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小猫と親鳥  作者: かすみづき
EXTRA 婚約から始まる話
53/59

1501-1530

1501『雨の日の野良猫』

「お嬢さんは良いんですか?」

「彼女に会わせる前に聞いておくべきかと」

「何でしょう」

「簪の件ですよ。何なんです?」

「息子が近くに居るようなので顔を見ようと思っただけです」

「成程、つまり気配ですか」

「まあそうですね。断定は親子だから分かる符丁とでも思ってください」

「……分かりました」




1502『残り香』

「マオ、ただいま」

「ラン、おかえりなさい。あら、お客さま?」

「廊下で会っちゃってね」

「いらっしゃい、でいいのかしら」

「マオに訊きたい事があるんだって」

「昼間もそんなこと言ってたわね。簪がどうのこうの」

「持っていませんか?」

「……その返事は、あなた達が何の話してたのか聞いてからね」




1503『あなた以上の人』

「簡易式ベッドは借りられなかったってことで良いのよね? それで? 隣の部屋には入ったのに、目的のはずの布団を忘れてくるような、どんなお話をしてきたの?」

「やっぱり分かる?」

「ランがあたしの立場なら気付かなかった?」

「いや、僕なら気配が増えた時点で部屋を飛び出してるね」

「心配性ね」




1504『黄色いチューリップ(望みのない恋)』

「それで? 連れてきたってことは、あたしも教えてもらえるの?」

「マオに用だって」

「コノリさん?」

「楽しい感じで呼んではもらえないんですか?」

「呼んではあげられませんね」

「コノさんって呼ぶので手打ちにしてなかった?」

「それでお願いします」

「そんなことより用件を済ませたいんですけど」




1505『サンドイッチ』

「そんな事ではありません。楽しいのは生きていくうえで重大なファクターです、ねえ白百合の君」

「そうですね、己が何と呼ばれるかは大変重要です。マオには断固として僕の二つ名とか今コノリさんが口走った単語なんてものは是非とも忘却の彼方に消し去ってくださいお願いします」

