表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/29

第十八話 過去

地区長

「いいだろう。気高き女性、美しき女性

零よ、話してもらおう。

お前の過去、お前の傷を……

何故自傷行為に走ったのだ?」


挿絵(By みてみん)

「……わ……私には、彼が居たわ。

大好きだった……彼が」

地区長

「……どんなオスだった?」

「……とても真面目で、優しい人……

本当に素敵な人だったの……

ずっとこの人と一緒に居たいって……

本当にそう思ってたわ」

地区長

「それは素晴らしい事だ。それなのに

何故自傷行為をしたんだ?」

「……別れたいって……突然言われたのよ」

地区長

「何と酷い事を。こんなにも美しい女性を。

そのオスは理由は何と言っていた?」

「……き、君の事が……

重たいって、言われたのよ……

わ、私、周りの友達や……

テレビの別れ話とかを聞いて、

こんな風になっちゃいけないって…思って…

彼に愛されようと、色々頑張ったわ……

ちゃんと男性の意見を尊重して、彼に合わせたし

自分の悪い所も直したのよ、頑張って……

彼に喜んでもらえるように、

彼に相応しい女になるように、努力したわ。

……それなのに……それなのに……

そうしたら今度は重たいって言われたのよ!!

酷いじゃない!!彼の為にやった事なのに!!

何でも彼に合わせてあげたのに!!

彼に合わせてあげて、彼に振られたのよー!!

どうしろっていうのよーーー!!」

地区長

「……酷い話だな。そのオスはろくでもない

オスだったのだろう」

「……いいえ、違うの……

私、彼が浮気してるんじゃないかと思って

探ったんだけど……本当に浮気も何も

してなかったのよ……あの人は本当に

立派な人だったのよ。彼は悪くなかったのよ。

彼のせいに出来ないんなら、

私のせいになるじゃない。そうなるじゃない。

あんなに彼に合わせたのに、

それでも振られたんなら、

もう、どうしたらいいかわからなかったの。

……それで、自分が嫌になって、

自分なんて恋も出来ないんだって思って……

自分に罰を与えたいって……思って……

カッターナイフで、自分の左腕を切ったのよ」

地区長

「そんな事があったのか。

さぞや苦しかっただろう」

「……苦しかったの。

自分なんて消えればいいって思ってたの。

私がいつも黒い手袋をつけてるのは、

その時の傷跡を隠す為、見ない為なのよ」

地区長

「そうだったのか……

いいだろう、亜里素、零の拘束を解いてやれ」

亜里素

「よろしいのですか?」

地区長

「この状態なら大丈夫だろう。やれ」


 亜里素は零の両手の拘束を解いてやった。




挿絵(By みてみん)



地区長

「辛かったであろう……」

「それから、私、もうこんなに辛いんなら

もう恋なんてしたくないって……そう思って、

それからずっと、男を遠ざけた来たのよ」

地区長

「よくぞ打ち明けてくれたな、零よ。

お前に敬意を払おう。

零よ、お前は決して悪くはないぞ」

「……え?」

地区長

「その恋人の事を良く考えてみろ。

お前がオスに合わせて、それでお前を

捨てるのなら、

それはオスが矛盾してるという事であろう?」

「……そ、そうなのかなあ?」

地区長

「そうだとも。オスは誰でも女を平気で捨てる。

オスとはそういう生き物なのだよ」

「そうだったの?」

地区長

「ああ、お前を苦しめて来た正体は

オスだったのだよ。今までずっとオスを

遠ざけてきたのなら、それは

オスによってお前の行動が制限されていた、

そうは思わないか?」

「……そうね、そうだわ……

私、オスに制限されてたんだわ!」

地区長

「零よ、お前はここで生まれ変わるが良い。

オスの居ないこの地区で自由になるのだ。

ここならもう、

お前の邪魔をするオスは居ないのだから。

お前を政府役員として向かえてやるぞ」

「ほ、本当に?……いいの?」

地区長

「……亜里素、どう思う?」

亜里素

「完全に洗脳されてると思います。

ですが、念の為、立場を逆転させる

必要があるかと……」

地区長

「そうだな、だがその前に……」


 地区長はポケットから白いフィルムケースを

取り出した。


地区長

「我々地区の住人にとっては遺伝子こそが全て。

優秀な人材の遺伝子の保存が、

地区の繁栄に繋がるのだ。

零よ、お前の綺麗な髪を一本もらうぞ」


プツッ


 地区長は零の髪を一本抜き、

白いフィルムケースに入れ亜里素に渡した。


地区長

「亜里素、それをラボに持って行け」



挿絵(By みてみん)

亜里素

「はい、了解しました」


挿絵(By みてみん)


 タッタッタ……

亜里素は立ち去って行った。


地区長

「零よ、今日から我々の仲間と言いたい所だが、

真に我々と肩を並べる程の人材が確かめる為に

試練を受けてもらう」

「試練?」

地区長

「あの親不孝娘、はじめを連れて私の所に来い。

天使の塔33階、作戦指令室に私は居る。

我々の警備を退けて私の所まで来れば

真の仲間として認めてやろう。

そして、お前が知りたがっていた

妊娠出産の謎、この地区の真実、

全てを話してやろう」

「わかったわ。必ず会いに行くから」

地区長

「期待しているぞ。今日は疲れただろう

もう帰るが良い。警備員を呼んで

外まで案内させてやろう」


 零は警備員に案内され部屋を出た。


地区長

「……お前の腕の見せ所だな、執行員よ」

強制執行員

「・・・・・」



その夜



挿絵(By みてみん)

「私ったら何をムキになってたのかしら。

ずっとここに住めばいいだけじゃない。

そうよ、ずっとここで生きていくとして

何の不都合があるって言うの?

もうオス達と顔を合わせる事も無いわ。

もうバカなオス共とはおさらばだわ。

……はじめをつれて行かなくちゃ。

はじめは地区を潰そうとしてるから

いずれは天使の塔に攻め込もうと

してるだろうから、好都合だわ。

一緒に天使の塔に攻め込んで

地区長に会ってから、

はじめを止めればいいのよ。

大丈夫、きっとうまく行くわ。

……はー、それにしても

私ってホントにバカだったわ。

地区長のお陰で目が覚めたわ。

そうよね、私は悪くないのよ。

悪いのは全部オスなのよね」


つづく





挿絵(By みてみん)

亜里素

「フフフ…高評価、ブクマしなければ

お前も催眠にかけてやるぞ……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