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うちに帰り着くと、どこに行っていたのかと母さんに叱られてしまった。
「ごめんなさい。あのね、急で悪いんだけど、もう一匹飼ってもいいかなぁ?」
僕は母さんの目の前におずおずとコタロウを掲げた。
母さんは両手でコタロウを抱き上げると、自分の胸に抱きしめる。
「なに言ってるのよ、今さら。もうこのライオンの子を飼うことに決まっているのでしょう? 名前は?」
「コタロウ。いいの? ライオンの赤ちゃんだけど、大きくなるだろうし、モヨコは魔獣だったし」
「はあっ!? モヨコ、あんた魔獣だったんだ? すごいわね。さぁ、みんな家に入って手を洗いなさい。夕飯の時間はとっくに始まっているのよ」
母さんは少しも驚いた様子を見せずにモヨコをなでると、家の中に入って行く。僕もモヨコを抱きしめたまま、家の中に入った。
「聞いてよ、あんた。ゼロスがライオンの赤ん坊を拾ってきたの。うけるぅ〜!!」
母さん、軽すぎやしませんか?
「おう、ライオンか。今のうちに手なずけておけば、魔獣よけとして役に立ってくれそうだな」
父さんもずいぶんと気楽に言ってるけど、一応ライオンだからね。本気で噛まれたら指無くなるからね。
だけど、コタロウはそんなのどこ吹く風とばかりに、母さんの顔に頬ずりしている。まったく、見上げた根性だよ。
でも、その根性がなかったら、もしかして死んでいたかもしれないんだ。
モヨコとコタロウを守るためにも、僕もきちんとしなくちゃな。
だって最近、夜になると大型の魔獣が徘徊するんだ。
多くは熊の類だけれど、襲われたらひとたまりもない。
ライオンを飼うことに決めたけど、僕だって熊は怖いからね。それに、コタロウはすでに僕になついているから平気なんだ。
それぞれが手と足を洗ってうがいをすませると、ようやく料理の前に座ることができた。
今日はシチューの日。きっとコタロウも気に入ってくれるはず。
「困ったねぇ。ライオンは肉しか食べないんだっけ?」
母さんは僕の顔を見て笑った。
「多分シチューを食べると思う。コタロウはすごくいい子なんだ」
そんなこと、僕が言わなくったってわかっていると思うけど、念には念を入れないとね。
「それじゃあ、いただきますっ」
「ミヤッ!」
僕とモヨコが挨拶すると、母さんに見守られながらシチューを頬張る。
今夜は地元のパン屋さんで買ってきた白パンもあった。これはついてる。
コタロウを見たら、モヨコの真似をしてシチューをなめているところだった。その顔は輝きに満ちている。
よかった。コタロウの口にあうみたいだ。
つづく




