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ルミナの冒険  作者: サーディ
ルミナ この世界を学ぶ
34/58

ダンジョン⑨

「ギリギリ間に合いましたか。」


時が止まった空間の中で唯一動いている女神「つばさ」は周りを見渡しながら、リオの方を確認する。


もう少し遅ければリオに巨人の拳が入っていた。


それは致命的な一撃となり原形をとどめず肉塊にしていたことだろう。


「まにあっては・・・・。ルミナが・・・ルミナが。」


言葉を紡ぐことはできた。この不思議な空間をリオは順応したわけではなかったが、心の声として漏れていた。


「ルミナ?・・・・・ああ、その子ね。生きてるみたいよ。」


「・・・本当ですか?」


つばさの言葉に、確かめるように聞き直す。


「見えるようにすればいいわけね。ほいっと。」


つばさはそう言うと、リオを巨人の拳から遠ざけ視線をルミナがいた場所へ向くように体を動かす。


そしてルミナのいた場所に刺さっていた羽を消去する。


そこには素っ裸で傷一つなく、大の字に倒れているルミナが見えた。


あわててリオは目をそらそうとするが、視線を動かすことが出来なかった。


「仮にも勇者ですから、この子は。そんな簡単に死ぬようにはできてないわね。」


「・・・勇者?」


ルミナが勇者・・・リオは驚愕を隠せなかった。


女神つばさもルミナの状態に眉をひそめていた。


気を失っているのは計算外だった。何とタイミングが悪い。


役割を終えていない女神が、この世界に干渉する条件は割と厳しい。


いろいろな条件をクリアしてわざわざここにきているというのに、本人がこれではスキルを渡せないではいか。


現状でルミナを起こすことは規則に反することとなる。それはいろいろめんどくさい。たとえ夢咲ちゃんのお願いであってもだ。


そして女の子としても素っ裸の大の字で気を失っている姿は幻滅こそすれ、てを貸してやろうという気にはならない。


時間を止めておくこともあまり長くは出来ない。


どうしたもんかと悩んでいるつばさの眼に、涙をこらえ切れていないリオの顔が映る。


少し興味がわく。


「何を悲しんでいるのですか。」


つばさの問いかけに、リオは


「悲しいのではないのです。嬉しいのです。そして悔しいのです。」


涙を流しながら答えた。


「初めてできた友達が死んだと思った。俺のわがままに付き合わせたことで亡くしてしまうかと思った。」


命を懸けて戦うということがどういうことかわかっていなかった。


今まで戦ってきたことが安全に守られた中のことであり、遊戯の域を出ていない環境だと改めて知った


冒険者になる。本当の意味を知らなかったのではないか。


「そしてルミナが生きてくれていたのはうれしかった。けど同時にやはり何もできなかった自分が悔しいのです。」


自分一人では特攻をかけることしか選択になかった。一矢報いる?敵を討つ?本当にそう思って突っ込んだのか?破れかぶれなだけだったんじゃないか。


「ルミナが勇者・・・・だったとしても俺はこいつの横で戦いたい。それができなかった自分が悔しいんです。」


青い・・・・なんて身勝手な思いだ。


全て自分の都合ではないか。つばさはそう感じる。だけど・・・


「まさしく僕好みの子だ」


青い果実が一生懸命背伸びする姿は大好物だ。そこはかとなく萌える。


この子を使えばすべてうまくいくんじゃないだろうか。つばさは一計を案じる。


「リオ・・・といったわね。僕は女神つばさ。この地に勇者の力を与えにきたのよ。」


出来るだけや禁則事項に抵触しないように言葉を選びながら翼は告げる。


状況を作り上げるのだ。それだけで十分いけるはず。


つばさの言葉に、リオが答える。


「俺・・俺にも勇者の力をください。ルミナの横に並べる力をください。」


ほら来たわ。ちょろいわね。


流石自分が見込んだ人間である。


「汝、勇者の力を欲し者よ。汝はこの力を何とする。」


「ルミナの横に立つため。勇者の横に立てる騎士となるために」


くうううぅうううううわらえるぅううう。ほんと好みすぎるわ。


「ならば、勇者の騎士として立ちなさい。勇者の苦難に剣を持って守りなさい。そのためのスキルを汝に与えましょう。」


つばさは、夢咲から預かっていた「勇者スキルの欠片」と自分の固有スキル「飛翔」をリオに与える。


「勇者スキルの欠片」とは夢咲から預かっている、「本来ルミナが持つべきだったはずの勇者スキルの欠けている部分」である。


スキルの欠片と「飛翔」スキルはは青い光を発しながらリオの体に吸い込まれていく。


「その力は勇者の力。ルミナと力を合わせなければ真価を発揮できないでしょう。ですが汝らならば問題はないと信じています。」


実際わかんないけどねー。と、心の中でつばさは舌を出す。


分割されたスキルがどう影響を及ぼすのか、つばさにもわからない。そんな前例などないからだ。


まぁ起きていないルミナが悪いのだ。夢咲には仕方がなかったと伝えよう。うんそうしよう。


「そして試練を突破した暁には、汝にファンクラブ会員1号となる栄誉を授けましょう。」


「あ・・・・有難く頂戴いたします・」


リオは理解の範疇をとうに超えていたが、とにかく返事をする。


「最後に。試練についてですが、一撃で滅する力が必要です。大きな力を使用してもこのダンジョン内ならば問題ありません。ルミナと協力し試練を突破することを期待しておきます。」


本当はそこまで難易度を高く設定したわけではないが、できるなら()()()()()()()()ためにあえてそう伝えていた。


普通にクリアしてもらうだけでは困るのだ。


「では、頑張るのですよ。リオ。」


つばさはそういうと自分の存在を小さくしていく。そして灰色だった空間が元の白い空間へと塗り替えられていった。


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