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小猫と親鳥  作者: かすみづき
EXTRA 婚約から始まる話
57/59

1621-1650

1621『ひとりめし』

「話は小脇に抱えるのをやめてからね」

「然しだな」

「コノリさんは、小脇に抱えられてないと逃げるの?」

「その予定は多分ありませんね」

「多分?」

「ありません」

「よろしい。じゃあユンちゃん」

「何だ」

「コノリさんに逃げられるって心配以外で小脇に抱えてないといけない理由はあるの?」

「無いな」




1622『溶けたバニラアイス』

「どうしても放すのがイヤなら抱っこしてあげて」

「あ、おとなしく放した」

「そんなに抱っこは嫌なの?」

「己の男親を抱き抱えたい息子はこの世に存在せんのではないだろうか」

「そこまで?」

「僕も嫌だなあ」

「ランまで」

「息子に抱き抱えられたい父もそういないと思いますよ」

「コノリさんまで!?」




1623『おはよう』

「父と息子って複雑なのね」

「物凄くシンプルな話だと思うよ」

「ふーん?」

「分かってないね、マオ」

「あたしは父でも息子でもないもの」

「それもそうか」

「さて、コノリさんにユンちゃん」

「何でしょう」

「何だ」

「おはようございます」

「そういえば挨拶してなかったね」

「マイペースな夫婦ですねー」




1624『私の幸福論』

「ふふふふふうふじゃないわよまだ!」

「はいはい、そこ突っ込み出したら話が進まないから止めてね」

「承知した」

「有難う。じゃあとりあえずご飯食べに行こうか」

「先に話を終わらせないんですか?」

「知らないの? おなかが減ってるとロクなこと考えないし、おいしいもの食べたら頭もよく働くのよ」




1625『図書室の片隅』

「だからって飲食厳禁の図書室に食糧持ち込んだやつがいた件は驚いたけどね」

「実は自殺志願者だったんじゃないかって噂まで流れてたあの事件ね」

「実際は周りの見えなくなるタイプの学者さんだったらしいけどね」

「火気よりはマシではあるけど、よりにもよってあそこの司書さんにケンカ売るなんてね」




1626『茨姫は目覚めない』

「食事は良いのか?」

「そうだった。マオ、熱はどう?」

「平気」

「頬の赤みはひいたけど……部屋で食べようか」

「過保護よ」

「コノリさんについて話すなら、余人は居ない方が良いからね」

「その問題があったわね」

「じゃあ、僕が適当に調達してくるから、マオは部屋で待機」

「やっぱり過保護じゃない」




1627『風鈴』

「つまり、どういうことなの?」

「鳳凰種になろうとしたら不死鳥になっちゃったって事かな。不死鳥と鳳凰種って同一視される事もあるから」

「不死鳥って縮むものなの?」

「不死鳥は定期的に炎に飛び込んで新しい肉体を得ているっていう伝承があってね」

「それが適応されちゃったの?」

「そうらしいよ」




1628『眼鏡を外して』

「それなら鳳凰種じゃなくて不死鳥種じゃ……不死鳥種とかいるのかしら。聞いたことないけど」

「多分居ないんじゃないかなあ」

「根拠は?」

「死なない生き物って時点で矛盾してるから」

「精霊は?」

「精霊は世界の端末であって、自我はあるけど生き物じゃないから」

「それがイマイチ分からないのよね」




1629『つまらない映画(舞台)』

「精霊についてはまた今度ね。今はコノリさんだから」

「そうね、話がズレてたわね。それじゃあコノリさんとユンちゃんは、ランに何を手伝って欲しいの?」

「縮んだ親父殿を成長させるすべの有無についてだ」

「何度も縮んでるなら、自然と育ってるんじゃないの?」

「それを速められんものかとな」




1630『5:55AM』

「大人じゃないとマズい問題でも出たの?」

「ユンの御母堂を止められるヒトが居ないんだって」

「ユンちゃんのお母さまって、元々鳳凰種よね?」

「でも元精霊のコノリさんより奔放らしいよ」

