第百四十七話「酔いどれ銀河、静かなる夜明け」
ヒカリ荘の屋上、時間テラス。
星空を見上げながら、いつものメンバーが酒を囲んでいた。
「よーし、今夜は飲むぞ〜! 空模様? 明日の風に任せとけ〜!」
最初に声を上げたのはもちろんサン。陽気なテンションは飲み会の号砲だ。
「へへっ、俺、流星のカクテル持ってきたよ! “願いのしずく”ってやつ!」
グラスを揺らすのは流星。光る星屑入りの自家製ドリンクは、見た目も味も幻想的だ。
「ちょ、待って待って、オレにも注いで〜! 虹色になるやつある!? やば、超キレイ〜!」
虹が目をキラッキラさせて叫ぶ。服も声も派手で、すでにテンションが頂点。
「ふわぁ……なんか、すごいにおい……あ、これおつまみ? もくもくしてる……」
雲はすでに酔っているのか寝ているのか分からない。空気のような存在感がさらに希薄に。
「風、風ってば! 飲み比べしよーよ! おいしさ早く流し込もうぜ!」
「うはっ! じゃあオレ“秒速5杯チャレンジ”いってみる!誰かストップウォッチ持ってる!? いや風速計か!?あはは!」
「よぉし、お前らァ〜! DJカミナリのお通りだァァ! 今宵は雷鳴のビートに乗せて〜……乾杯ィィィ!!!」
雷がラップで乾杯を叫んだ瞬間、グラスが空を舞った。
――空の宴は加速する。
流星はカクテルの配達を間違え、虹は自分の反射光に感動して涙を流し、
雲はつまみにされたマシュマロを“同族”だと思って抱きしめ、
風は誰かの秘密を勝手に叫び、雷は気づいたら自分をスピーカーにしていた。
サンはというと、タンクトップ姿で星空に向かって「地球は俺が照らすんだあぁ!!」と叫び、
誰よりも先に盛大に倒れていた。
──やがて、夜が静けさを取り戻し始める。
そこへ、ゆっくりと現れたのはルナだった。
散らかったグラスと寝転ぶ男たちを見下ろし、静かに言う。
「……酔ってるだけなのに、やけにキラキラしてるのね。」
夜空に、月がやさしく微笑んだ。




