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「森はどんな感じに仕上げたらいいのでしょうか?」
僕は、十年前から憧れていたキャロルにそれとなく伺いを立てながら、城に向かって歩く。
「そうねぇ。子猫が見つかりやすい環境かしら? あとは、乗馬しやすかったらたのしいかもしれないわね」
「乗馬ですか」
僕は子猫のコタロウを盗み見る。
コタロウ、なにかの動物に似ているんだけど、思い出せないな。
「その、コタロウくんのことなんですが」
「なにかしら?」
僕が頻繁にキャロルに質問をするから、執事のセバスチャンは咳払いをした。
「コタロウって、もしかしたらライオンの赤ちゃんではありませんか?」
「……よくわかったわね。母親を亡くして、一人ではぐれていたところを保護したの。獣医が教えてくれなかったら、わたしはコタロウは普通の子猫だって信じて疑わなかった。そう、それで将来、森のどこかでコタロウが住める場所を作りたいのだけど、この森についてわたし、しらないことばかりなの。もしかしてライオンって、洞窟の中で暮らす生き物なのかしら?」
「たしかに。そう言われてみたら洞窟は必要ですね。いろいろと調べて差し支えないようでしたら、僕たちが調べておきますよ」
「本当? たすかるわ」
「お気になさらず」
そろそろセバスチャンの目が深刻になってきた。
僕はタケルと横並びになってひたすら歩みを進めた。
それにしても雑草が伸び放題。こんな悪路をキャロルが歩いてきたなんて。
今日からでも草刈りに精を出したいくらいだ。
「心配しなくても、城には整地に必要な道具はすべてそろっているわ」
「それはありがたいです」
雑草を手で引き抜く覚悟をしていただけに、少しだけ拍子抜けする。
「あとは男手が必要でしょう? 城内で手持ち無沙汰になってる人員をそちらに預けるわ」
「重ね重ね感謝の気持ちでいっぱいです」
だって、僕もタケルも魔法使いじゃないから、こうぱぱっと整地することはできないのだからさ。
「ご飯も城で作らせるから、よければ城内で寝起きしたってかまわないわよ」
それって、キャロルと親しくなるチャンスだったりする?
タケルには白い目を向けられたけれど、僕は十年前からキャロルの幻影にずっと恋をしてきたのだから、今さらこの気持ちをなかったことになんかできない。
「さてと。キャロル様、ようやく城にたどり着きましたよ」
それまでずっと黙っていたセバスチャンがキャロルに微笑みかける。年の頃二十代前半といったところのセバスチャンは、どうやら恋敵になりそうな予感がする。
つづく




