第十二話 びっくり屋へ取材がやって来た
びっくり屋という店名も珍しいが、その店には見れば誰もがびっくりするような爺がいる。その爺見たさに訪問客は日々増えていき、今や名物爺になったはぁ~爺のところへ、ついにTV局が取材にやってきた。
「このお店はなんで『びっくり屋』というのでしょう?」と女性アナウンサーが尋ねる。
「はぁ、はぁ、はぁ~?」はぁ~爺は緊張しながら応じた。
「だからですね、このお店はなんで『びっくり屋』というのでしょう?」女子アナが繰り返す。
「はぁ、はぁ、はぁ、なんじゃって?」はぁ~爺は耳が遠い上に、意外と緊張しーだったようで、会話にならない。
「だからー、なんで『びっくり屋』なですか?、あなたがみんなをびっくりさせるからでしょうか?」半分呆れながら女子アナが質問を繰り返した。
そんな光景を見かねた常連客が、「その通りですよ、見れば誰もがびっくりするでしょうー」と発した。
女子アナは、「ありがとうございます、おっしゃる通りですよね、私も正直今びっくりしています」と言う。
当のはぁ~爺はというと、モジモジしているばかりで、落ち着かない様子。
「では、再度びっくり屋の店主をアップにしたいと思います、カメラマンさんお願いします」
それを受け、カメラがはぁ~爺の真正面に向かい、ズームアップが始まった。
はぁ~爺は、興奮気味にカメラに向かい会い、へん顔を始めた。口を歪めてみたり、鼻をピクピクさせている。
「こんなわしのことを見て驚かない奴は、どーかしているよ」と自慢げに語りだすのであった。
「ではここで、びっくり屋の自慢メニューの紹介をお願いします」と女子アナが切り出した。
「はぁ~、そりゃありますがなぁー、メニューをご覧ください」と壁に指刺した。
「いろいろありますねぇ、お勧めはなんですか?」
「そりゃもう、フォアグラ定食じゃろーよ、本場フランスから取り寄せているからの」
「定食屋なのにフォアグラですかぁ、なかなか面白い組み合わせですね」
「ねーちゃんの口に合うかどうか・・・」とはぁ~爺が勧めた。
「じゃ、それ食べてみたいと思います」と女子アナがオーダーを出した。
しばらくして女子アナの前にフォアグラ定食が運ばれてきた。
一口食べ「わぁ、口の中でとろけますねぇ」と感動しながら女子アナが言う。
「でも、これとご飯って会うのかしら・・・」首を傾げる女子アナであった。
橋でご飯をすくったが、どうもしっくりこないようで、隣にあった味噌汁をご飯に掛け、そのまま茶碗にがっついてしまうのであった。
それを間のあたりにしたはぁ~爺は「なかなかいい食いっぷりだね、ねーちゃん」と言いながらニタニタしている。
食事を終えた女子アナは、もうすっかりはぁ~爺の虜になってしまい、最後に記念撮影が行われた。
はぁ~爺と女子アナが、店の前に並び「合言葉は~?」と女子アナが発し、そして二人そろって「はぁ~」と大声で叫んだのであった。
無事に撮影も終り、TVの放映日になった。新聞のTV欄にはこのような紹介がされている。
【世にも驚く『びっくり屋』、ついつい女子アナも暴走】
全国の視聴者が番組を見て、さらにびっくり屋は有名になったのは間違いないが、一方で女子アナは人気がダウンしてしまったのも間違いないでしょう。




