2ー5
セバスチャンの口から出てきた言葉が頭の中を駆け巡る。
タケルが死んだ?
川で溺れて?
そんなのは嘘だっ。
「事故と他殺の両方の可能性があることを警官から聞きました」
セバスチャンは早口で次の言葉へとつなげる。
「川と城では近い距離ですから、遺体は城の地下室に用意しました。間もなく、タケルさんのご両親がこちらに向かってくるところです」
セバスチャンのけたたましい口調のせいか、同室のトーマスとジェイクも目を覚ました。
「遺体? なに?」
トーマスが問うと、セバスチャンは僕に話したままのことを彼らに話した。
そして。
「タケルさんのご両親が言うには、最近子猫を拾ってきて、その猫のご飯にするために魚が必要だったのだとか。それが本当でしたら、自殺の線はなくなりますよね?」
「そう、ですね。え? タケルが猫を? 今はじめて聞きました」
納得できていない僕の口から出てきた言葉はあまりにも雑然としすぎていた。
「その猫もライオンということはないですか?」
「そこは違うみたいです。が、そうなるも他殺? いったい誰に、どうしてとなってくるのです」
いつもにこにこしているタケルが、他人から嫌われる要素はかけらもない。
ただ、家に電話がある、というだけで。そんなの、裕福とも言い得ないからだ。
そこまで考えた後、部屋のドアがノックされた。
セバスチャンがドアを開けると、強気な瞳を潤ませたキャロルが部屋に入ってきた。
「どうしてタケルが? もしかしてわたしのせい? わたしが無理言って城まで連れてきてしまったから巻き込んでしまったの?」
「キャロル様、そう考えるのは早急ではないでしょうか」
「でも。わたし、タケルのお葬式には参加するわ」
そうして犯人を探したい、とも話した。
「もちろん。城の方で葬儀等の手はずは整えてあります。ですが、キャロル様が一般人の葬儀に参加するのはいただけません」
「どうして? もっと早く川で釣りをしていたら、溺れることもなかったかもしれないし、わたしがゼロスとタケルを引き離したりしなければ、こんなことにはならなかったかもしれないのに?」
「それでもです。王族が一般人にそこまで肩入れしてはなりません。どうか我慢してください」
そこまでじっと聞き入れたキャロルは、ふいに風船が破裂するようにわっと泣き出してしまった。
だけど、わからない。いったいどうしてタケルが死ななくちゃいけなかったんだ?
つづく




