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小猫と親鳥  作者: かすみづき
LONG 手紙から始まる話
34/59

931-960

931『 待って、いかないで 』

「おじーちゃんの鳥頭って、鳥頭(物理)ってやつよね」

「とりあたまぶつり」

「鳥の頭をブッツリいったみたいな発音ね」

「ヤメロぞわっとくる!」

「おっさんおじーちゃん呼ばわりより攻撃をしかけられるよりイヤなんだ……」

「そりゃあイヤに決まってんだろ。頭と胴体がさよならした自分を想像したわ」




932『 疑似的恋愛 』

「えーっと、何だっけ」

「あん?」

「何か、今のおじーちゃんの状況にぴったり来そうな言葉を、前にランから聞いてたような気がするんだけど」

「何かろくでもねぇ単語が出てきそうでイヤなんだが」

「ここまで来てるの、後ちょっとで出てきそうな、あ!」

「出てきたか?」

「すり足硬化!」

「何だそりゃ」




933『 これから先ずっと 』

「こわいドキドキが好きのドキドキだと勘違いしたりするんだって」

「そりゃ吊り橋効果じゃねぇか?」

「あ、それ! 釣り針降下!」

「ただの釣り人になってんぞ」

「あれ?」

「あとでランに改めて教わっとけ」

「うん、そうする」

「投げたな、突風殿」

「黙って見物してやがった御仁にゃ言われたくねぇな」




934『 一方通行 』

「あん?」

「如何した、突風殿」

「それだ」

「其れとはどれだ」

「俺アンタに突風だって名乗ったか?」

「さて」

「どっちだよ」

「なにぶんとしよりゆえなあ」

「いきなりウソクセーなオイ」

「失敬な。少なくともこの場に居る面子の中では最年長を自負しておるぞ。年齢調査なんぞはしとらんがな」

「ほお?」




935『 僕の世界の中心が君 』

「そんな年嵩にゃあ見えねえが、アンタ銃師なんだよな。なあ、銃師ってのは継ぎ名かなんかか?」

「ほう、何故そう思うた」

「ナゼもナニも、銃師って二つ名が何年前から語り継がれてると思ってんだ」

「知らん」

「おいおい、お前さんの二つ名だろうが。俺も詳しくは知らんが、十年二十年じゃきかねえぞ」




936『 泣いていませんか 』

『ところで、白姫~?』

「だからそれを口にするなと」

『可愛らしいお嬢さんが、ちぃ~っともわたくしと白姫の会話に加わって来ないのですけれど~』

「あんたに関わりたくないんだろ」

『こんなに愛でたく思っていますのに~』

「確かに目出度いな、あんたの頭の中身が」

『褒めても何も出せませんよぉ~』




937『 最期はこの手で 』

「凄いわね、自称ユノちゃん。あたしランにあんな対応されたら」

「されたら?」

「みぞおちに一撃入れて逃げるわ」

「そっちか!」

「ランなら他の報復手段もあるけど」

「何する気だ?」

「寝てるランの周りに花を敷き詰める」

「死体か」

「王子さまが迎えに来ちゃうわ」

「その前に嬢ちゃんが起こしてやれ」




938『 静かに響くこの鼓動 』

「眠り姫を起こすのは王子の特権なのよ」

「野郎にそんな起こされ方したら、大抵の男は血の雨を降らすぞ」

「王子さま殺人事件~眠る姫君の降らす血の雨~」

「タイトルで犯人バレてるんだが」

「王子の血とは言ってないわ」

「姫が死んだのか?」

「生きてる」

「王子は?」

「気絶してる」

「殺人どこいった」




939『 削られるこの命 』

「実は王子さまはね」

「おう」

「お姫さまを起こす権利を獲得する為の死合で、見事勝ち抜いた猛者なのよ」

「つまり?」

「殺人はもうとっくに起こった後なの」

「血の雨は姫が降らすんだろ?」

「姫を巡って血で血を洗う争いが起こってたのよ?」

「ああ、そういう」

「そう」

「で、何の話だこれ」

「さあ?」




940『 つむじにキス 』

「マオはお姫さまに憧れてたの?」

「憧れてはいないけど……ラン?」

「ん?」

「自称ユノちゃんとの決着は良いの?」

「ん。なんかマオとガーディが楽しそうに話してるから気になっちゃって」

