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10 突然の来訪者

次回、ようやく人間登場なるか!?

【大陸歴1415年5月4日 早朝】


 俺がこのゲーム内に閉じ込められてから、2回目の朝が来た。


 こんなに長い時間ゲームをし続けていれば、流石に美南や職場の同僚が心配して、助けてくれそうなもの。


 だが、残念ながら、そう言った気配は今のところまったくない。一体どうなっているんだろう。


 ひょっとして、俺が3日経ったと思ってるだけで、ゲームの外では、実はほんの数分しか経っていなかったりするんだろうか。ゲーム内の時間は現実より早く過ぎる場合が多いものだしなあ。


 でも、俺の体感では、確実に3日経過している。なんなら、いつもより、時間がゆっくり流れるような気がするくらいだ。これも、このゲームの仕様なのだろうか?


 うーん、まったく訳が分からん。しかしまあ、考えても仕方がない。今は、自分にできることをするしかないもんな。


 俺は脱出ログアウトするためのヒントを求めて、西に見える集落を目指すことにした。


 集落までは、あと7〜800mといったところだ。まずは、立方体で道を作らなくてはならない。


 それに、大サソリとの戦闘で減ってしまった戦力を整えておく必要もある。さて、どっちからしようかな?


 ちょっと迷ったけど、まずは戦力の確認と補充を優先することにした。ゲーム開始してから、俺のレベルが上がったせいか、出てくる敵が少しずつ強くなっている。集落に着く前に、敵にやられたら困るもんね。


 今いる戦力を確認してみる。まずは、サソリ戦で大活躍したスナハンドたちが3体。一体一体の力は弱いけれど、俺の思い通りに動いてくれて、なかなか重宝する奴らだ。


 次に、主力であるアリ太郎軍団。新たに仲間に加わった将軍アリを筆頭に、隊長アリ2匹、隊員アリ10匹が生き残っている。巣作りをしていたチビたちは、残念ながら全滅してしまった。RIP。


 最後は、自分を犠牲にして俺を救ってくれた砂サメたちだ。6匹いたはずなのに、3匹しか生き残っておらず、しかも、みんなひどく傷だらけだった。サメたちは少し休ませてやる必要がありそうだ。


 俺は、サメたちに「どっかでゆっくり休んでてくれ」と言った後、アイコンを使って新たな魔物を呼び出すことにした。


新しく増えたアイコンは2つ。将軍アリとあの大サソリだ。


 気持ちとしては、最初に大サソリを呼び出したいところ。ただ、あいつ、夜行性っぽいんだよな。まずは、昼間の主力であるアリ太郎軍団を整えたほうが良さそうだ。


 生き残ったアリ太郎たちは、俺の前でじっとしている将軍アリを中心に、整列して待っている。将軍アリの角の迫力がパねえ。


 俺はとりあえず、将軍アリの配下となる、隊長アリを3匹、隊員アリを10匹呼び出した。これで、サソリと戦う前と、同じ数のアリたちが揃ったことになる。


 アリたちは、将軍アリの周りに3部隊が集まり、残りはそれぞれが隊長アリを中心に集まって整列し始めた。ふむふむ、どうやら将軍アリ1匹で、3部隊を統率することができるようだ。


 俺は残りの部隊を率いらせるために、もう一匹の将軍アリを呼び出そうとした。でも、すでにアイコンはグレーアウトして、呼び出すことができなくなっていた。将軍アリを呼び出すコストは、他のアリに比べて、格段に高いみたいだ。


 こうなれば、立方体を並べて、呼び出せる魔物の数を増やすしかない。俺は西を目指して、立方体を並べていくことにした。だが、敵の魔物たちは、それを待ってはくれなかった。


『敵性魔獣が迷宮領域に接近しています。』


 ナビさんの警告に続いて姿を見せたのは、なんと敵の将軍アリ率いる部隊だった。俺はこちらの将軍アリに、正面から敵部隊を迎え撃たせつつ、残った2部隊をその側面の砂の中にそっと隠れさせた。


