↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

誕生日

第4章 • 第1部

今日は僕の5歳の誕生日だ!

僕はものすごく嬉しい。

前世も含めて考えると、もう12年くらい誕生日を祝っていないんじゃないだろうか?

僕たちには昔からお金がなかった。 特に僕の誕生日に使えるようなお金なんて、ほとんどなかった。

そして、この世界に生まれ変わってからも、誕生日を祝う暇なんてなかった。 ずっと魔法の勉強ばかりしていたからだ。

でも、ついに5歳になった。 5歳といえば――節目の年だ! かなり重要な数字だろう!

昨日の朝、ロイは僕を町へ連れていってくれた。

アンナが僕のために誕生日のご馳走を作れるように、肉や野菜、果物を買うためだ。

僕たちが帰ってきたのは、夕方になってからだった。

その間、ロイとはいろんなことを話した。

そして――

ついに僕の誕生日当日になった。

僕とロイは、家から追い出された。

どうやら、邪魔にならないように外で時間を潰してこいということらしい。

まあ、僕たちには特にやることもない。

というわけで、僕たちは剣術の訓練をすることになった。

僕は、ここでロイを驚かせてやろうと思った。

今の僕は、少しだけ魔力を操れる。

それなら、自分の身体を強化して、僕の実力を見せつけるくらい簡単だろう。

「見てろよ。きっと驚くぞ!」

僕は丸太の前に立った。

しっかりと構え、ゆっくりと魔力を両腕と両脚へ流していく。

「さあ、やってみろ、坊主!」

僕は自信満々の笑みを浮かべた。

そして――

一瞬で、丸太に向かって完璧な一撃を振り下ろした。

丸太は真っ二つになった。

しかも、二つの断面が見事なくらい綺麗に分かれている。

よし! これでロイも僕の実力を――

そう思った瞬間。

僕の両腕が、ありえない方向へひっくり返った。

「ぐっ……あああああああっ!」

激痛が走る。

僕が痛みにうめいている一方で、ロイはずっと笑っていた。

……息子が両腕を折ったのに笑うって、こいつ本当にまともな人間なのか?!

「ははは……まあ、いい。ほら、俺が治してやる」

「いらない! 自分で何とかするから、あっち行って!」

僕は涙を浮かべながらそう言った。

「悪かった、悪かったって」

僕は仕方なく無詠唱魔法を使って、自分の腕を治した。

発動するまで数分かかったけど、それでも無事に治すことができた。

おかげでロイを驚かせることには成功した。

……まあ、ある意味では作戦成功だ。

その後、僕たちはいろんなことを話した。

ロイは、昔騎士団に所属していた頃の話をしてくれた。

どうやらその頃、彼は教会にいた、とある女性を追いかけていたらしい。

その女性は――「神の子」と呼ばれる存在だった。

「神の子って何だって?」

昔は、本当に神の子のような存在だったらしい。

なぜなら――

神々の……種から生まれていたからだ。

……まあ、今ではそんな意味では使われていない。

現在では、生まれつき普通の人間とは違う特徴を持っている人たちのことを「神の子」と呼ぶらしい。

例えば、ものすごい力や防御力を持っていたり、膨大な魔力を持っていたり。

あるいは、たった一種類の魔法だけを、異常なほど上手く使えたりする。

そして、その女性は――

治癒魔法を得意としていたらしい。

二人は数か月もの間、誰にも知られないように密かに会っていた。

しかし、それが周囲に知られてしまった。

その結果、二人はこの村へ逃げてくることになった。

二人は騎士団の総司令官に助けを求めた。

すると、総司令官は教会から二人を隠してくれたらしい。

正確には――

何らかの方法で教会に圧力をかけ、二人を放っておくようにさせたらしい。

……でも、何か見返りを求めなかったのか?

それに、総司令官は教会に対して、いったいどんな弱みを握っていたんだ?

どうしてそんなに簡単に手を引かせることができた?

