2ー2
キャロルが自分の秘密を次々と明かしてしまった直後、見目麗しい美青年二人を従えたセバスチャンが戻って来た。
僕は、マリリンに差し出された菓子盆からクッキーを一つ取り上げたところだった。
「たいへんお待たせいたしました。こちらの金髪がトーマス、銀髪がジェイクです。二人共魔法使いですので、ご自由に使ってさしあげてください」
僕、やっぱりセバスチャンのことは好きになれないな。
だって、説明している最中もずっと、彼の瞳はキャロルに注がれていたのだから。
「はじめまして、トーマスです。よろしく」
トーマスは人の良さそうな笑顔で僕たちに握手を求めた。
僕たちは軽く握手しながら愛質を交わす。
「俺はジェイク。よろしくな」
ややぶっきらぼうなジェイクは、そう言って頭を下げた。
と、ここまでずっと黙っていた本来おしゃべり大好きなタケルが急に口を開いた。
「魔法使いさんが二人もそろったのなら、僕は必要なくないですか?」
「なぜ、そう思うの?」
キャロルは信じられない、というような目でタケルに問う。
タケルもタケルだ。ここまでついてきてなにを言う。しかもこいつ、ちゃっかりキャロルの秘密を知っちゃってるじゃないか。それなのに今さらそんなことを言われたんじゃ、僕の方も気を遣ってしまうじゃないか。
「だって僕、ウサギ族ですよ? 刃物なんて持てないし、草刈りなんて手で雑草を引っこ抜くことくらいしかできませんし?」
「でも、草についての知識は俺たちよりたくさんあるだろう? ウサギ族なんだから」
さっそくトーマスにとがめられて、それでもタケルはケロッとしている。
「食べられる草かどうかしかわかりません。毒草はさすがにわかりますが、そういうのも含めて、魔法で雑草焼き払った方が早いでしょう? 僕、必要ないじゃないですか」
そういう問題じゃないぞ。
「タケル、たとえ雑草を焼き払ったとしても、その後整地しなくちゃいけないんだぞ? 人の手はあって余るほど必要だよ?」
なんとかタケルにわかってもらいたくてそう言ったけど、タケルはううんと首を傾げる。
「整地する能力は、俺たちにはないからな。整地に関しては地道にやるしかない。これに関してはゼロスの言い分が正しい」
だが、とジェイクはつづける。
「本人にやる気がないのなら、居ても無駄になる。しょせんウサギ族にできるのは植物の種を蒔くだけだが、それすらやりたくないと?」
みんなの視線がタケルに集まる。
「あのね、タケル。わたしはなにも無理にお願いしたわけじゃないの。あなたたちになら、森の整地を任せられると直感した。それが迷惑だと言うのなら、そう言って?」
キャロルに言われたタケルは、またしても首を傾げる。
「だって僕、今ごろは川でゆっくり魚釣りをしているはずだったんだ。それなのに、いきなり森の管理なんてまかされてもさぁ」
わかった。タケルはただ、遊びを優先したいだけなんだ。
それとわかった瞬間、僕は彼を巻き込んでしまった責任を感じた。
「悪かった、タケル。やりたくなければ僕が引き受けるよ」
それだけ言うのが精一杯だった。
つづく