 俺が囮となって引き付けると、敵の部隊は、またバカの一つ覚えみたいに、真っ直ぐに突っ込んできてくれた。


 俺が誘導した地点で、軍を率いる将軍アリ同士がぶつかり合い、敵の進撃が止まる。こうなれば、こっちのものだ。俺は伏兵たちに、側面攻撃を命じた。


 伏兵の2部隊に挟撃された敵部隊は混乱し、あっという間に半壊した。


 こちらの将軍アリが、雄叫びを上げるかのように、角を振り立てると、それに反応した隊長アリたちが、一斉に相手の将軍アリの周りに群がっていった。


 相手の将軍アリは、かなり強かった。それに、敵の隊長アリたちも、将軍を守ろうと死物狂いで反撃を開始したため、俺の予想に反して、戦闘はかなり長引いてしまった。


 しかし、多勢に無勢。被害は大きかったものの、無事に敵を退けることができた。


『敵性魔獣が迷宮領域に接近しています。』


 戦闘が終わったばかりなのに、またナビさんの警告が脳内に響く。その後も、戦力の補充が満足にできないにも関わらず、敵は間断なく襲ってきた。


 昼を過ぎる頃には、これまで見たこともない新たな魔物、口から炎を吐く赤い犬の群れが現れるようになった。


 アリ太郎たちは炎が苦手らしく、この犬には随分苦戦させられた。だが、大きな犠牲を出しながらも、何とか犬たちを撃退することができた。


『魔獣の吸収が完了。2400DP及び以下の素材、スキルを獲得しました。』


『火炎狼の毛皮×12』

『火炎狼の牙×12』

『火の魔石(小)×12』

『スキル〈炎の息〉』

『スキル〈炎耐性〉』


 戦闘結果リザルトと、新たな魔物の出現を示す警告がほぼ同時に表示される。ちょっと待て。いくらなんでも、敵が多すぎじゃないか? こっちの戦力の補充が間に合わないぞ!


 そんな事を言っても、魔物は待ってくれるわけもない。俺は、もう何回呼び出したか分からなくなるぐらいに、ひたすらアイコンを操作してアリ太郎たちを呼び続けた。






 太陽が落ちて、風がひんやりしてくると、それまでずっと続いていた敵の襲撃が、嘘みたいになくなった。


 空には大きな青い月と小さな白い月が上ってきている。どうやら、白い月と緑の月は、交互に一日置いて、姿を現すようだ。


 あの白い月が上った一昨日の夜、俺はあの8本足のトカゲに襲われている。だから、またあいつが現れるのではないかと、ドキドキしていた。だが、不思議なことに、トカゲどころか、黒犬一匹姿を見せなかった。


 俺は、ようやく落ち着いて戦力を整えるとともに、立方体を西の集落に向かって並べられるようになった。


 まずは、待望の大サソリを呼び出すことにする。アイコンを操作すると、これまで見た中で最大サイズの魔法陣とともに、大サソリが出現した。


 体長は6m。振り上げたハサミだけでも、1m以上はありそうだ。味方だと分かっていても、すっげえ怖え。


 こいつと一緒にいると、きっとアリ太郎たちが嫌がるだろうと思ったので、俺は大サソリを、少し離れた場所で待機させた。


 大サソリは、8本の足をガサガサと動かしてその辺りを徘徊した後、気に入った場所が見つかったのか、砂の中に長い体を半分沈めてじっとしていた。


 頼りになる味方もできたことだし、俺は立方体を西の方へと繋げていった。


 ところが、50個ほど並べた辺りで、妙な感じがすることに気が付いた。比較的浅いところに、何かが埋まっているようだ。


 俺は何かがありそうな場所で、立方体を下方向へ繋げてみた。砂の中の立方体に、異物の気配がする。


 俺はすぐにスナハンドたちを呼び寄せると、砂の中に潜って中にあるものを拾ってこさせた。


「何だこれ、白い棒みたいな・・・いや、これ、骨か!」


 スナハンドが握っているのは、骨だった。月の光を受けた骨の表面は、磨き上げられたように滑らかになっている。おそらく、細かい砂漠の砂に、長く埋もれていたせいだろう。


 正直ちょっと気味悪いが、まあ、ゲーム的にはドロップアイテムのようなものだ。もしかして、これも何かの素材になるのだろうか?


