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第三話 潜入

東京都○○区 ウーマン地区新規入居希望者専用

シャトルバス乗り場


 零は乗り場に着き伏し目がちに辺りを見渡す。

入居希望者が自分以外にも5人居た。

もう既にウーマン地区からの監視が

始まってるかもしれない。

零がそう思いながら

警戒を解く事無く待っているとバスが来た。

東京と地区を繋ぐ唯一の道路から来たそのバスが

停まり、中から現れたのはロボットだった。


ロボット

「皆さんこんにちは。私は皆さんの

ウーマン地区への移送を任されている

ドライバーロボットです。

ご乗車の前に失礼ですが皆さんを

スキャンさせて頂きます。一人ずつ私の前に

立って下さい」


 女性達は列になってロボットの前に立った。

ロボットはレーザーの様な物を女性に照射した。


ロボット

「皆さんが女性か確認する為に体内を

スキャンしております。

私はロボットです。スキャンするのは体内のみ。

プライバシーは守られます。ご安心ください」


列に紛れた零もスキャンを終え、

シャトルバスに乗り込んだ。

海の上の長い一本道を進むと重厚なゲートが

見えて来た。4体のロボットが警備する中、

ゴゴゴと音を立てながらゲートが開き

零を乗せたバスはついに地区の中へ入った。


 バスがゲートを超えると大きな施設が見えた。

零はバスの中から周囲を見渡すが外の世界と

大差ない。


ロボット

「これから皆さんには区役所の

入居管理センターで、

入居審査を受けてもらいます。

スタッフの指示に従い審査にご協力願います。」


零を含め入居希望者の女性達は

ロボットに案内されて行った。




ウーマン地区区役所 入居管理センター内



挿絵(By みてみん)

受付嬢

「番号札3番の方、どうぞー」

3番の番号札を持ってる零は受付に進んだ。


受付嬢

「ようこそウーマン地区へ。

外で使っていた身分証明書をお見せください」

「はい……これでいいですか?」

受付嬢

「あら、ゴールド免許!お名前は?」

「十零です」

受付嬢

「はい、確認しました。では質問を続けますね。

外での前職は何でしたか?」

「え?、警察官でした」

受付嬢

「ん?警察官?」

「はい……」

受付嬢

「へー、凄いじゃない。言われてみれば

あなたしっかりしてそうな感じですもんね」

「は、はあ…有難うございます」

受付嬢

「ここは優秀な人材は大歓迎ですよ。

でも、一応審査の為に質問に答えて下さいね」

「わかりました」

受付嬢

「では十さん、オスは好きですか?」

「……え?オ、オスって……」

受付嬢

「ん?」

「あ、いえ、男、じゃなくて、オスは嫌いです」

受付嬢

「……オスに告白されたらどうしますか?」

「も、もちろん断ります」

受付嬢

「どんな風に断りますか?」

「ええっと、ごめんなさいって」

受付嬢

「ああ?」

「うわ!いえ、近寄らないで!どっか行って!

キモイんだよー!って言います」

受付嬢

「はい、よく出来ました。さすが警察官ですね。

では、最後の質問です。

十さん、あなたにとってオスとは?」

「ええっと……私、いえ、女性にとっての

最大の敵ですね……」

受付嬢

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

受付嬢

「はい、合格でーす!これで十さんも

今日からこの地区の一員です!

ウーマン地区へようこそ!」

「ははは……(溜めるんじゃねーよ!

クイズ番組の最終問題か!)」

受付嬢

「では早速ハローワークヒアリングに

移りますね。地区内での希望する仕事は

決めてますか?」

「前職のキャリアを活かしてこっちでも

警察をやりたいと考えてますが……」

受付嬢

「うん!貴方は絶対それがいいですよ。

私からも推薦しておきます。

ハローワークから電話が掛かってくるので

あとはそこからの指示に従って下さい。

では次はあちらの5番扉に入って

中で講習VTRを見て下さい」

「わ、わかりました」


「はあ~~」

(何よあの女、なんかめっちゃ怖いんだけど!)


 零は小走りで5番扉へ向かった。

そして講習VTRを見た。


講習VTR

「オスはバカです。オスはクソです。

オスはゴミです。オスはクズです。

これより皆さんは、汚らわしいオスの居ない

女性だけの楽園で暮らす事になるのです。

おめでとうございます。

皆さんの、幸せと、そしてこの地区への

貢献を期待します。

ここを出てから皆さんは一言たりとも

オスの話をしてはいけません。

オスの存在を肯定するような発言は

この地区では第一級の犯罪です。

お気をつけ下さい。

さあ、それでは皆さん、オスの居ないこの楽園で

新しい生活を始めましょう」


(・・・・・・・帰りたい)


 バスから降りて入って来た入口と

反対側の出口に進み外に出ると、

零の目の前に洗練された都市が広がっていた。



挿絵(By みてみん)

(おお、凄い。外より発展してるんじゃない?)


 そこは美しい近未来的な都市だった。

高速道路が張り巡らされ、ビル群が輝き、

ロボットやドローンが巡回している。

当然ながら周囲を見渡せば行き交う人々は

全員女性。男の気配は微塵も無かった。


 そして、ひときわ目立つ、異彩を放つ建造物。

地区の中央にそびえる巨大な塔を零は見ていた。


(あの赤い服の少女アリスが言ってたわね。

地区の中のでっかい塔。やはりあれが……)

受付嬢

「あれは天使の塔よ」

「わあーーーーー!」

受付嬢

「どうしたの?そんなに驚かないでよ」

「な、なんでここに?」(ドキドキッ)

受付嬢

「お昼休みだからコンビニ行くのよ。

それより十さん、さっきマンションの地図

渡したわよね?」

「い、今から行くとこです」


 零は逃げる様にマンションへと向かった。


つづく

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