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小猫と親鳥  作者: かすみづき
EXTRA 婚約から始まる話
56/59

1591-1620

1591『整頓された部屋』

「えーと、この説明で通じたかな?」

「……きゃ」

「ん?」

「部屋の掃除しなきゃ!」

「宿の部屋なんだから掃除するほど散らかってないよ。あってせいぜい布団を畳むとか」

「じゃあ布団たたむ!」

「いや、ベッドの場合は布団は畳まなくても良いんじゃないかな。隣屋の寝具も、結局昨夜は使わなかったし」




1592『言葉は使わなくては意味が無い』

「今度は何が駄目だったの? 伴侶って単語を使わずに頑張って説明したつもりなんだけど」

「い」

「い?」

「いろこいって、いろこいって……!」

「あー、恋愛って言葉は駄目かなと思って避けたんだけど」

「れんあいよりやらしい!」

「(真っ赤な顔でやらしいって言うマオこそやらしいけど、黙っとこ)」




1593『ぬいぐるみ』

「えーと、ご免ね」

「謝罪が適当!」

「丁度良いって事だね」

「ランのすけべ!」

「男はみんなスケベです」

「いじわる」

「ご免ってば。お詫びにひとつ教えてあげるよ」

「……なに?」

「男はね、あんまり泣かれるともっと泣かせたくなる奴が結構いてね」

「いじめっこだ!」

「だからあんまり泣かないでね」




1594『風邪薬の飲み方』

「泣いてないもん!」

「もんとか可愛い」

「かわいいとか言わないで!」

「ご免ご免」

「繰り返さないで一度に込めて!」

「はい、ご免なさい」

「よろしい」

「ありがと」

「……なんの話だった?」

「……マオ、ちょっとご免ね」

「なに!?」

「ずっと顔が赤いと思ったら、微熱があるね。出発は延期しようか」




1595『こんな日が来るとは』

「そう? 大丈夫よ?」

「自覚が無いのは体の疲れたって訴えにまだ気付いてないだけだから、無理して悪化したら大変でしょ」

「でも、元気よ?」

「だーめ」

「でも」

「もしもマオが倒れたら、抱き抱えたまま直近集落に駆け込んでお医者さんどこですかって叫ぶと思うけど、良いんだね?」

「よくないです」




1596『だってしょうがないじゃない』

「でも元気なのにおとなしく寝てるとかむしろツラいわよ」

「マオって、風邪をこじらせて肺炎になった事とかあるんじゃない?」

「なんで分かったの!?」

「やっぱり、あるんだ」

「ち、小さい頃だけよ」

「そうだね、マオはもう小さな子供じゃないもんね。だったら、大人しくベッドで休んでくれるよね?」




1597『自己犠牲』

「ねえ、ラン」

「マオは横になるべきって意見は変えないし譲りません。せめて午前中くらいは大人しく寝てて。その後どうするかは、またその時に考えよう」

「そのことなんだけど」

「お昼は消化に良いものを宿のヒトに頼んでみるつもりだけど」

「そうじゃなくて、あたしどこで寝てるべきかしらと思って」




1598『(あやかし)

