異世界2日目②
もう何回目の釜交換だったか。
最初は結構屈辱的に感じていたものの慣れてくるとそういった気持ちが薄れてくる。
耐性がついたのだろうか。そんなものついてほしくはないが。
ただ、デメリットは確かにあるがこの状態、メリットもないわけではない。
エムさんがそばにいて情報収集しやすということだ。
この世界に来て一番問題となるのは、常識についてだろう。
子供でも分かることをルミナは知らない。
それはこの世界で生活するうえで、高いハードルを科すこととなる。
何より一番先に聞いておかなければならないことがある。
お金についてだ。
「お金はね、銅貨、銀貨、金貨で区切られていて、それぞれの国で金貨と銀貨は発行されてるんだ。」
エムさんはポケットから硬貨を取り出し、ルミナに見せる。
「これがラノティール金貨と銀貨、ラノティール王国が発行している硬貨だよ。」
確か今のレートは1.2だったかなーと呟く
レート?
オウム返しのようにルミナが聞き返すと、エムは次の様に説明する。
「金貨と銀貨にはそれぞれに価値にある鉱石、金と銀が使われていてね。その配合量で価値が決まってるんだよ。」
平均レートが1.0として他の硬貨と交換するときに、1.2倍分の価値がある。と考えればわかりやすいだろうか。
元の世界では為替というのが正しいかと思われる。硬貨の価値が元の世界では信用、この世界では価値そのものを硬貨に乗せるといった手法の違いだけだ。
「銅貨についてはね。世界共通となってるよ。含有量の違いの確認をするには手間がかかりすぎるからね。」
よくよく聞くと、銅貨5枚で昼食、10枚で夜食ということから、恐らく元の世界では銅貨一枚100円くらいの価値だろうと思われる。銀貨はその100倍、金貨は銀貨の100倍くらいだという話だった。
「買い物は銅貨が最小単位になるからそれに合わせるよう価格が設定されいるんだよ。あと、大体の取引は、銅貨、或いは銀貨で行われる。銀貨を使う場合には、含有量の確認が行われるから、取り扱ってる店じゃあないと使えないけどね。」
金貨に至っては扱ってる店が特別なものばかりだそうだ。
「だから、大体は銅貨を大量に持つことになる。お財布っていうのは結構目立つよ。」
取られないように注意しないとね。と教えてくれた。
「あと、貨幣の偽造は見つかれば死罪となるから気をつけようね。」
・・・・・その情報は怖いっす。いや、やりませんよ!
騙されることもあるから、お金の取り扱いには注意ってことだな。
ルミナは少し賢くなった。
「というわけで、お仕事頑張ってるルミナちゃんには、お小遣いもあげちゃうよ!」
「やったあああああああ。ありがとぉおおおお。次の釜も行っちゃうよおぉ」
銅貨5枚をとお財布を頂いた。相変わらずちょろいルミナであった。
さすがに肌がふやけてきたので、体を拭いて服に着替える。
もちろん着替えは一人で出来なかった。(悲しみ)
ここらで休憩しようかと、エムさんは馬車を止め、昼食の準備に入る。
ルミナは昼食ができるまで自由でいいよと言われる。ただし、あまり遠い所へは行かないようにとカラを御伴に付けられる。
まぁカラが居れば安心か。
ルミナは少し散歩をすることにする。
場所の幌の中ではさすがに窮屈であったから、ちょっと羽を伸ばしたい気分だった。
明るい日差しと、森の匂い。
住んでいた町とは全然違う、澄んだ空気と生き物の鳴き声。
開放的な気分に浸れる。森を歩くっていうのはこんなに気持ちのいいものだったのか。と認識を改めるに値するものだった。
それにしてもと、午前中エムさんと話していた情報について考えを巡らせる。
いろんなことが聞けたが、特にあまり話せないものの気になったことがある。
「スキル」についてだ。