「ラン、落ち着いて」




1506『爪先に口づけ』

「忘れてくれる?」

「ムリね。ランがあんまり嫌がるから、むしろ記憶に残るもの」

「なんたる失態……!」

「ラン、だから落ち着いてってば。忘れるのは難しいけど、あたしはそう呼ばないし、話題にも出さないわ。それでどう?」

「マオ……すき……」

「うわごとみたいに言わないの」

「一生幸せにします」




1507『ドライアイスの煙』

「どれだけ嫌なんですか」

「これだけ厭なんですよ」

「えぇと、ランのことは名前由来で呼んであげてください」

「ヒトの名前を覚えるのって苦手なんですよね」

「要らん二つ名は一発で覚えてそうですよね、コノリさんて」

「そうですかね? 二つ名は当人の特徴を踏まえて付けられるので覚え易いんですよ」




1508『嫉妬』

「突風、吉祥、軍師、銃師……ユンちゃん、普段から銃なんて持ってたの?」

「いつでも使えるようにしてはいる筈だけど、持ち歩いてると言って良いのかどうか」

「また鳳凰種の非常識?」

「またって、いや否定は出来ないけど」

「後は兄さんくらいだけど、兄さんはどうして『紫雷』なのかしら」

「僕は?」




1509『枯れた薔薇』

「真っ白なお姫さまだったからじゃないの?」

「ものすっごく否定したい……!」

「話題にされたくないだろうと思ったから言わなかったのに、ランから言い出しちゃうんだもの」

「だって」

「あたしは呼ばないし話題にもしないって、ついさっき言ったばっかりなのに、もう忘れたの?」

「それは素直にご免」




1510『散らかった部屋』

「で、兄さんはどうして紫雷なの?」

「それはシオンに会った時にでも訊いてみればいいよ」

「……ランは知らないの?」

「本人に訊くのが一番確実だよ」

「……そうね、先にコノさんの用件を聞くべきね?」

「そうそう」

「適当な相槌を打っていませんか?」

「気のせい気のせい」

「やはり適当な気がします」




1511『花嫁衣裳』

「で、コノさん。ご用件は?」

「簪を持っていませんか?」

「そういえば、外で会ったときもそんなこと言ってましたね。どんな簪です?」

「金細工のブン回したら風圧で壊れそうな簪です」

「大体の簪はその勢いで振り回したら壊れると思います、多分」

「では、結婚式でお嫁さんを華やかにしそうな簪です」




1512『仮面』

「えーと、華やかで繊細な造りの金細工の簪、で良いですか?」

「金細工は華やかで繊細なものじゃない?」

「なら結局、金細工ってことしかヒントはないのね」

「なぜここまで返答を避けられているのでしょう」

「分かります?」

「おや、認めますか」

「コノさんの目的が分からないから警戒してるだけです」




1513『「君は僕の太陽だ」「まともに見ると目が潰れるってか?」』

「息子に会いに行こうと思っているのです」

「はい」

「お嬢さんが簪を持っているなら条件除外を行わないと、探索結果の上位に出てきてしまって見付からなくて」

「意味はさっぱりですけど、除外するのに現物が必要ってことですか?」

「概ねそうですね」

「ラン?」

「まあ、あり得なくはないかな」

「そう」




1514『欲しいもの3つ』

「何故そこで白百合の君に訊くんです」

「いい加減その呼び方捨ててください」

「質問者は彼ではありませんよ?」

「無視か」

「信頼の問題です」

「では信頼してください」

「自分を信じろって言うやつは怪しめって教育されてるんで」

「今日だけで良いですから。何なら今だけでも良いです」

「逆にムリです」




1515『早く寝ろ』

「マオ、貸して」

「いいの?」

「キリがないし害意はなさそうだから。でも念の為に僕を経由させて」

「ランは大丈夫なの?」

「同胞に遅れは取らないよ」

「でもこのヒト、元精霊なのよね?」

「元が何であれ、今はただの同胞だよ」

「……分かったわ、ちょっと待って」

「息子の知己は夫婦円満のようですね」




1516『狂った時計』

「ラン以外にもユンちゃんの知り合いが泊まってるの?」

「うーん。わざとか天然なのか、悩むところだね」

「ってことは、息子の知己ってやっぱり」

「僕の事だね、話の流れ的に」

「ふうふ」

「あ、ちょっと慣れた?」

「ふうふ」

「あー、そっちかあ」

「お嬢さんは大丈夫ですか?」

「照れてるだけですから」




1517『芽吹いたもの』

「ふうふ」

「三回目ですね」

「深く気にしないでください。ところでコノリさん」

「はい、何でしょう」

「簪なんですけど、預かり物なので丁寧に扱ってくださいね」

「分かりました」

「くれぐれも壊したりなんてことはしないでくださいね」

「分かりました」

「その分かりましたは了解か理解かどちらです?」




1518『つまらない映画(舞台)』

「両方のつもりでしたが」

「では合意いただけたということで宜しいですね?」

「そうですね。不可抗力が起こった場合はその限りではない、という文言を付け足しても宜しければ」