「そもそも精霊って奔放なの? お姉さまはそうでもなかったけど」

「彼女は契約者と共に居られれば満足だから」




1631『幸せですか?』

「精霊のお知り合いがいるんですか」

「コノリさんが声までかわいい」

「までって何ですか」

「だって見た目は文句なしにかわいいもの」

「一応、お嬢さんより遥かに年嵩ですよ」

「見た目のかわいさに年は関係ないのよ」

「女性が子供に庇護欲を抱くのは、仕方のない事ですよコノリさん」

「一理ありますね」




1632『癒しの場所』

「だっこしていい?」

「駄目」

「それはちょっと」

「コノリさんはともかく、ランまで」

「娘御よ」

「何、ユンちゃん」

「節操は持て」

「持ってるわよ失礼ね」

「伴侶が決まっておるのに他の男を抱き締めたいと言うのは、無節操の部類だぞ」

「子供でも?」

「これは精神的には最年長だ」

「そういえばそうね」




1633『眠すぎる』

「気を付けるけど、今のコノリさんをかわいいと思うのはしようがないと思うの。だってかわいいもの」

「お嬢さん」

「なぁに、コノリさん」

「なぜ頭を撫でるんですか」

「かわいいから」

「うわぁ、完全に対子供モードだ。悪気が無いからか、コノリさん対応に困ってるなあ。あ、眠そう」

「体力は子供故な」




1634『合鍵』

「やむをえませんね、我が子よこれを託します」

「心底託されたくはないが、止むを得ないか」

「子ども体力が、にくい」

「あ、寝た」

「お互いにものすごく嫌そうだったけど、何を受け取ったの?」

「お袋殿発見器だ」

「発見器」

「我がお袋殿は果てしなく自由な御仁でな、行方が分からん事も多々あるのだ」




1635『手紙が届きました』

「この上なく嫌そうな顔してるけど、探すんだ?」

「放置した方が拙いからな」

「それは御愁傷様。で、マオは急に黙ってどうしたの?」

「いや、連絡がつかないのってよくあることじゃないのかなって」

「鳳凰種ではよくある事だけど」

「そうじゃなくて。うちの父さん、年に一度は生死不明になってたから」




1636『黒髪』

「ちなみに、最長期間はどれくらい?」

「半年くらいかしら。一ヶ月連絡がなかったら母さんが捜しに行くから、二ヶ月以上かかることはそうなかったけど」

「軍神のトラブル遭遇頻度が知りたいような知りたくないような」

「それは本人に訊かないと分からないわね。一日不在くらいじゃ気にしなかったもの」




1637『あなたにしてあげたいこと』

「いっそ吉祥さんが四六時中張り付いておけば、トラブル回避できるんじゃない?」

「ランに言わなかった?」

「何を?」

「母さんの豪運より、父さんのトラブル吸引力の方が上なのよ」

「……まじで?」

「大マジよ。じゃなかったら、結婚した時点でトラブルと遭遇しなくなるはずでしょ?」

「それもそうか」




1368『私だけのあなたでいて欲しいよ』

「でも母さんの豪運が父さんに影響はしてるみたい」

「トラブル遭遇回数か危険度が低下したとか?」

「どっちもハズレ。悪運が補強されるんだって。それも父さんの悪運のうちかも知れないけど」

「というと?」

「母さんがね、アタシと居れば平和なら閉じ込めれば解決なのにねぇ、とそれはもう残念そうに」




1639『花冠』

「残念そうに」

「うん」

「えぇと、吉祥さんも一緒に行動するとかじゃあ駄目なの?」

「絶対一度ははぐれちゃうんだって」

「はぐれちゃうのかあ」

「うん」

「ちなみに、閉じ込める発言に対して軍神は何て?」

「えっとね、安全圏でじっとしてても何の解決にもならんから却下だな、って言ってた」

「男前!」




1640『何度でも』

「それは男前なのか?」

「最愛の相手から自分を閉じ込めたい発言をされてもさらっと流せてるのは、大人の余裕が感じられない?」

「当方にはよく分からんな」

「鳳凰種は分かるヒトの方が希少だと思う」

「ランを一人で閉じ込めたら逃げ出しそうだけど、あたしが引きこもったら一緒に居てはくれそうよね」




