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また、明日。  作者: 蒼空


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24/28

第二十四話  『最初の世界』

人は、

過去をやり直したいと思う。


でも本当に苦しいのは。


”やり直して救えなかった過去”を、

何度も見続けることなのかもしれない。

屋上に、

熱い風が吹いていた。


でも。


誰も動けなかった。


「......最初の世界の、

  梨乃?」


悠真の声は、

掠れていた。


白い少女は、

静かに笑う。


「そう」


その目だけが、

異様に冷たかった。


「一番最初に、

  全部壊れた世界の私」


蝉の声。


遠くの空。


でも。


その場だけ、

世界から切り離されたみたいに静かだった。


「......意味わかんねえよ」


悠真は、

頭を押さえる。


「なんで、

  梨乃が二人いるんだよ」


少女は、

少しだけ空を見上げた。


「だって、

  壊れたから」


「......は?」


「君が、

  世界ごと」


その瞬間。


頭の奥に、

激しいノイズが走る。


『嫌だ』


『終わりたくない』


『まだ、

  梨乃といたい』


病院。


白いベッド。


泣いている梨乃。


そして。


死にかけの自分。


「っ......!」


膝が震える。


思い出したくない。


でも。


記憶が、

勝手に流れ込んでくる。


『......ごめん』


最初の世界。


病院の個室。


悠真は、

酸素マスク越しに笑っていた。


『たぶん、

  もう無理っぽい』


ベッドの横で、

梨乃が泣いている。


『嫌だ』


何度も。


何度も。


首を振っていた。


『まだ、

  一緒にいたい......!』


その声が、

胸を締め付ける。


でも。


悠真は、

もう長くなかった。


だから。


笑った。


『また明日』


その言葉。


ただ、

梨乃を安心させたかっただけだった。


でも。


梨乃は、

泣きながら叫んだ。


『明日なんかいらない!!』


その瞬間。


世界が、

壊れた。


「......っ!!」


悠真は、

現実へ引き戻される。


呼吸が乱れる。


「なんだよ......

  それ」


白い少女は、

静かに悠真を見る。


「梨乃のお願いと、

  悠真くんのお願い」


風が吹く。


「二人の”終わりたくない”が、

  重なった」


その声は、

どこか悲しかった。


「だから、

  世界は止まったの」


静寂。


梨乃が、

震える声で呟く。


「......私は、

  ただ」


涙が落ちる。


「悠真に、

  生きてほしかっただけなのに」


その瞬間。


空が、

ノイズ混じりに歪んだ。


黒いヒビが、

空一面へ広がっていく。


「......っ!」


悠真が顔を上げる。



まただ。


世界が、

崩れ始めている。


白い少女は、

その空を見ながら小さく笑った。


「ほらね」


「......何がだよ」


少女は、

静かに振り返る。


そして。


今までで一番、

寂しそうに笑った。


「この世界、

  もう限界なんだよ」


その瞬間。


校舎全員が、

大きく揺れた。


悲鳴が響く。


窓ガラスが割れる。


空の向こう。


巨大な”目”が、

ゆっくり開いていた。


『エラー再発を確認』


『最終修正を開始します』


その声に。


白い少女だけが、

小さく笑う。


「......来た」


悠真は、

拳を握る。


「おい」


少女を見る。


「お前、

  全部知ってんだろ」


「......まあね」


「なら教えろよ」


胸が苦しい。


でも。


今度こそ、

逃げたくなった。


「どうすれば、

  梨乃を救える」


その瞬間。


少女の表情が、

初めて揺れた。


そして。


彼女は、

静かに言った。


「ーー”最初の23時46分”へ行くしかない」


時間が止まる。


「......最初の」


少女は、

ゆっくり頷く。


「全部が始まった夜」


空の”目”が、

こちらを見下ろしている。


その中で。


少女は、

泣きそうに笑った。


「今度こそ、

  ちゃんと終わらせよ?」

第二十四話読んでくださってありがとうございます!


今回は、

”最初の世界”と、

ループ誕生の瞬間を書いてみました。


そしてここから、

物語はついに

”最初の夜”へ向かっていきます。

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