「結構です」

「二人とも、なにか契約でも交わしてるの?」

「マオ、お帰り」

「ずっとここにいたわよ。でも、ただいま」

「ん」




1519『鎖』

「えぇと、ご子息絡みの簪はこちらになります」

「マオ、真似して堅苦しい言い回ししなくても良いんだよ?」

「なんか、つい。ラン、どーぞ」

「ん。コノリさん」

「はい……これですね。では少し待ってください」

「それはいいですけどって、簪が消えた!?」

ほどけた、が正しい。ユンの仕込みか」




1520『完璧主義はストレスたまるよ』

「えぇと、簪をコノさんに渡したら、簪が消えて鎖がじゃらって出てきてコノさんを縛り上げそうで縛られなくて?」

「マオ、落ち着いて。多分そのうち来る術を仕込んだ張本人に訊こう」

「ちょっと待って……えーとつまり、あたし達はユンちゃんに利用されたってことかしら」

「状況的にはそうなってるね」




1521『トモダチ』

「実質的には?」

「本人に訊かないと何とも言えない」

「簪は術具だったの?」

「術具というか、具現化された術式そのものだった可能性が高いね」

「あたし達は避難しなくていいの?」

「大丈夫だと思うよ」

「その根拠は?」

「疑う根拠も無いから」

「簪はあたし達のためだったと思う?」

「それは微妙かな」




1522『幼なじみって』

「お二人で質疑応答してないで助けてくれませんかー?」

「いや、余裕そうだし大丈夫かなって」

「あれ余裕なの? 鎖が巻き付いたりほどけたり、ものすごく忙しないんだけど」

「そうですよー、お嬢さんの心配の種を取り除くと思ってー」

「……余裕そうね」

「でしょ?」

「お嬢さんまでそんな事を」




1523『ようやく逢えたね』

「あの簪がユンちゃんのしかけなら、自分の父親を捕まえる為のトラップだってことになるのよね。わざわざトラップ張らなきゃ捕まえられない親というのも気になるけど、それをあたしに持たせた理由も知りたいわ」

「マオに渡したのは、数撃ちゃ当たる論のうちの一つと思えば解決するよ」

「否定はせんな」




1524『ナイフとフォーク』

「ユンちゃん! ほんとに来た!」

「何の話だ」

「あの簪なんだったの? なんでユンちゃんのお父さまがあたしに接触してくるって予想したの? 普通に連絡は取れなかったの?」

「矢継ぎ早だな娘御よ。先ずは再会の挨拶を挟んでくれても罰は当たらんと当方は思うのだが」

「この前別れたところじゃない」




1525『あどけない目』

「あれは術式だ。普通に連絡は取れんかった」

「ユン、答が一つ足りない」

「ちと長くなるのでな。娘御よ、あれを渡した時の事は覚えておるか」

「えーと、誰か来てた!」

「うむ。それが父かも知れんという可能性から、そこもとに託した」

「マオにそのまま持たせてた訳は?」

「うっかりだな」

「うっかり」




1526『泥のように眠る』

「うっかりであんな繊細な品を預けっぱなしにしないでよ。壊したらどうしようって、すごく心臓に悪かったんだから」

「あれは術式そのもの故、物理的な衝撃はほぼ無効だが」

「その情報をあたしは貰ってないのよ!」

「其れについては申し訳無い」

「まったくもう。でも、これで明日から安心して眠れるわ」




1527『1番は誰?』

「何だ、娘御は不眠に悩まされとったのか。それは重ね重ね済まなかった」

「壊したらどうしようって心配だっただけ。だって簪よ?」

「簪だと事情が変わるのか?」

「ユンちゃんから誰かへの贈り物だったら困るじゃない」

「何でマオが困るの?」

「誰かへの贈り物をあたしが壊したら申しわけないでしょ!」




1528『何も無い場所でつまずく』

「誰ぞへ贈る品ならばそもそも娘御に預けたりはせんだろうて」

「それはそうなんだけど、そうじゃないって判断できるような情報もなかったもの。とりあえず大事にするしか、できることなんてなかったの!」

「それについては謝罪するが、娘御はセイランの妬心を悉く受け流しまくっておったが、態とか?」




1529『洞窟にて』

「都心?」

「悋気だ」

「臨機? 臨機応変?」

「セイランよ、これは当方が突っ込みをせねばならんという事か?」

「え、ユンちゃんツッコミとかできるの?」

「娘御よ、戻るなら戻ると先に言うてくれると当方大変助かるのだが」

「ユン」

「何だ、セイランよ」

「こちらの悋気の類いはスルーしてくれない?」




1530『ワイン』

「其れは構わんが」

「ありがと。良いんだよ、気付いたら会話の成立しないマオが生まれてややこしいから」

「あたしは産まれて十五年は経ってるわよ」

「そうだね」

「鶴は万年だけど鳳凰種は何年かしら」

「鶴は千年だね」

「専念?」

「娘御は酒精でも摂取しとるのか?」

「いや、タイムリミットが来ただけ」

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