1641『昔はあんなに可愛かったのに』

「えぇっと、マオさん?」

「ランってあたしに対してときどき敬語になるわよね。どうして?」

「なんとなくです」

「ふぅん?」

「そんな事より、マオは引きこもる予定があるの?」

「ないけど」

「僕を閉じ込めたい願望とかあるの?」

「ないわよ」

「じゃあどうしてそんな事言い出したの」

「ふと思っただけ」




1642『私は諦めない』

「ふと僕を閉じ込めたら逃げ出しそうだと思ったと?」

「ちょっと違うわ。ランはじっとしてるの嫌いそうだけど、あたしがじっとしてたら付き合ってとどまるくらいはしてくれそうだなって思ったの」

「あー、成程」

「でも、あたしがそんな気がするってだけなのよね」

「ん?」

「ランは付き合ってくれる?」




1643『悪魔でもいいよ』

「うーん、時々出稼ぎに出ても良い?」

「……ランって、そういうことじゃないのよ! って女性に怒られたことない?」

「いや、えーと」

「別に怒らないから安心して。むしろランらしいなと思うわ」

「傍に居たくないって訳じゃなくてね、生活費の捻出とか考えるとどうしても」

「だから怒ってないってば」




1644『朝鳴くカラス』

「ランらしい答えだと思うわ」

「それは怒ってるの怒ってないの?」

「だから怒ってないってば。それともランは怒ってほしいの?」

「断じて違います」

「また敬語ね」

「気にしないで」

「気にしないでほしいならそうするけど、頻繁に敬語になられると寂しいわ」

「善処します」

「それ断り文句じゃないの?」




1645『サンドイッチ』

「適切な処置を施す事を約束します、という意味で使ったけど、それ以外があるの?」

「がんばるけど力及ばずのときはごめんなさい、みたいな意味よ」

「それ、頑張るの定義が発言者任せだよね。何もせずに頑張りましたと言っても、通ってしまいかねないよ」

「それが狙いの言い回しだからそれでいいのよ」




1646『芽吹いたもの』

「マオ、そんな何かをすりぬけるような言い回しをどこで覚えたの」

「うちの親の自称舎弟」

「自称なんだ……」

「自分の主人は軍神だぞって言っとくと無理無茶無謀案件押し付けられるのが三件に一件くらいは減るから便利なんスよぉ~五件に一件くらいは難易度上がるっスけど、って言ってた」

「強かだね」




1647『自分の《 武器》は、常に磨け』

「ちょっと気になるんだけど。それ、減った件数に見合う難易度の案件が来てるだけで、実質の大変さはあまり変わらないんじゃない?」

「母さんもおんなじこと言ってた」

「軍神は?」

「件数が少ない方が楽だろって、不思議そうにしてたわ。父さん的に難易度は問題じゃないみたい」

「完全に麻痺してるね」




1648『焦燥感とプライドと』

「一日で終わる仕事が十あったら数日かかるけど、十日かかる仕事一件なら九日は暇って言ってた」

「十日かかる仕事は一日で終わらないものなんじゃあ」

「ドラゴンの鱗が必要だとするじゃない?」

「え、うん」

「知り合いのドラゴンを訪ねて鱗を譲ってもらうのがうちの父さんだから」

「ご免、分からない」




1649『噴水の水飛沫』

「ドラゴンの鱗が欲しければ、まずはドラゴンの居場所を突き止めてから、戦闘なり抜け鱗を探すなりするじゃない」

「待って抜け鱗って何」

「抜けた毛は抜け毛でしょ?」

「抜けた鱗は抜け鱗って事? 鱗って抜け落ちるの!?」

「細かいことはいいのよ。父さんはその行程をカットできるから早いって話よ」




1650『幸せですか?』

「つまり、ギルドの想定する依頼に必要な期間と、軍神が必要とする期間の間に大きな隔たりがあるって事で良いのかな?」

「まあ、そうね」

「そこもとらは話の本題を完全に忘れとらんか」

「覚えてるよ。ユンの御母堂を探そうか、コノリさんが速やかに成長する術を探ろうか?」

「出来れば前者を頼めるか」

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