第3話 耳舐め
(・・・・・・いや、は? 耳舐め・・・・・・? 俺が、妹に・・・・・・?)
急に言われたんでうっかり何も考えずに普通に耳舐めしてしまうところだったが、良く考えればおかしいところしかない。
(いや、どういうことなんだよ・・・・・・なんで俺にそんなことさせたいんだよ・・・・・・というか、これなんか変なミッションしかなくないか!? たまたまか・・・・・・?)
たまたまではなく、仕様であるがシュロはそんなことを知らない。
(バカかよ! 妹の耳舐めをするなんてそんなことする兄貴がどこにいるんだよ! そんなこと──)
シュロはそのミッションを無視しようとしたのだが、頭に浮かんだのは先ほどミッションを達成することでちゃんと上がったレベルのことと、ボロボロの筆箱を使い続けるルラの姿だった。
(・・・・・・)
シュロはしばらく逡巡していたが、やがて決心した。
「なあ、ルラ」
「何? お兄ちゃん」
「俺に、お前の耳を舐めさせてくれないか?」
兄として未だかつて聞いたことのないセリフである。
ルラは、ちょっと目を丸くして驚いたような表情をしていたが、やがてにこっと笑って言った。
「いいよ!」
「え、いいのか・・・・・・? 自分で言うのもなんだけどかなり変な頼みだぞ、これ・・・・・・」
「いいよ! お兄ちゃんのことだし、きっと何か理由があるんでしょ? 私は大丈夫だよ! 耳を舐めるくらい平気!」
お兄ちゃんのことを信頼している、とてもいい妹である。出来ればもっとシリアスなシーンでこういうやり取りはしたかった・・・・・・。
「えっと、じゃあ・・・・・・舐めるね?」
「うん! 遠慮なくベロベロ舐めちゃってよ!」
「いやベロベロは舐めないよ・・・・・・犬とかじゃないんだから・・・・・・」
シュロはグッと顔を近づける。妹の耳をこんな間近で見ることなんてなかなかない経験だ。
(あ、いや、そういえば妹の耳かきをしてあげた時はこんくらい近くで見た時もあったか・・・・・・)
「そういえば、最近耳かきとかやってなかったな」
「そうだね」
「・・・・・・今度やるか?」
「うん!」
今度耳かきをする約束をしたところで、いよいよ舐めに入る。
(耳舐めか・・・・・・けっこう聞いたりするけど自分がやることになるとは思わなかったな・・・・・・)
もちろん、シュロはスマホを持っていない。しかし、昔からの友達が、なんでか知らないけどけっこうな頻度でおすすめの耳舐めASMR音声を聴かせるためにスマホごとシュロに貸してくれるのだ。まあ、その友達なりの気遣いではあるのだと思うが、独特な気遣いではある。
まあ、だからけっこう聞くのだが、まさかそれを自分でやることになるとは夢にも思わなかった。
(今度、自作の耳舐めASMR音声でも作ってプレゼントとかしようかな・・・・・・いや、恥ずかしいからやめよう)
とにかく、今は眼前の耳である。
ルラは、シュロに聞いてきた。
「ねえ、私のそこ、変じゃないかな・・・・・・?」
「別に、変じゃない。むしろ、綺麗だよ・・・・・・」
「そっか。よかった」
・・・・・・なんか、耳舐めをするだけだというのにちょっと妙な雰囲気である。
ルラの肩に手を置き、顔を近づけていく。実際、ルラの耳は綺麗でそういう意味では舐めることにそこまで抵抗感はない。
シュロは、その小さくなった舌をルラの耳の中へと挿し込んだ。
「ひゃっ!?」
「ど、どうした?」
「い、いやちょっとくすぐったかっただけ・・・・・・つ、続けて大丈夫だよ・・・・・・!」
「そ、そっか・・・・・・」
シュロは言われた通り続けることにした。
けど、いきなり耳の穴の中に舌を挿れるのは早過ぎたかと思って、最初は耳の外側の部分から舐めていくことにした。
「ん・・・・・・んむ・・・・・・」
初めは、耳の外側の穴の周辺とかを舌でなぞるように丸く舐めていく。時々は、耳たぶをはむっと柔らかに、痛くないように噛んでみたりもする。
「・・・・・・」
ルラは顔を真っ赤にさせて俯いてしまっている。やっぱり耳舐めはきつかったか・・・・・・と思いながらも、今さら止めることは出来ないとシュロはそれを続けていく。
ルラはまだ小学生で、知らなかったのだ。耳舐めというものを。耳舐めの快感、心地よさというものを。しかも、その初めてをしているのは大好きな兄である。ルラには刺激が強くて、頭の中、心の中が色んなものでぐしゃぐしゃになっていた。
(何やってるんだろう、俺・・・・・・)
シュロはそう思いながらも、心を押し殺して無心に耳舐めに専念していたが
(でも、ただ耳を舐めるだけっていうのもなんかちょっと寂しいよな・・・・・・)
そう思ったシュロは何か言うことにした。
(何を言おう・・・・・・うーん・・・・・・いつも聞いてるASMR作品を参考にして・・・・・・)
シュロは、一旦耳から舌を離してから囁いた。
「ふふっ・・・・・・耳、おいしい」
(耳おいしい・・・・・・? 耳おいしいってなんだ・・・・・・?)
