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第二話: 非現実の楽しいサバイバルの始まり

というわけで、私は今、人影のない砂浜に立ち尽くしている。

ここはどこかの海岸か、どこかの離島か。無人島ではないよな…いやさもありなん…

一人自問自答するが、波の音以外に返事はない。


「…考えても始まらないか」

ふと海に目を向けると水平線に沈みゆく夕焼けがあまりに美しかった。

状況は悲惨の一言に尽きるが、この美しい景観に見惚れてしまう。

いや、このままだと夜になってしまう。感傷に耽っている時間はない。

体は濡れていて寒さを感じ始めていた。

暖を取れるようにしないと。

足元で横たわったままの少女を見る。細身の体は濡れたワンピースに包まれて寒させいか青白い。私は自分の上着を脱ぎ、そっと彼女に掛けた。濡れてはいるが何もないよりは幾分ましなはずだ。


救命胴衣に付属していた救命袋の中を漁ると中にライター、アーミーナイフ、ビニール袋に紐、数日分の非常食、石鹸、携帯浄水器、笛が入っていた。ライターは少し湿っていたが、何度か擦ると小さな火花を撒き散らして点火した。火種はあるからあとは燃料だ。


原生林の入り口へ向かい、乾燥した枯れ枝や落ち葉を手当たり次第にかき集める。それらを砂浜の中央に積み上げて、ライターの火を落ち葉へ移す。

小さな火のゆらめきが枝へ燃え移っていく。オレンジ色の光が私たちの周囲を温かく照らし出す。

その暖かさに触れると張り詰めていた緊張が少し溶けていき落ち着きを取り戻す。


夜分にも燃やし続けられるようにさらに大量の枝と葉を持ち込み、足跡のキャンプ地を作る。

次に着手したのは水だ。携帯浄水器に海水を通し、ビニール袋に溜めていく。

慎重に一口飲んでみる。

「…おいしい」

濾過されただけの水が、五臓六腑に染み渡る。生きているという実感が喉を通る水の感触と共に全身に広がった。


「…あれ、あれ、ここは…?」

背後で小さな鈴のような声がした。少女が上体を起こし目を丸くして周囲を見渡している。

目が覚めたら知らない砂浜で、焚き火の前で見知らぬ女がビニール袋で水を啜っているのだ。

そりゃ驚く。


「目が覚めましたか?気分は大丈夫ですか?」

私はなるべく不審に見えないように努めて穏やかな声で話しかけた。

「へ…?服が濡れて…あ、ちょっと寒いかも」

少女は私が重ねた上着をぎゅっと抱きしめ、おぼつかない足取りで焚き火へと寄ってきた。

「着替えはないから、火に当たって乾かすしかないです。私もそうやって半分乾かしたところ。」

冗談めかしていうと、少女は驚いたように目を見開いた後、ふわりと花が開くような笑みを浮かべた。

「ふふ、そうですね…ありがとうございます。」

その可愛らしい表情に私の心まで温められた気がした。

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