる前に危険を知っていた。
それなのに、間に合わないかもしれない。
現地へ到着。
二人の車はある。
本人はいない。
千尋は朝比奈由莉のノートに目を留めた。
《一部屋多い?》
ホテル内へ。
312号室。
切れた電話線。
さらに従業員区域で、図面にない隠し通路が見つかる。
地下へ進むと、床には二人分とは別の作業靴の跡。
さらに奥のシャッター。
その向こうは裏手のサービスヤードだった。
そして地面には、
大型車の新しいタイヤ痕。
「人が出入りしてる」
表から見えない管理道路。
車両を横付けできる。
由莉のノートにはさらに、
《図面より内部が広い》
《旧管理区画?》
《搬送用?》
千尋がその文字を見ていたとき、
建物内から、
カン。
一回。
「内部確認!」
数秒後。
カン。
二回。
全員が三回目を待った。
来ない。
その夜。
江口壮真。
朝比奈由莉。
二人とも見つからなかった。
これで六人。
霞ヶ瀬。
二日後に戸鳴。
さらに二日後、八汐。
捜査本部で千尋はホワイトボードに書く。
一日目。
三日目。
五日目。
「四十八時間」
折原が言った。
千尋は頷く。
「誰かが規則を作ってる」
そしてもう一つ気づいた。
八汐では、現場で金属音を二回しか聞いていない。
江口たちが残した音声データを解析する。
女の声。
《次は、あなた》
その直後。
非常に小さく、
カン。
三回目。
霞ヶ瀬。
戸鳴。
八汐。
三地点すべてで、
失踪直前に三回鳴っていた。