「いいかい、ルミナちゃん。スキルっていうのは生まれたときに、女神さまから授けられる恩恵なんだよ。ただ恩恵といってもいいことばかりじゃないんだよ。スキルの使用には必ず「代償」が必要になるんだよ。」
僕のスキル「魔力空間」は幾分かの体力を代償としているんだよ。っと説明してくれる。
「だからルミナちゃんもスキルを持っているなら、その使用には十分注意しなければならない。代償が何か、はっきり確認する方法は自分しかないんだ。そういったことも考えた方がいいと思うよ。」
まさにアドバイスだった。
「ステータスオープン」
ルミナはエムに習ったように自分のステータスを確認する。
表示されているのは、名前、年齢。
容姿を決定する数々の数値。よくありがちな能力値とかの項目はない。
そしてスキルだ
スキルについては
「再生」
「ゴーレム召喚」
「勇者」
のスキルとと読めなくなっている欄がいくつか。
勇者スキルは健在だ。
だが意思で使えなかったところを見ると、発動方法に問題があるのか、或いは代償が足りないのか。
「ゴーレム召喚」はまず体力か精神力が代償だと思われる。湯船ぷかぷか事件から推察できる。
「再生」はなんだろう。代償の話を聞いてからは、スキルを停止している。
そのうち検証しないといけない。
あと、スキルは成長するらしい。
エムさんの「魔力空間」も最初はそこまで大きいものを入れれなかったそうだ。
使用し続けて今の容量を得たといってた。
・・・・・まてよ・・・成長・・・女神の言ってたことを思い出せ・・・確か
”「その中で勇者スキルを十全に使いこなせれば戦闘力は53万となります。」”
・・・使いこなせれば・・か。
きっとそういうことなんだろう。俺は使いこなせていないだけなのかもしれない(使えてもいない)
と、すると最優先はゴーレム召喚の強化と、再生スキルの代償探しだな。
”「できることはできるうちにやっておくべきことだとは思わないかい?」”
エムさんの言うとおりだ。
まずはできることからやろう。
ま、やるべき一番とはゴーレム召喚に他ならないですよね。
このためにこの世界に来たのだから。
その前提を覆してはならないのだ。
「まずはイメージだな。」
ラノベ知識をフル動員させ、こういった場合に必要な項目を列挙してみる。
「召喚スキルにおいて、物体のイメージが鮮明であるほど、再現率が高い。」
「込める魔力。この世界では代償か。代償をいっぱい使えば発現力が高まる」
「挙動命令も必要。もしかしたら召喚時に決定される可能性もあるな。」
「召喚後維持にも代償がいるのかもしれない」
これに注意してやれば必ず成功できる。
すべてラノベからの想像であった。
まずはイメージから。「ニューガンダム MG」。ここは完ぺき。寸分たがわず思い描く。間違えるはずがない。
そして召喚後の行動。とりあえず、歩行をイメージする。(飛行だと動いてる感じが出ない可能性を考慮)
そして召喚を維持する時間を10秒と設定する。
とりあえずこんなところだな。
「いでよぉ!ニューガンダム」
込める気持ちは全力全開。
気合一閃、一球入魂、その言葉のとおり魂を込めて念じる。
そうすると、空間に歪ができ、描いたニューガンダムが現れる。
まだだ!まだ油断はしない。とっても喜びたいけど、まだだあ!
そのまま気合を込め続ける。
その思いに答えるように、ニューガンダムはルミナが思い描いた通りの、動作「歩行」を開始する。
そして10秒後。ふっとそのまま消滅した。
ラノベ・・・・すげぇえ・・・大体あってるわ。
やはり明確なイメージがすべてだった。
召喚したい!ってだけでは駄目だということだ。
ふふふ・・・コツはつかんだ。すぐにマスターしてやんぜ!
ルミナは再度召喚を実行した。
最終的にやりすぎて気を失い、カラに背負われ戻ることになる。
エムにまたまた怒られるのだった。
とうとう、相棒の召喚に成功するルミナ。
それにしてもラノベすげぇえ。




