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26 強敵再来 後編

 本日中編・後編を投稿しています。こちらは後編です。よろしくお願いします。

【大陸歴1415年5月12日 深夜】


〈十四郎視点〉


 ユーリィに指示を出し終えた後、俺は再びトカゲと向き合った。


 俺とユーリィの打ち合わせ時間を稼ぐため、こちらの残存兵力はすでに半分以下。大サソリ2匹と将軍アリたちがなんとか戦線を支えてくれている状態だ。


 さっきトカゲと対峙したとき、最悪の場合、このままゲームオーバーになってしまっても構わないと、俺は思っていた。


 そうなれば強制ログアウトになるはずだからだ。


 でも、今は側にユーリィがいる。俺がここでやられてしまったら彼女、そしてやがては集落の子どもたちもすべてこのトカゲに殺されることになるだろう。


 いくらゲームのキャラクターとは言っても、それは絶対に避けたかった。


「オラ! こっちだ、トカゲ野郎!」


 俺はアリ太郎たちの上空に浮かんだまま、奴を挑発するように体を左右に揺らした。


 奴は俺の方を見た後、何かを探るように目を細めて周囲の様子を探った。


 間違いなくユーリィを探している。奴の警戒ぶりを見て、俺は自分の予想に確信を持つことができた。


 奴は俺の方に比較的ゆっくりと近づいてきた。俺はその速さに合わせながらジワジワと後退した。


 くそ、コイツかなり警戒してやがる。まずはコイツの冷静さを失わせなければ。


 俺の動きに応じて、アリ太郎たちが奴の前に立ちふさがる。


 残った戦力はすべて俺の防御のために使った。これでアリ太郎たちを排除しない限り、奴は俺の方に近づけない。


 逆にこれを突破されたら、俺にはもう奴を止める手段がない。文字通り、捨て身の戦法だ。


 俺の魔物軍団が、奴に一斉総攻撃を仕掛ける。軍団を正面に集中させての攻撃は、強大なこのトカゲに侮れないダメージを確実に与えている。


 俺はあえてギリギリまで奴に近づき、挑発するするように奴の鼻先を飛び回った。


 怒りに燃える奴の目が俺を追ってくる。


 次の瞬間、奴はその苛立ちと怒りをすべて吐き出すかのように、凄まじい叫び声をあげた。あまりの声量に、砂漠の夜気がビリビリと震える。


 俺の軍団は棒立ちとなり、一瞬動きを止めてしまった。その様子を見た奴の目が赤く輝く。石化光線の予備動作だ。


 こちらの全戦力は光線の効果範囲内に集中した状態で立ちすくんでいる。この光線を食らったら、全滅は免れない。


 瞳が輝きを最高に増すタイミングを、俺は慎重に見定めた。


『ユーリィ! イマ、イケ!』


 俺は脳内でユーリィに向かって叫んだ。その言葉を待ちかねたように、砂の中に身を伏せていたユーリィが飛び出した。


 彼女は一瞬のうちに大サソリの体に飛び上がると、サソリが大きく上に掲げたハサミを足場にして上空にジャンプし、トカゲの顔の真正面に躍り出た。


 彼女が体を守るように正面に掲げた銀色の小円盾スモールラウンドシールドを見て、大トカゲの目が大きく見開かれる。


 光り輝く盾の表面には、その赤い瞳がはっきりと映っていた。


 瞳から放たれた光線を、ユーリィの小盾は正面から捉えた。小盾に反射した光線が、奴自身に降り注ぐ。


 その瞬間、奴はまるで熱湯でも被ったかのように大きく体を仰け反らせ、悲痛な叫びを上げた。


 大トカゲの瞳がたちまち光を失い、白く濁る。同時に奴の体を覆っていた硬い鱗は、くすんだ灰色に変わっていった。


 奴が体をくねらせるのに合わせ、その鱗はひび割れ、パラパラと崩れ落ちていく。


 叫び声のショックから立ち直ったアリ太郎軍団が、大トカゲに群がった。


 大トカゲは、でたらめに体を揺すって抵抗したが、ほとんど効果がなかった。どうやらトカゲは視力を無くしているようだ。


 弱ったトカゲは、どうっと音を立てて体を砂の上に横たえた。


 それを見たユーリィはさっと前に飛び出し、奴の瞳めがけて大きく短剣を振りかぶった。