「血の雨が降る話が楽しいのかお前らは」

「王子さまとお姫さまの理想像を壊すのは、はっきり言って楽しいわね」




941『 泣いてる雲 』

「理想像?」

「キレイな顔した優しいっぽいヒト」

「ぽいヒト?」

「脳内にちょっと広大すぎるお花畑があるヒトを、優しいとは言えないわ」

「周りにとっては易しいんじゃない?」

「ああ、攻略的に」

「そうそう、傀儡的に」

「ほのぼのと物騒な会話をすんな」

「そういうの、矛盾って言うのよおじーちゃん」




942『 「嫌い」 』

「嬢ちゃんは王族になんか恨みでもあんのか?」

「それはランでしょ?」

「僕個人じゃなくて、鳳凰種全体かな」

「鳳凰種に睨まれるとか、世界の王族終わったな」

「何もしてないヒトには何もしないよ」

「何かしたヤツにゃあするんじゃねーか」

「何もしないよ?」

「あん?」

「何も、ね」

「ああ、そっちか」




943『 「参ったなぁ」 』

「二人だけで分からないでよ」

「何だ、嬢ちゃんは分かんねぇのか」

「何もしてないヒトには何もしない。これは分かるのよ」

「おう」

「何かしたヒトにも何もしないなら、違いなんてないじゃない」

「あるんだなーコレが」

「ラン?」

「あるよ」

「ヒント!」

「そうだなぁ。通りすがりか、手を貸さないか?」




944『 神様は不敵に笑った 』

「違いはなんとなく分かったけど、鳳凰種の手を借りなきゃいけない状況なんてそうそうないわよ?」

「マオはそうだよね」

「さすが嬢ちゃん」

「バカにしてる?」

「褒めてんだろ、この上なく」

「そうかしら。ランも何か温い目で見てくるし」

「好いなあと思って」

「何が?」

「マオが」

「あたし?」

「うん」




945『 いつかきっと迎えに行く 』

「マオはさ、僕が術式使うの嫌がるよね」

「だって便利すぎるもの」

「便利だといけないの?」

「前にも言った気がするけど、あたし一人じゃ何もできないようなヒトにはなりたくないの」

「うん」

「だから、何なのその笑顔は」

「マオだなあって」

「そうね?」

「うん」

「嬢ちゃん、おっそろしく鈍いんだな」




946『 もうわかんない 』

「え、敵襲!?」

「何でだよ」

「だって鈍いって言うから。タイミング的に、今現在起こっただろう何かしらの変化に気付けてないって事でしょ?」

「そうだけどそうじゃねぇよ」

「どっちよ」

「今現在もそうだが、これまでもそうだったろうし、これからも鈍いんだろうなって思ってな」

「はてしなく失礼ね」




947『 ハッピーホリディ 』

「鈍かろうと問題なかろう」

「問題ないわけないじゃない。何言いだすの、ユンちゃん」

「如何ほど鈍かろうが鋭かろうが、娘御自身とて困りはせんだろう。困るのは精々セイランくらいで」

「何でランが困るのよ」

「まあ、確かにな」

「おじーちゃんまで」

「僕は別に困ってないけど」

「絶対困るぞ将来的に」




948『 もうすぐ死ぬって言ったらどうする? 』

「ラン、困るの?」

「困ってないよ?」

「将来的に、困るの?」

「僕としてはその予定はないんだけど」

「困ったわ」

「いつかの僕より先に、今のマオが困っちゃった」

「何が原因か分からないと、対処する事もできないじゃない」

「別に死ぬ訳じゃないんだし」

「そういえば、今まさに生死の境にいるのよね」




949『 代わりなんていない 』

「軽いな嬢ちゃん」

「実感なくて」

「シオンとレディとは真逆の危機だね」

「真逆?」

「そう。このままだと僕らは死ぬかもしれない」

「隕石ね」

「そうそう。でも、シオンとレディは死ねないループに入るかもしれない」

「それが偽ユンちゃんとねこ姉さまね」

「それを何とかする為にここに居るんだけどね」




950『 焦った顔 』

『お待たせしました~』

「あ、自称ユノちゃん」

『自称は酷いですよ~、可愛らしいお嬢さん』

「名前なぞ大体の者が自称だろう。良いから早う話せユピ」

『ではでは、心して聞いてくださいまし~』

「応」

『そこです』

「は?」

