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ヘイトがうちの敷地から去った後、お父様に呼び出された。
きっと、ヘイトの機嫌を取れと叱るつもりなのだろう。
お父様が悪いわけじゃないけど、なんだか納得できない。
お父様の身にもしものことがあったら、王位継承はわたしが受けることになる。
子供の頃からそのようにしつけられているから、そんなのはあたりまえなんだけど。
そうなると自然、結婚相手が相当でなければならない。
わたしがわがままを押し通して、ゼロスが好き、なんて言ったら地下牢に閉じ込められるかもしれない。
しかも、ゼロスはわたしのことを嫌っているかもしれない。
タケルのことがあったから。
あれ以来、ゼロスに会ってない。
自分の胸をかきむしるようなもどかしさにおそわれて、自分が怖くなる。
お父様が休む部屋の前でドアをノックした。
すぐにお父様付きの執事がドアを開けてくれた。
「お父様、おかげんはいかがですか?」
「キャロル。ここに呼び出した理由はわかるね?」
お父様のやさしい言葉は、わたしの心を凍りつかせる。
わがままなんて言っていられない。
「わたしはおまえのことが心配なんだよ。わたしの体は、きっとそう持ちはしないだろう。そうなった時のための伴侶が必要なのだよ、キャロル。おまえに必要なのは、賢い夫だ」
「お父様……」
そんなことわかってる。だけど、ヘイトは本当に意地が悪いの。嫌いなのよ、彼が。
「……お父様がそんなに弱気では困ります。わたしは一日も早く、お父様に元気になってもらいたいの。結婚なんてそれからでも遅くないわ」
「いや、遅いよ。キャセリーヌ、おまえからもキャロルに話してくれないか?」
弱り果てたお父様が、お母様に泣きついた。
「ああ、キャロル。おまえは身分をわきまえなくてはいけないよ。お父様のおっしゃる通りになさい」
「……嫌です」
「なぜ? ヘイトは立派な殿方だわ。それなのにどうしてそう頑なになるのです?」
お母様にはきっとわからないんだ。
わたしの運命の人はゼロスだけ。もう二度と会えないと思っていた運命の人と再会してしまったの。この気持ちをとめることなんて、もうできないわ。
「……ごめんなさい。でもヘイトは、本当に意地悪なんです」
「だったとしたら。おまえの態度のせいで意地悪になるんじゃないかい?」
お母様の言葉にはっとする。
ヘイトは嫌われているとわかって、わたしに意地悪を言うのだわ。
「じゃあ、意地悪言われないためにはどうすればいいの?」
「結婚すればいいじゃない」
「そんなの……」
瞬間的に頭に血がのぼった。
「そんなの嫌よっ!!」
そう叫んでから、お父様の部屋を飛び出した。
だって、どうしてもヘイトだけは嫌なのですものっ。
つづく