なんかちょっと変なセリフをチョイスしてしまった。
(聞いてる時はそんな疑問に思わなかったけど、今改めて自分で言うとけっこう変なセリフだな・・・・・・なんだよ耳おいしいって・・・・・・耳からグルタミン酸でも出てんのかよ・・・・・・)
そういえば、前に耳が甘くておいしいって言われる耳舐め音声があったような気がするけど、耳が甘くておいしいわけなくないかと思ったことがある。砂糖でもまぶしてあるのかなって思った、いい思い出だ。(作者の実体験)
まあとにかく気を取り直して、言葉でも責めながら舐めていく。
「ふふっ、真っ赤になっちゃってルラはかわいいなあ」
「うう・・・・・・だ、だって仕方ないじゃん・・・・・・」
「耳なめなめされるの気持ちいいね? ルラは耳が弱いのかな?」
シュロはふーっと耳に息を吹きかけた。
「ひゃうっ!」
「びくってしちゃって、かわいいね」
耳の穴の中まで舐められて、気持ちよさそうな声をあげながら背筋を走るゾクゾクとした快感に戸惑うルラ。そして──
(なんだか少し・・・・・・楽しくなってきたかも)
楽しくなってきたシュロ。ルラを妖しげな瞳で見つめながら、薄く笑みを浮かべて耳を舐める様は、とても元成人男性とは思えないエッチさだった。子供らしい無邪気な悪戯っぽさを孕んだ妖艶さがある。
シュロは耳を舐めていく。そして終わったあとには・・・・・・
「はあ、はあ・・・・・・」
頬を紅潮させ、息を荒げたハイライトの消えたルラが床にくたっと寝転がってしまっている。
(やらかしたなあ・・・・・・)
シュロはそれを見ながら、普通にやらかしたなと思うのだった。
◇
「一緒にお風呂入ろうよー!」
しばらく経って。
復活したルラがそんなことを言い出した。
「ああ、そうだな」
一緒にお風呂に入るのはいつものことだ。大体いつも2人で一緒に入っている。ただ、いつもと違うのは──
「やっぱり女の子の体になってるんだねー!」
「うん、そうだな・・・・・・」
服を脱いで改めて認識する。センターからもらった服を着るのにはセンターにあった早着替えの魔道具で着替えたから、性転換してから裸になるのはこれが初めてだ。
シュロは曲がりなりにもハンターで、戦闘を生業としているものだ。だからけっこうがっしりした体をしていたわけだけど、その面影は完全に失われている。腕は真っ白で容易く折れてしまいそうなほどほっそりしているし、体だってほっそりとして儚げで、魔物と戦うことなんてとてもではないが出来なそうに見える。むしろ、騎士に護られる幼いお姫様のようだ。
ただ、レベルとか、攻撃力や防御力などのステータスは男だった頃と変わっていないので、別に魔物と戦う分には支障はないんだろう。体が変わってしまったのに、不思議だ。
浴場へ入ると
「じゃあ私が洗ってあげるね!」
ルラがそんなことを言ってきた。
「別にいいよ・・・・・・」
「ダメだよ! 女の子の髪は乱暴に扱っちゃダメなんだって友達が言ってたんだから!」
「そ、そうなのか・・・・・・?」
「そうなんだよー。だから、私が女の子の髪の洗い方教えてあげるね!」
なんだか立場が逆になっている気がする。まあいいか・・・・・・とシュロはニコニコしながら教えてくれるルラを微笑ましそうな顔で見守った。
そして
「ひゃっ! ちょ、どこ触ってんだよルラ!」
「ふふふ・・・・・・さっきのお返しだよー!」
「ちょ、そこは・・・・・・ひゃあっ!」
まあ、そんな感じでルラにたっぷりと仕返しをされてしまった。
「あの・・・・・・あのさ、お兄ちゃん。お兄ちゃんさえ良ければ、その、またやってくれないかな・・・・・・?」
「え・・・・・・?」
ここにまた1人、脳を焼かれたやつが誕生したのだった。
そしてこれよりのち、さらにミッションの内容はエスカレートする! 乞うご期待!
前に本当に耳が甘くておいしいって褒めてくれる耳舐め音声を聞いたことあるんですよね・・・