そのことについては、ロイは教えてくれなかった。

たぶん、ロイ自身もあまり詳しく知らないんだろう。

そんなわけで――

僕たちはほとんど一日中、いろんなことを話して過ごした。

第4章 • 第2部

ようやく夕方になった。

僕たちは家へ向かった。

家の中に入る前から、いい匂いがしていた。

玄関を開ける。

すると――

そこには、料理でいっぱいになったテーブルがあった。

みんなが僕を祝ってくれる。

「誕生日おめでとう!」

全員が声を揃えて叫んだ。

僕は危うく耳が聞こえなくなるところだった。

状況を理解する暇もないまま、アンナとラナが僕のところへやってきて、プレゼントを渡してくれた。

「おめでとう!」

プレゼントは――

マントだった。

しかも、見ただけでオーダーメイドだと分かる。

どうやら、これからあと20年くらいは着られるように作られているらしい。

その次に、ロイがやってきた。

僕は、てっきり剣か何かをプレゼントしてくれるんだと思っていた。

でも、違った。

ロイが僕に渡したのは、魔石と模様がついた手袋だった。

「お前、剣士としてはどうしようもないからな。せめて魔法では役に立つといいな」

……ひどくない?

ララはというと――

僕の絵をプレゼントしてくれた。

ちなみに、かなり上手に描けている。

……まあ、仕方ない。

僕の部屋に飾ってやるか。

「みんな、本当にありがとう!」

僕はプレゼントを全部二階の自分の部屋へ運び、それから再び食卓へ戻った。

今なら分かる。

どうして子供たちが、誕生日が永遠に続けばいいと思うのか。

こんなに嬉しい気持ちになったのは、本当に久しぶりだ。

いや――

もしかしたら、こんな気持ちは今まで一度も味わったことがなかったのかもしれない。

とにかく……。

この日は、僕のこれまでの人生の中でも、最高の日の一つだった。

いや――

もしかすると、一番最高の日だったのかもしれない。

第4章 • 第3部

翌朝、僕は早くに目を覚ました。

みんなはまだぐっすり眠っている。

まあ、当然だ。

昨日は夜遅くまで誕生日を祝っていたんだから。

……まあ、僕はみんなよりずっと早く寝たんだけど。

どうやら、その後は僕抜きで宴会を続けていたらしい。

……っていうか、僕、この世界に生まれてもう5年になるんだな。

できるだけ前世のことは思い出さないようにしている。

でも、ときどき――

うまくいかない。

そういえば最近、僕はこの世界の言葉で考えることすらある。

それだけ、この言葉に影響されているということだろう。

とにかく、僕はそのことを考えるのをやめるために、外へ出ることにした。

時間は朝の5時か6時くらいだった。

まだ日の出前で、太陽は出ていない。

でも、もう完全に暗いわけではない。

空は灰色だった。

理由は分からない。

でも、僕は昔から、日の出前の早朝に外へ出るのが好きだった。

灰色の空を見ると、なんだか落ち着く。

僕は5分ほど、その空を眺めていた。

そして――

ふと、視線を下へ落とした。

そこには、一通の封筒が落ちていた。

僕はそれを拾い上げ、読もうとした。

その瞬間――

ロイが僕の手から封筒をひったくった。

そして、そのまま僕の肩に寄りかかった。

「これ……何だ? うわ……頭がクラクラする。目の前がぼやけて、何も読めない……」

「僕が読もうか?」

「ちょっと待て……」

驚いたことに、ロイは僕たちの中で一番早く起きていた。

昨日はアンナやラナよりも酒を飲んでいなかったらしい。

僕はてっきり、ロイも酒を飲むことには抵抗がないと思っていたんだけどな。

まあ、それはともかく。

ロイはものすごく眠そうな顔をしながら、5分ほどかけてその手紙を読み解こうとしていた。

そして――

「これはお前の叔父さん、ガレンからだな。誕生日に来られなくて悪かったって。それから、忙しかったって書いてある。ったく、クソ野郎め。自分の甥っ子の誕生日にも来られないなんてな」

「叔父さん……ガレン?」

「ああ、そうだったな。お前はたぶん覚えてないだろ。お前がまだ赤ん坊だった頃に、一度うちに来たんだ」

いや。

僕はちゃんと覚えている。

でも、僕は驚いた。

まさか、ガレンがそもそも僕の誕生日に来るつもりだったとは。

……いや、待て。

ここは――

覚えていないふりをしたほうがいい。

そうしないと、ちょっと怪しまれるかもしれない。

「なるほど……」

「お前、なんでこんなに早く起きたんだ? もう少し寝ろ」

「いや、僕は――」

「父さんと一緒に寝るぞ」

僕が反論する暇もなかった。

ロイは僕を片手で軽々と持ち上げ、そのままベッドへ連れていった。

そして、ベッドに横になった瞬間――

眠りについた。

僕はそのまま20分ほど、なんとか抜け出そうと頑張った。

でも――

結局、僕自身も眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。