 短剣の刃が瞳を深々と貫くと、奴は喉の奥から、か細い断末魔をあげ、体をビクンと震わせたきり、動かなくなった。


 同時に、ユーリィは体を二つに折り、崩れ落ちるようにその場に倒れた。


「ユーリィ!」


 俺はトカゲに群がっていた大サソリに、その大きなハサミでユーリィを運ばせてその場を離れさせ、すぐに彼女のところに移動した。


 ユーリィは気を失い、砂の上に横たわっている。褐色の肌は血の気を失い、指先はどす黒く変色していた。


 周りを見れば、トカゲに最後の攻撃をかけていたアリ太郎たちの大半が、砂の上で痙攣したまま動かなくなっている。


 間違いなく、トカゲの毒にやられたのだ。俺はすぐにナビさんに声を張り上げた。


「ナビさん、すぐにユーリィを治療してくれ!」


 俺の言葉が、終わるよりも早く、砂の上にあった大トカゲとアリ太郎たちの死体が光の粒に変わって、溶けるように消えていった。


『魔獣の吸収が完了。10000DP及び以下の素材、スキルを獲得しました。』


『石化蜥蜴の毒腺×1』

『スキル〈石化の魔眼〉』

『スキル〈屍毒の息〉』

『スキル〈毒無効〉』

『スキル〈酸無効〉』

『スキル〈石化無効〉』

『スキル〈土魔法無効〉』

『スキル〈魔法耐性(中)〉』


『迷宮レベルが2段階上昇しました。迷宮領域設置上限が1250エリアになりました。』


『迷宮守護者のレベルが上昇しました。能力上昇に伴い、守護者の肉体の損傷が自動回復されます。』


(コア)との魂接続により、守護者が新たなスキルを獲得しました。』


 ナビさんの声が終わると、ユーリィの体に金色の光の文様が浮かび上がった。


 これは以前も見たことがある。ユーリィのレベルが上がったときの演出だ。


 金色の光が消えると、程なくユーリィは目を開いた。起き上がった彼女は、傷一つない自分の体を不思議そうに見回した後、俺の方を見て、にっこりと微笑んだ。


「御使い様が助けてくださったんですね。ありがとうございます。」


 なんとか「ありがとう」だけは聞き取れた。むしろ俺の方がありがとうなんだが、俺の今の語彙力ではそれを伝えられない。


「アロガト。ヨカタ。」


 俺が脳内でそう話しかけると、彼女はきょとんとした顔で俺を見上げた後、クスクス笑いながら「はい」とだけ言って頷いた。


 それを合図にしたみたいに、彼女と俺を守るように身を伏せていた大サソリがのそのそとその場を離れていった。


 結局生き残ったのは、この大サソリと将軍アリ一匹だけ。随分とやられてしまった。それだけあの大トカゲが強敵だったということだ。


 ホント、よく勝てたよな。


 今、同じような強敵に襲われたら、それこそひと溜まりもない。また一から軍団を立て直さないとな。


 でもその前に、まずはユーリィを集落に連れ帰ろう。ナビさんの魔法で回復したみたいだけど、まだ心配だ。今はゆっくり休ませてやりたい。


「イコウ。」


 俺はユーリィにそう言って、二人(?)で一緒に、集落の方に移動し始めた。



種族:迷宮核ダンジョンコア

名前:澤部十四郎

迷宮レベル:8


総DP:12849

獲得DP/日:7240

消費DP/日:3223



種族:迷宮守護者

名前:ユーリィ

職業レベル:5(ガーディアン)

強打L3 突撃L3 短剣術L5 

暗視L1 反射音探知L1 締め付けL1

操船L1 登攀L2 騎乗L2 詐術L1

 

装備:守護者の剣

 (自動回復L2)

   守護者の鎧

 (斬撃被ダメージ軽減L1 酸耐性L2

  熱耐性L1 炎耐性L1 毒耐性L2

  土魔法耐性L1)

   水鏡の円盾

 (光線攻撃反射L5 石化耐性L5

  魔法耐性L2)



種族:人間

名前:フーリア

職業レベル:2(デザートシャーマン)

危機感知L1 自然の祝福L1

不死者払いL2

お読みいただいて、ありがとうございました。

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