第二十七話 ウーマン地区
零とはじめはドローンに乗ったまま
天使の塔へ戻る。
はじめ
「いやーまったく、名演技だったな。
敵を騙すにはまず味方からってか?」
零
「?……何の話?」
はじめ
「ほら、作戦指令室の時だよ。
地区長の背後に立つ為に、
地区長に洗脳されたフリして近づいたんだろ?
ホントに焦ったんだからな」
零
「……あ、そ、そうなのよー
いい作戦だったでしょ?ハハハ、
東京に戻ったら役者に転職しようかなー」
はじめ
「お前ならなれるよ。もうそろそろ着くと思う
……おい、あれ!」
二人がドローンで天使の塔に近づくと、
天使の塔正面入り口前の広場に
大勢の警察や特殊部隊が集まり、
二人を待ち構えていた。
二人は天使の塔入り口前の広場に着陸した。
警察
「ゆっくり降りろ!両手を上げろ!」
はじめ
「武器は持ってない!地区長と話がしたい!」
警察
「だまれ!動けば撃つぞ!」
警察達は両手を上げて立ってる零とはじめに
銃火器を構えながら少しずつにじり寄って行く。
その時警察達の背後、天使の塔入り口から
声が響いた。
地区長
「やめよ!」
地区長が零達に向かって歩いて来ていた。
地区長
「武器を下ろせ!全員!今すぐだ!」
警察達は武装解除した。
地区長
「天使の塔職員全員をここに呼べ。今すぐ!
全員だ!」
地区長が真っ直ぐ零達に向かって進むと
警察達は綺麗に左右に割れて道が開いて行った。
地区長は零とはじめに向き合い、話し出す。
地区長
「……天使の翼を落としたとはな……
私の負けだ。お前達の好きにするが良い」
はじめ
「え?いいのか?母さん……」
地区長
「……もう私の出る幕はないようだ……」
地区長は周囲の職員や警察達に聞かせるように
大声で言い放つ。
地区長
「皆の者!聞け!たった今から
私の地区長としての権限総てを、
ここに居る娘のはじめに渡す!
今この瞬間から、このはじめが地区長だ!
皆の者!今からは、はじめに従え!」
周囲の人々
「ザワザワ・・・」
地区長
「どうした?異論があるなら出ていけ!」
周囲の人々
「・・・・・・・」
はじめ
「みんな!私が新しい地区長だ!良く聞け!
新しい地区長の権限で、私の母さん、
元地区長の身柄を、東京の警視庁に引き渡す!
……零、頼む」
零は無言でうなずき、元地区長に近づきながら
ポケットから手錠を出す。
ジャラッ
零
「元地区長、国家反逆罪並びに殺人未遂罪で
逮捕する!」
カシャン……
はじめ
「みんな!最初の仕事だー!今すぐ演説放送の
準備をしろ!今すぐだー!」
周囲の職員達は自分の仕事へと戻って行った。
零は冷たい視線で元地区長に話しかける。
零
「……元地区長、最期に言い残す事はある?」
元地区長
「……潔く、私の負けを認めよう……
だが、これだけは言っておく。
……女性への差別、迫害が続く限り、
同じ事が必ずまた繰り返されるだろう……」
零
「…………それに関しては否定しないわ……」
その夜
区民に向けて演説放送が放送された。
キャスター
「この時間は予定を変更して
報道特別番組をお送りします。
まもなく新しい地区長の演説が始まります。
それではご覧下さい」
はじめ
「……皆さん、私が元地区長の娘、
新しい地区長のはじめです。
皆さんにこの地区の真実をお話します。
我々が天使の力と呼んでいた、
女性同士で妊娠する技術の正体は、
人工精子によるものでした。
カップル二人とも妊娠出来るのも
この技術による物です。
そして、一人でも妊娠出来る技術の正体は、
その人の髪の毛から作った人工精子を
その人の卵子と体外受精させ、
もう一人の自分、双子を
妊娠するという物だったのです。
これは明らかに生命の秩序に反する物で、
許されない行為です。
更に私の母は、双子を産むという技術を
利用し、拒絶反応の出ないスペアボディーを
販売するという、延命産業を計画してました。
最初からスペアボディーや臓器提供の為に
この世に産まれる命など、
存在していい筈がありません。
私は東京からやって来た私の相棒と共に
母のこの暴挙を突き止め、
東京へのウイルス攻撃も阻止し、
母の計画を砕きました。これが真実です。
区民の皆さん、この地区は50年もの間、
壁の中で外との分断を続けてきました。
そしてその政策こそが、このような
悲惨な結果を招いてしまったのです。
これからは、外の世界、新しい世界に
目を向ける時なのです。
私は、新しい地区長として、この場を借りて
区民の皆さんに宣言します。
ウーマン地区を、解散します!!!」
つづく
はじめ
「ハハハ、どうだ、私も中々やるだろ?
はじめやるじゃんって思ったら
高評価とかブクマよろしくな!」




