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びっくり屋本舗  作者: 百済 夜斗
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第十八話  爆食女王、登場

 その日びっくり屋は大勢の客で大繁盛していた。それもそのはず「ご飯おかわり無料」キャンペーンをやっていたのでした。ここのところの客入りの悪さに業を煮やしたはぁ~爺の妙案だったのです。


 店の中は、体育会系の学生やいかにも食の太そうな体格の良い男性で溢れている。

「じっちゃん、おかわりまだかよー」と学生が言うと、

「はぁ~、またかのー、おまえさん何杯目じゃ」とはぁ~爺が渋い顔で応じていた。

「こっちもだよー、早くしてー」と大にぎわいな状況。

 はぁ~爺もおかわりの茶碗運びにてんてこまいであったが、更に厨房の中も複数の炊飯器がフル稼働で大忙しであった。

 中にはこんな客もいた。どうみてもお相撲さんにしか見えない。茶碗じゃ小さいので、丼飯を何杯もおかわりしたらしく、テーブルには丼が五個積みあがっていた。


 そんな大忙しなびっくり屋へ二人の小柄な女性が入ってきた。

 店内の客は一目見て、あっ爆食アイドルの『もえのあんこ』と元爆食女王の『ガール曽根』だと気付いた。しかし、そんなことは知らないはぁ~爺は、ほっとしたような様子になっていた。

「お嬢ちゃん達は、何を食べるのかなぁ?」と二人のテーブルへ水を運んでいった。

「そーねぇ、トンカツ定食にしよーかなぁ」ともえのあんこ、一方迷っていたガール曽根が「マグロ定食にしーよお」と告げた。

「トンカツ、マグロ、各一丁」とはぁ~爺が厨房へ伝えるのであった。

 その間もいたるところから「おかわりまだー」とひっきりなしに催促が飛び交っている。

 そんな状況を横目に、大食いコンビは「今日はラッキーねぇ、たまたま通り掛かった店がおかわり無料なんてねぇ」、「何杯おかわりしよーかなぁ、食費も浮きそう」と楽しげに会話をしていた。


「はい、トンカツ、マグロ、おまっちー」とはぁ~爺が、大食いコンビのテーブルへ配膳した。

「トンカツはボリュミーだけど、茶碗が小さいわねぇ」ともえのあんこ。

「マグロは新鮮で美味しそうだけど、やっぱ茶碗が小さいね」とガール曽根が続いた。

 はぁ~爺が厨房へ戻り掛けたその時、

「おかわりー」、「私もー」と後ろから二人の声がした。

「はぁ~」と言いながら振り返ると、ものの一瞬で茶碗が空っぽになっていた。

「意外と食べるんじゃね、丼にするかのぉ?」と持ちかけると、二人はうなずいた。


「ほい、丼飯じゃ」、「可愛らしい女性には似合わんがなぁ」とはぁ~爺が運んできた。

 そして、厨房へ戻ろうとしたら、また背後から声がする。

「おかわりー」、「私もー」と後ろから二人の声がした。

「はぁ~」とはぁ~爺も驚きを隠せない。

「早いのー」と言いながら、またおかわりを運んでいった。

 そんなことを数回繰り返し、さすがにはぁ~爺もただ者ではない二人組なことに気付いたようで、

「もう炊飯ジャーごと持ってこようか?」と言い出した。

すると、「大さんせー」と二人がニコニコしながら答えた。


「よいっしょ、これでどーじゃ」とはぁ~爺が大きめの炊飯ジャーを二人のテーブルへ運んだ。

 勢いよく飯を丼へ入れては、口の中へ運んでいく二人の女性達。

 さすがに、周りにいた大食いの男どももあっけにとられ、自分の箸を止め見学モードになっていた。


「食べたわねー」、「もうお腹いっぱーい」とすべてを完食した二人が満足気に語っている。

「はぁ~」とはぁ~爺が炊飯ジャーの中を覗き込んだ。

「ありゃ、たまげたのー、空っぽじゃないか」と驚いている。


 その夜、「ばぁさんや、今日は店が繁盛して良かったが、採算はどうなんじゃ?」

「売り上げは増えたけど、米代を考えると赤字ですね」とばぁさんが答えた。

「それにしても、今日来た二人の女性たちには驚いたよ」

「何者だったんじゃろ・・・」

 そんな時、TVの画面にその二人が肩を並べて映っていた。

 番組のタイトルは、『新旧爆食女王、超デカ盛りにチャレンジ!』


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