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2ー1

 うちに帰り着くと、どこに行っていたのかと母さんに叱られてしまった。


「ごめんなさい。あのね、急で悪いんだけど、もう一匹飼ってもいいかなぁ?」


 僕は母さんの目の前におずおずとコタロウを掲げた。


 母さんは両手でコタロウを抱き上げると、自分の胸に抱きしめる。


「なに言ってるのよ、今さら。もうこのライオンの子を飼うことに決まっているのでしょう? 名前は?」

「コタロウ。いいの? ライオンの赤ちゃんだけど、大きくなるだろうし、モヨコは魔獣だったし」

「はあっ!? モヨコ、あんた魔獣だったんだ? すごいわね。さぁ、みんな家に入って手を洗いなさい。夕飯の時間はとっくに始まっているのよ」


 母さんは少しも驚いた様子を見せずにモヨコをなでると、家の中に入って行く。僕もモヨコを抱きしめたまま、家の中に入った。


「聞いてよ、あんた。ゼロスがライオンの赤ん坊を拾ってきたの。うけるぅ〜!!」


 母さん、軽すぎやしませんか?


「おう、ライオンか。今のうちに手なずけておけば、魔獣よけとして役に立ってくれそうだな」


 父さんもずいぶんと気楽に言ってるけど、一応ライオンだからね。本気で噛まれたら指無くなるからね。


 だけど、コタロウはそんなのどこ吹く風とばかりに、母さんの顔に頬ずりしている。まったく、見上げた根性だよ。


 でも、その根性がなかったら、もしかして死んでいたかもしれないんだ。


 モヨコとコタロウを守るためにも、僕もきちんとしなくちゃな。


 だって最近、夜になると大型の魔獣が徘徊するんだ。


 多くは熊の類だけれど、襲われたらひとたまりもない。


 ライオンを飼うことに決めたけど、僕だって熊は怖いからね。それに、コタロウはすでに僕になついているから平気なんだ。


 それぞれが手と足を洗ってうがいをすませると、ようやく料理の前に座ることができた。


 今日はシチューの日。きっとコタロウも気に入ってくれるはず。


「困ったねぇ。ライオンは肉しか食べないんだっけ?」


 母さんは僕の顔を見て笑った。


「多分シチューを食べると思う。コタロウはすごくいい子なんだ」


 そんなこと、僕が言わなくったってわかっていると思うけど、念には念を入れないとね。


「それじゃあ、いただきますっ」

「ミヤッ!」


 僕とモヨコが挨拶すると、母さんに見守られながらシチューを頬張る。


 今夜は地元のパン屋さんで買ってきた白パンもあった。これはついてる。


 コタロウを見たら、モヨコの真似をしてシチューをなめているところだった。その顔は輝きに満ちている。


 よかった。コタロウの口にあうみたいだ。


     つづく

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