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僕が息を詰めて見守る中、白豹になったモヨコと、大人の雄ライオンになったコタロウが熊の首目がけて猛然と立ち向かっている。
「モヨコ、コタロウ。どうか無事でいて」
幸か不幸か、魔獣は一体だったから、二匹の猛獣は立て続けに攻撃をつづけている。
これで魔獣が複数だったら、うちなんて簡単に潰されてしまっていただろう。
「ゼロス、無事か?」
父さんと母さんが僕の部屋に入ってきた。
「うん。今、モヨコとコタロウが戦ってくれている」
二匹とも魔獣だったけと、と加えると、母さんがなるほどねぇと納得した。
「いいことはするもんだねぇ。それで? どっちがモヨコで、どっちがコタロウなんだい?」
「白豹がモヨコで、大人ライオンがコタロウ」
そうだろうねぇ、と母さんは腕を組んでしみじみ言った。
「魔獣の徘徊はいつものことだが、最近は頻繁だし、今日はうちが狙われたんだろう? なにか因縁でもあるのかな?」
父さんにもキャロルの秘密を話すことはできない。
もし魔獣がけしかけられているのだとしたら、狙われたのは僕だけだろう。
「僕、見に行く」
「駄目だ」
父さんは僕の襟首をつかんだ。
「おまえも保護者なら、彼らのことを信用しろ」
そう言い含められてしまうと、見守ることしかできない。
モヨコは口から火花を吐いて、熊を焼き尽くそうとする。
一方のコタロウは、その隙を突いて熊の顔目がけて噛み付いた。
ガウガウというお互いの咆哮に、近所の人たちも気がついて外に何人か姿が見えた。
くそう。それなのに僕は、外に出られないなんて。
「ゼロスは家の中で母さんのことを頼む。俺は外に出るから」
父さんは僕の部屋の隅にあった金属バットを持つと、駆け足で部屋から出て行った。
そして、ご近所さんと合流してなにか話している。
「ゼロス。おまえ、お城でなにかしたんじゃないだろうねぇ?」
ふいに母さんがそう言って、僕の顔を見た。
「そんなことないよ。だって、お城にいたのはたったの一日だよ?」
そう、こんな風に襲われるような理由なんて、どこにもないはずなんだ。
そんな僕の気持ちに呼応するように、魔獣の首から血しぶきをあげて、巨体が地面に倒れ伏した。
ついにモヨコとコタロウが勝ったのだ。
「ガウ……」
弱々しい咆哮をあげた熊は、ついに絶命した。
つづく




