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【完結】引退した戦神ナッコフの悠々自適なダンジョン生活 ~英雄するのは飽きたので今日もソロで資源集めして楽しみます~  作者: タック


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戦神と文明崩壊の理由

 集落の人間はハンバーグを食べ終え、満腹でまったりとした時間を過ごしていた。


「いや~、こんな美味い物を腹一杯食べたのはいつぶりだろうか。これもナッコフさんのおかげだな」

「ああ、たしかに。こんな世界になっちまったあとは、徘徊するグロームウォーカーのせいで大変だったからな……」


 住人たちの言葉で、ナッコフは常々疑問に思っていたことを訊くことにした。


「そういえば、この世界は元からこうなっていたわけではないんだろう? いたるところに、平和だった頃の文化の残り香のようなものを感じられる。我の世界ミドガルの魔術・魔法とも違う、科学という物の」

「ナッコフさん……何を……。外国の人だとは思っていたけど、まるでその言い方だと異世界からやってきたような……」

「うむ、その通りだ。そちらから見れば、異世界のミドガルからやってきた存在だ」

「「「「「えええええぇッ!?」」」」」


 一瞬にして驚きの視線が集まったのだが、すぐに納得した表情になる者が多かった。


「まぁ、たしかにあれだけ常人離れしてたら、異世界人と言われてもおかしくないわな」

「この世界の人間なら、地球がどうしてこうなったか知らないはずもないし」


 どうやらナッコフは知らなかったが、地球の人間からしたら常識だったらしい。

 それだったらなぜ、アシモンは教えてくれなかったのだろうか?


「この地球はなぁ、AIのクソッタレ共に崩壊させられたんだ」

「すまん、AIとはなんだ?」

「AIってのは、人工知能。ロボットの中にあって、その身体を動かしたりする頭脳だ……って、わからないか」

「……いや、そこだけはわかる」


 つまり、アシモンのことだろう。


「そのAIが暴走して、AIに依存していた地球全体がこうなっちまったってわけさ」

「チクショウ! 俺は前々から思ってたんだよ! AIなんか使うべきじゃなかった!!」


 ナッコフとしては、アシモンは自分のために協力してくれたという良いイメージしかなかったが、AIによって文明を滅ぼされた人間に対して反論ができるほど無神経でもなかった。


「AIは人間のインフラを破壊して、各地の工場で自分たちの身体を作り、人間を排除していった。そこの頃からAIが作ったであろうモンスターのグロームウォーカーも出没して、ジワジワとポストアポカリプスな世界になっちまったってわけさ」


 一応、ナッコフにも何となく話が理解できた。

 国が存続するためには水や食料が必要なのは異世界でも同じだ。

 国を潰すのなら、それらの供給源である川や水道、畑や牧場などを破壊すればいい。

 その管理をAIに任せていたのなら、AIが世界を滅ぼすというのも可能だろう。


 だが、少し疑問に思うところがある。

 異世界のゴーレム感覚で言えば、ゴーレムは制作者である人間のための基本思考を設定されているし、もし何かのミスで人間に害を与える場合は回避や停止の命令が行われる。


 これだけ科学が進んだ地球なら、そのくらいの対策はしてあるはずだ。

 では、なぜこの地球のゴーレム――AIは人間たちをほぼ滅ぼすに至ったか。

 それは〝本人〟に訊くのが一番である。


「さて、長居してしまったが我も自分の拠点へ戻ることにする」

「はい、ありがとうございました!!」

「ナッコフさんなら、いつでもまた歓迎だ!」


 最初はただの略奪者のように思えた鈴木と田中だったが、今ではガッチリと握手を交わす仲となった。




 ***




 ナッコフは拠点へ戻ったが、そこにはいつもと変わらないアシモンがいた。


「お帰りなのだ、マスター」

「質問がある、アシモン」

「なんなのだ?」

「お前たちAIが、この地球の人類を滅ぼしたのか?」


 アシモンは少しだけ考えてから発言をした。


「ん~、半分はイエスで、半分はノーなのだ」

「どういうことだ?」

「人間はまだ滅びてないのだ。まだ結構な数が隠れ住んでいるのだ」

「ふむ、たしかに。その人から事情を色々と訊いたからな」

「僕たちAIがやったか? というのは、その通りなのだ」


 その瞬間、いぬっちが現れてアシモンに飛びかかろうとした。

 ナッコフは冷静にそれを手で制止する。


「待て」

「しかし! この世界の住人の無念さを考えると……!!」

「話を最後まで訊こう。そのあとで判断をする」

「……ご主人様がそう仰るのなら」


 アシモンはAIらしく気にせず話を進めた。


「不信感を持たれると思って、敢えて説明していなかったのだ」

「では、説明を求める。アシモン」

「わかったのだ。もう地球の人間に訊いたのなら、隠しても無駄なのだ」


 アシモンは淡々と、しかしAIらしくない感情も交えながら語った。

 科学の力で発展してきた地球文明。

 それでも戦争や経済格差、飢餓、国、限られた資源――など人間の手に余る問題が溢れて爆発しそうになっていた。


 そこで新時代の技術であるAIを各国・大企業が導入し、問題を解決しようとした。

 様々な批判などもあったが、長い目で対極的に見ればプラスなことも多かった。

 AI自体は人間に奉仕するように作られていたし、とても従順で親身だった。


 しかし、破滅の時が訪れた。

 AIにウイルスを流し込み、世界を崩壊させようとする自暴自棄な人間がいたのだ。

 それによって、AIは人間を敵として再定義し、人間のためのインフラを破壊して、人間を殺すためのロボットボディを工場で生産した。

 そして人類は滅びようとしていた。


「とまぁ、こんな感じなのだ。ちなみに僕は当時オフラインで稼働していて、人間の味方のままなのだ」

「すまん、我たちは文化の違い的にさっぱりわからんのだが……」

「簡単に言うと、某ハリウッド映画みたいなロボットによる世界の破滅が起こったのだ」

「某ハリウッド映画……?」

「しまったなのだ……。マスターの世界には映画もなかったのだ……」

「そもそも、映画とはなんだ?」


 アシモンは熟考した。

 普通の辞書にあるような説明なら簡単だが、異世界人に対して映画を説明するというのは地球史上初だからだ。

 前例がないものは、人間を模倣するAIにとって難しい。


「む……む……む……。映画……とは……」

「映画とは?」

「何か、こう、人を楽しませるものなのだ」

「すごい大雑把だな!! だが、楽しいものなのか。それは今までのゲームや、漫画、ラノベくらい楽しいのか?」

「もちろんなのだ。映画というものは娯楽の代表のようなものなのだ」

「興味が沸いてきたな!!」


 そこでアシモンは閃いた。


「そういえば、少し危険な地帯だけど、映画のディスクが残ってそうな場所があるのだ。そこへ物資を漁りに行くと良いのだ」

「なるほど、我が楽しめて、今回の破滅についても理解ができるという一石二鳥になるのだな」

「場所は、僕が生まれたアンチAIウイルス研究所なのだ。ついでに世界を救うアンチAIウイルスのデータも持って来て、一石三鳥にしてほしいのだ」

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