 俺がそう考えた途端、脳内にナビさんの声が響き、スナハンドの握っていた骨が光の粒となって消えていった。


『領域内の以下の物体を、素材として回収しました。』


『成人の人骨×5』

『小児の人骨×12』

『折れた槍の穂先×2』

『木片×5』

『ボロ布×4』


 どうやらナビさんが、俺の考えに反応して、素材を回収してくれたようだ。本当に優秀だな、ナビさん。


 試しに、辺りの砂の中にいくつか立方体を広げてみたら、他にもいろいろな素材を回収することができた。


 アイテムを作れるアイコンが、いくつも増えている。こうなると、文字を読めないのが、マジでもどかしくなるなー。


 素材の回収を終えた俺は、また、立方体を並べる作業を再開した。相変わらず魔物は出てこない。


 もしかして、白い月の夜は魔物が少なくなるのか? 希望的観測だが、正直、この状況はありがたい。


 俺はせっせと立方体を並べ続け、二つの月がだいぶ傾いた頃には、ついに集落の姿をはっきり見ることができる位置まで近づくことができた。


 遠くから見えた通り、集落は薄茶色の壁で取り囲まれている。


 遠くから見たときは、低い壁だなと思ったけれど、この距離で見ると結構な高さがあるように感じる。まあ、こんな魔物だらけの場所にある集落なんだから、当たり前かもしれない。


 壁の上から頭をのぞかせている建物は、どれも四角い形をしていた。色は壁と同じだから、多分同じ素材でできているのだろう。


 遠くからは分からなかったけど、緑色の葉っぱみたいなものが僅かに見える。中には植物もあるのかもしれない。いわゆる、オアシスってやつだな。


 そして一際目を引くのは、壁の外側に乗り出すように作られている、階段状の構造物だった。


 一見すると、物見櫓のようにも見えるが、それにしては結構横幅がある気がする。なんだろう、あれ?


 まあ、近くに行けば、はっきりするだろう。俺はまた、立方体を並べる作業に戻った。


 しかし、いくつも並べないうちに、遠くの方から耳慣れない物音が聞こえてくるのに気が付いた。


『迷宮領域に、何者かが接近しようとしています。』


 ナビさんの声がしたが、いつもの警告とは少し違う感じだ。一体何が起こるんだろう。俺は音のする方角をじっと見つめた。


 風を切る音が、次第に大きくなってくる。そして、音の正体がついに判明した。


 潮騒にも似た、ざーっと砂が流れるような音。波のように砂を蹴立てながら、こちらに近づいてくるのは、砂上を滑るように走る、一隻の帆船だった。






種族:迷宮核ダンジョンコア

名前:澤部十四郎

迷宮レベル:4


総DP:24824

獲得DP/日:2340

消費DP/日:3


火炎狼ファイヤウルフ

種族:魔獣族

属性:火属性

召喚コスト:200DP

保有スキル:〈炎の息〉〈炎耐性〉

乾燥地帯に生息する肉食魔獣。体長50cm〜1m20cmほど。赤い毛皮が特徴的な狼の一種。非常に広い縄張りを、群れで回遊しながら生活している。喉の奥に、気化しやすい可燃性の液体を生成する器官を有しており、これを炎に変えて口から吐き出すことができる。ただし、その射程は最大でも1m程と短いため、主に強敵を威嚇する際などに使用される。彼らの毛皮には、強い火の魔力が宿っており、その耐火性・保温性の高さ、見た目の美しさから、非常に人気のある素材である。また、彼らの牙を加工することで、高性能の火口箱を作ることができる。

お読みいただいて、ありがとうございました。

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