第百四十六話 女子たちの、ひかりと銀河の午後
「静かに始まり、深く語り、笑って終わる」
――そんな理想の女子会が、銀河荘のラウンジで開かれていた。
集まったのは、月のルナ、水星のメル、土星のドナ、海王星のカイ、そして銀河代表・アンドロメダ。
「このテーブル、すでに重力歪んでない?」とメルが冷静に分析する中、
「むしろ感性が引き合ってるのよ」とカイが詩的に応じる。
「どっちでもいいけど〜、ティーセットが映えるの〜」とドナが写真を撮っていた。
ルナはといえば、みんなの様子を見守りつつ、静かに紅茶を注いでいた。
「ルナって、いわば“夜の空間デザイン”担当よね」とアンドロメダが言うと、
「それは新しい表現ね」とルナが笑う。「あなたも、“銀河の構造美”って感じだけど」
二人の言葉は、まるで静かに重なる旋律のようだった。
一方メルは、ふと腕時計を見てつぶやく。
「こうしてる間にも、太陽系の平均軌道半径は変動してるのよ」
「それより〜、フォロワー数は増えてるの〜」とドナが言い、即座にみんなでスマホチェック。
カイがぽつりと呟いた。「遠くにいる星も、孤独ではないの。想いの波長が、時を超えるから」
その言葉に、ルナは小さくうなずく。「きっと誰もが、自分だけの“光の距離”を持ってるのね」
アンドロメダはテーブルを見渡して言った。
「銀河って、ほんとはこんなふうに話す場だったのかもね。物理じゃなくて、対話として」
「……名言っぽい〜」とドナがちゃっかりメモしていた。
夕暮れの気配が宇宙にも満ちてきて、ラウンジの光がほんの少しやわらかくなった頃。
五人の星たちは、いつものようにそれぞれの軌道へ戻っていった。
ひかりと銀河をまたいだ、あたたかくて静かな午後だった。




