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タケルはそこでお城の外に出ることになった。お城から川へは案外近いのだということで、彼だけが川へ向かった。
「あなたはいいの? 今からでもわたしの申し出を断って、川に遊びに行ってもかまわないわよ?」
キャロルは素っ気ない口調てそう言ったけれど、それが強がりだということぐらい、僕にはわかっていた。
「ウサギ族は気まぐれだから。ぼくの母さんはオオカミ族と人のハーフで、だからと言ってはなんですけど、僕は一度引き受けたことはやり遂げますよ」
「あら? いいの? 川で魚釣りなんて、今の季節でなければできないわよ?」
「そんなの、ただの退屈しのぎでしかありませんよ。そんなことより、トーマスさんにジェイクさん、これからよろしくお願いします」
僕はあらためて美青年二人に頭を下げた。
「タケルの分まで真面目に働きますので、 なんなりと申し付けください」
「よろしく」
と、金髪のトーマス。
「おう。こっちこそたのむぜ。整地するためには力仕事が必要だからな。ウサギは帰って正解だったさ」
ジェイクは豪快に笑った。
「それならわたしも、時々は一緒してもいいかしら? ゼロスも彼らの寝床を借りて、城に住んでもかまわないのよ?」
「え?」
それはなんだかとても魅惑的な申し出だけど。
「ですが、それには両親の許可が必要ですので――」
「それなら電話を貸してあげるわ」
キャロルはポケットの中から携帯電話を取り出して僕に差し出した。
これが携帯電話か。
「せっかくですけど、僕だってオオカミの端くれです。一旦外に出て遠吠えしてしまえば伝わりますよ。それに、家に電話なんてないんです」
まさにそれだった。
オオカミは遠吠えで状況を伝達することができる。普段はたくさん音を拾わないようにしているけれど、仲間からの伝達だけは神経を尖らせているんだ。
「あら? 便利なのね。それじゃあ、一回外に出ましょうか?」
「僕一人でいいですよ」
「でも、わたしが見たいし、聞きたいのですもの!!」
キャロルが僕に、というよりオオカミに興味を持ってくれているのがわかった。
だけど、そんなの恥ずかしいや。
「それなら、かまいませんけど」
そして僕は壊滅的にキャロルに恋をしてしまったんだ。
つづく