「ベッドの上で休んでください」

「そうじゃなくて、どっちの部屋にすればいいのか、ちょっと悩んじゃって」

「ここじゃ駄目なの?」

「それじゃあランがくつろげないじゃない」

「そんな事はないけど。とりあえず、ユンとコノリさんについては後で確認しておくから、とりあえずこっちで休んでてくれる?」




1599『癒しの場所』

「はぁい」

「氷嚢って作ってもらえるのかなあ」

「いらないわよ、そこまで熱高くないもの」

「熱が上がってからじゃ遅いかと思って」

「おとなしく寝てて上がるようなら、氷よりお医者さんじゃない?」

「成程、診療所か」

「ラン」

「何、マオ?」

「あなたが落ち着いてくれなきゃ、ゆっくり寝てられないわ」




1600『あなたと私の温度』

「ご免」

「謝るようなことじゃないでしょ、心配してくれてるんだから。それより、鳥族って猫族より高体温じゃなかった?」

「鳳凰種は低めらしいけどね」

「ランだけじゃないのね」

「鳥の体温が高いのは、空を飛ぶっていう激しい運動をする為らしいから」

「鳳凰種も飛ぶわよね?」

「翼では飛ばないから」




1601『おやすみなさい』

「翼がある鳳凰種も、翼で飛ばないの?」

「他の鳥族は分からないけど、鳳凰種の場合は浮遊を術式でやって、方向転換なんかに翼を使うってヒトは居たかな」

「ややこしいことしてるのね」

「翼の力だけでは飛べないんだけど、全部術式で制御するより楽みたいだよ。マオはそろそろ横になろうか」

「はぁい」




1602『織姫と彦星』

「……ヒマだわ」

「眠れない?」

「朝ごはん食べた直後にもう一度眠れるヒトはなかなかいないと思うわ」

「そうかなあ。寝て良いって言われたら、嬉々として二度寝しそうな知り合いが割と居るけど」

「あたしは眠くないし、もし寝たら今晩眠れない気がするのよ」

「それじゃあ、星祭り説話でも話そうか?」




1603『甘くて苦い』

「星祭り?」

「昨日一緒にまわった祭り」

「星祭りっていうのね」

「そう。説話は、悲恋かなあ」

「ビミョーな反応ね」

「ヒトによって意見が違うんだよ」

「どんな話なの?」

「端的に言うと、仕事しないでデート三昧の二人が仕事するまで会わせませんって引き離される話かな」

「それだけ聞くと自業自得ね」




1604『ナイフとフォーク』

「恋人達と星祭りはどういう関係があるの?」

「星の河のあちらとこちらっていう引き離され方をしたからみたい」

「星って河で流れるものだったかしら」

「そこはほら、伝説上のお話だから」

「その二人は神様かなにかなの?」

「そうかもね」

「神様が仕事しないって、致命的なナニカが起こりそうで不穏ね」




1605『言葉は使わなくては意味が無い』

「地上的に不都合があったみたい。でも二人共、今度は会えない事を嘆くばかりで仕事をしてくれない。だから年に一度にはなるけれど、河の星を我々で除いて会えるようにするから仕事して下さい、と地上の民が懇願して仕事を再開して貰ったっていうのが、星祭りの起源だって」

「神様をクビにするべきね」




1606『花びら舞う木の下で』

「神様の仕事だから、辞めるのも難しかったんじゃない?」

「ありえるわね……ところで、星をモチーフにした商品がやけに多かったけど」

「鋭いね。この祭りで星を模した品は、河の星の写しなんだって。商品が売れれば売れるほど星の河が浅くなり、二人の逢瀬が実現するっていう」

「商魂たくましいわね」




1607『ストーキング?』

「でも河の星なんて取りきれるの? 泉や池ならまだ分かるけど」

「御伽噺だから」

「適当ね」

「本来は吟遊詩人が雰囲気たっぷりに語るお話だから」

「あたし吟遊詩人の語りって素直に聴けないのよね。見てきたように語るじゃない?」

「そうだね?」

「見てるなら手を貸してやりなさいよって思っちゃって」




1608『おとなしいと思ったら』

「建国記とか?」

「そう! 援軍の期待できない前線基地の様子を観察する暇があるなら、伝令役だけでも引き受けてあげなさいよって思うわ。陣中うろつけてるなら相当の信頼を得ている筈でしょ?」