『お探しの隕石落下地点は~、皆さまがいらっしゃるその地点です~』

「は!?」




951『 どろりとした感情 』

「ここ!?」

『はい~』

「何時だ」

「ユンちゃん?」

「そうもはっきりと断言できるのは、既に星を捉えたが故だろうと思うたが?」

『その通りですお師匠~。そうですね~、皆さま上をご覧くださいな~』

「え、まさか見える、の……?」

「え、ちょ」

「ラ、ララララン! ヒトが落ちてくる!」

「何で!?」




952『 振り向かないで 』

「『どいてくださいな~」』

「何これ、頭の中と外から同時に聞こえて気持ち悪い!」

「マオ、こっち」

「あ、避けなきゃよね」

「つー事は何だぁ? あの降ってきてんのがランの兄弟弟子か?」

「ガーディその冗談笑えない」

「ただの事実だろうが」

「分かった、夜営する時は気を付けてね」

「物騒だなオイ」




953『 泣き叫んだあの日 』

「『お師匠以外の皆さま、お初にお目にかかります~。わたくしの事は~ユノちゃん、と可愛くお呼びくださいね~」』

「うそ」

「『その声は可愛らしいお嬢さんですね~。実物はも~っと可愛らしくて素敵ですね~」』

「あんな変なヒトがこんな美人だなんて……!」

「『あら~、ありがとうございます~」』




954『 両片思い 』

「なんなの、鳳凰種の美人は残念要素が必須なの?」

「確かランも美人認定してたよな、嬢ちゃんは。ランはどこが残念なんだ?」

「性別」

「マオ、さすがに僕も泣くよ?」

「ユピよ」

「『はい、お師匠~」』

「ひとまずその術式を切ったらどうだ」

「『あら、うっかり』してました~。これでいかがです~?」




955『 本音を吐いてみた 』

「あ、頭の外からだけになった!」

「失礼しましたわ~可愛らしいお嬢さん。わたくしとした事がついうっかり~」

「あ、いえ」

「そうですか~」

「ねえ、ラン」

「何、マオ」

「どうしよう、会ってみたらわりとまともに見えてきた」

「まあ! 白く気高きそのお姿はまさしく白姫!」

「あ、やっぱり変だった」




956『 靡く髪 』

「いい……いいですわぁ~。わたくしの髪だと、ご覧の通り鋼の如き形状記憶を誇ってしまっていまして~」

「確かに、ランの髪ってつやさらよね」

「そう? マオの髪はふわふわだね」

「ふわふわ! そちらも素敵ですわね~」

「自称ユノちゃんみたいなまっすぐな髪に憧れてる女の子も結構多いと思うけど」




957『 なんて面倒臭い生き物なんだ 』

「あの~、可愛らしいお嬢さん」

「その呼ばれ方に返事したくないんだけど、何かしら」

「でも返事するんだ」

「だって! あたし以外男のヒトしかいないじゃない!」

「レディもいるけど」

「お姉さまはお姉さまだもの」

「ごめん、よく分からない」

「お姉さまは素敵とかかっこいいが似合うお姉さまなのよ」




958『 削られるこの命 』

「で、自称ユノさんはマオに話があるんじゃないの?」

「白姫もですか~。自称は要らないんです~、ユノちゃんと気軽にさくっとフレンドリーに呼んでくださいな~」

「だって名前分かんないし」

「ですから~」

「ユンちゃんはユピって呼んでたじゃない。どっちが正しいかなんてあたしには分からないもの」




959『 私を縛る鎖 』

「そこは当人が名乗った方が正しいと思ってくださいな~」

「ユンちゃんはそんなよく分からない嘘は……つくかも知れないけど、これは名前に関わる事だからつかないかと思って」

「名前?」

「同種のラン以外、絶対名前呼ばないじゃない。何かこだわりがあるんでしょ? 何か兄さん達とそんな話してたし」




960『 「ワンモアプリーズ」 』

「わたくしも呼ばれていますよ~?」

「それはつまり、ユノじゃなくてユピが本名って事?」

「それはですね~」

「女装しとる時は女の名前で呼ばれたいそうだ」

「ちょっとお師匠~、分かっているならきちんとユノと呼んでくださいな~」

「一々呼び変えるなぞ面倒だろう」

「お師匠はそればっかりですね~」

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