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13/27

1ー3

 ヘイトがうちの敷地から去った後、お父様に呼び出された。


 きっと、ヘイトの機嫌を取れと叱るつもりなのだろう。


 お父様が悪いわけじゃないけど、なんだか納得できない。


 お父様の身にもしものことがあったら、王位継承はわたしが受けることになる。


 子供の頃からそのようにしつけられているから、そんなのはあたりまえなんだけど。


 そうなると自然、結婚相手が相当でなければならない。


 わたしがわがままを押し通して、ゼロスが好き、なんて言ったら地下牢に閉じ込められるかもしれない。


 しかも、ゼロスはわたしのことを嫌っているかもしれない。


 タケルのことがあったから。


 あれ以来、ゼロスに会ってない。


 自分の胸をかきむしるようなもどかしさにおそわれて、自分が怖くなる。


 お父様が休む部屋の前でドアをノックした。


 すぐにお父様付きの執事がドアを開けてくれた。


「お父様、おかげんはいかがですか?」

「キャロル。ここに呼び出した理由はわかるね?」


 お父様のやさしい言葉は、わたしの心を凍りつかせる。


 わがままなんて言っていられない。


「わたしはおまえのことが心配なんだよ。わたしの体は、きっとそう持ちはしないだろう。そうなった時のための伴侶が必要なのだよ、キャロル。おまえに必要なのは、賢い夫だ」

「お父様……」


 そんなことわかってる。だけど、ヘイトは本当に意地が悪いの。嫌いなのよ、彼が。


「……お父様がそんなに弱気では困ります。わたしは一日も早く、お父様に元気になってもらいたいの。結婚なんてそれからでも遅くないわ」

「いや、遅いよ。キャセリーヌ、おまえからもキャロルに話してくれないか?」


 弱り果てたお父様が、お母様に泣きついた。


「ああ、キャロル。おまえは身分をわきまえなくてはいけないよ。お父様のおっしゃる通りになさい」

「……嫌です」

「なぜ? ヘイトは立派な殿方だわ。それなのにどうしてそう頑なになるのです?」


 お母様にはきっとわからないんだ。


 わたしの運命の人はゼロスだけ。もう二度と会えないと思っていた運命の人と再会してしまったの。この気持ちをとめることなんて、もうできないわ。


「……ごめんなさい。でもヘイトは、本当に意地悪なんです」

「だったとしたら。おまえの態度のせいで意地悪になるんじゃないかい?」


 お母様の言葉にはっとする。


 ヘイトは嫌われているとわかって、わたしに意地悪を言うのだわ。

 

「じゃあ、意地悪言われないためにはどうすればいいの?」

「結婚すればいいじゃない」

「そんなの……」 


 瞬間的に頭に血がのぼった。


「そんなの嫌よっ!!」


 そう叫んでから、お父様の部屋を飛び出した。


 だって、どうしてもヘイトだけは嫌なのですものっ。


     つづく

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