「彼等は見てきたように語るだけで、実際に見てたわけじゃないからねえ」

「分かってるけど腹が立つのよ」




1609『ご主人様ごっこ』

「そもそも建国記の当事者はもう生きてないだろうし」

「それはそうね」

「そうだ、軍神と吉祥の馴れ初めとかどう?」

「張本人から聞いてるし、ランにも話したような」

「うん。だから、具体的なエピソードはさぞ壮大なサーガだろうなって」

「そうかしら」

「そうだよ。ほらマオ、少しお休み」

「……うん」




1610『輪廻転生』

「娘御は寝たか」

「それを待ち構えていたようなタイミングだね、ユン」

「そういう訳ではないが、具合が宜しくないのだろう?」

「どこで聞いたの」

「隣室に居った故な」

「意外と壁が薄いのかな」

「さてな」

「で、ユン。用件はその腕に抱えた子供かな?」

「親父殿だ」

「……ご免、もう一度」

「親父殿だ」




1611『先端恐怖症』

「……ユンの親父殿というと、昨晩ユンと鎖合戦を繰り広げたコノリさんで合っているかな」

「是」

「……ユンの腕に抱かれてる子供とは、二十年は見た目年齢に齟齬がある気がするんだけど」

「是」

「……そういえば昨晩もちょっと縮んでたね。そういう種族かな」

「是」

「いや否定してよ鳳凰種でしょ!?」




1612『虫さされ』

「確かに我が親父殿は鳳凰種ではあるが、元精霊でもある」

「元精霊だろうと、今は鳳凰種だと断定できる程度には存在固定されてるんだと思ってたけど?」

「固定のされ方が問題でな、これこの通り縮みよる」

「……ものの見事に説明が欲しい部分をすっ飛ばしたね?」

「セイランよ、不死鳥を知っておるか」




1613『身長差』

「文字通りの死なずの鳥でしょ? 僕等鳳凰種をそう呼ぶ輩も居るよね、節穴にも程があ、る?」

「そういう事だ」

「どういう事だよと叫び返せない己が不甲斐なくて悔しい」

「当方は理解の早い友で助かっておるがな」

「えーと、記憶は?」

「有るぞ、此度は」

「無いケースもあるのかよとかは保留で良いや」




1614『何度洗っても落ちない汚れ』

「記憶が無い場合も、ある程度長じれば思い出す仕様だそうだ。余りに幼過ぎると脳が情報を処理しきれんが故の防衛行為ではないかと、親父殿自身が言うておった」

「そのまま記憶が戻らないとか、そのうちありそうで落ち着かないね」

「一度染めれば元の色には二度と戻らん染色と同じようなものだと聞く」




1615『束縛されたい』

「その例えだと、染めた色もいつかは褪せて見えなくなるけど」

「記憶とはそういうものだろう、古いものほど擦りきれてやがて忘れ去る」

「そう言われればそうか。それで、これと昨夜のユンの暴挙は関係あったの?」

「暴挙?」

「術式の鎖でコノリさんを捕まえようとしてたでしょ、問答無用で」

「それか」




1616『寄るな、暑苦しい!』

「親父殿が縮むのは、最早恒例行事でな」

「そんなしょっちゅう縮むの?」

「頻度はそうでもないが縮まんという事は無い。問題はそれが中々に不定期な事でな」

「場合によれば命取りじゃない?」

「体温のみ子供に成ったり多少縮んだりと予兆はある故、怪しくなったら前線を退いておけば早々死なんだろう」




1617『心理テスト』

「それで、何が問題なの?」

「問題というか、親父殿が縮んだ事で副次的に発生する問題が有ってな」

「成程。つまりコノリさんしか対処できない問題があって、縮んでしまうと処理できないって事か」

「是」

「その問題解決に手を貸せば良いの?」

「否、借りてもどうにもならん」

「どんな問題か訊いても?」




1618『ロウソクを吹き消すと』

「お袋殿が止められんのだ」

「ちょっと待って」

「うむ」

「……うん、分かった」

「そうか」

「分かったけど一つ質問良いかな」

「何だ」

「コノリさんの幼児化だか若返りだかは、元のサイズに戻る時間を縮める事は可能なの?」

「正にそれだ」

「そう。流石にマオの意見もあるから、返事は待ってもらえる?」




1619『気に入らないな』

「……で、あたしが起きるのを待ってたわけ?」

「はい」

「なんで起こさないの!」

「熱があるから休ませたのに用事が出来たら起こすんじゃあ、休ませた意味が無いでしょ」

「そこは起こしていいのよ、どうせ昼には起きるつもりだったし!」

「どうせ昼には起きるなら、昼まで待たせておけばいいかなって」




1620『遠く離れても、きみの声は届いてる』

「待たせるにしても体勢が問題よ!」

「ちゃんと座ってもらったよ?」

「ユンちゃんはね! なんでちっちゃい子を小脇に抱えっぱなしなの! ユンちゃんよりちっちゃい子を座らせてあげてよ!」

「ちっちゃくても、コノリさんだよ?」

「コノリさんでもちっちゃい子なの! 体力だって落ちてるでしょ!?」

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