ラナとララ
さらに一年が過ぎた。
そして――
僕は自分の言葉を撤回したい。
剣術は――ものすごく、ものすごく難しい。
これは本当に信じてほしい。
僕は毎日のようにボコボコにされ、そのうえ剣を千回も振らされている。
最初は簡単だと思っていた。
でも、完璧な振りを千回繰り返すというのは、とんでもなく難しい。
しかも、一回でも完璧じゃない振りをすると――
最初からやり直し。
もしかして、ロイって単純に教えるのが下手なんじゃないか?
……こんな人に教わるんじゃなかった。
まあ、そんなわけで、僕はよく訓練中に魔法を使ってズルをしていた。
でも、ロイはすぐにそれに気づいて、僕を叱る。
僕は軍隊の兵士か何かなのか?!
まあ、それはともかく――
無詠唱魔法の研究についても話しておこう。
相変わらず簡単ではない。
でも、最初の頃よりはかなり上達した。
そして、僕は無詠唱魔法にはいくつかのメリットがあることに気づいた。
例えば、好きな形に魔法を変えることができる。
それに、好きなだけ魔力を込めることもできる。
だから、六か月間一生懸命に訓練した結果、僕は初級魔法をはるかに超えるレベルの魔法まで使えるようになった。
もちろん、これにはアンナの力も大きい。
なんといっても、初級魔法や基礎魔法を教えてくれているのはアンナだからだ。
そんなある日――
アンナが僕に、ある知らせを伝えてきた。
「今日から、あなたには治癒魔法を教えるわ」
僕はすぐに喜んだ。
だって、ずっとアンナに教えてほしいと頼み続けていたんだから!
……しかし、アンナはまだ話し終わっていなかった。
「だから、今日から戦闘魔法の勉強はもう終わりね」
「えっ、なんで?!」
僕はもちろん、治癒魔法を教えてほしかった。
でも、そのために戦闘魔法の勉強をやめるなんて聞いていない。
な、なんで……?
「ねえ、ヴィック。私は治癒魔法を専門にしているの。戦闘魔法は少ししか知らないし、私が知っていることはもう全部あなたに教えたわ。だから今日からは、私の親しい友人にあなたを教えてもらうことにしたの。彼女は経験豊富な魔法使いだから、きっと私よりあなたの力になれるわ」
アンナがそう言った直後――
玄関の扉が開いた。
そして、中から一人の美しい女性が入ってきた。
大きな胸と、見事なスタイル。
甘い香りが彼女の周りから漂っている。
波打つ紫色の髪が、太陽の光を受けてキラキラと輝いていた。
年齢は、アンナより十歳くらい上だろうか。
彼女は僕のところまで歩いてくると、いきなり僕の頭を撫で始めた。
「まあ、なんて可愛い男の子なの!」
「この子はヴィック。私の息子よ」
「ふふ、ヴィックね。初めまして。私はラナ。あなたのお母さんの昔からの友達よ」
ラナ?
……そういえば、覚えている。
アンナがよく話していた名前だ。
てっきり、かなり遠くに住んでいるんだと思っていた。
まあ、それはどうでもいい。
もし僕がこれからも戦闘魔法を勉強できるなら――
それだけで十分だ。
「それでね。この子がこれからあなたの戦闘魔法の先生になるの。それに、Aランクの冒険者でもあるから、かなり経験豊富よ」
「そうそう。それと、あなたは気にしないかしら? うちの娘も一緒に訓練することになるんだけど」
そう言って、彼女は自分の隣にいる少女を指差した。
正直に言うと、最初はその子の存在に気づかなかった。
だって、僕の目はラナの……その……大きな胸に釘付けになっていたから。
でも、よく見ると――
その娘は母親とそっくりだった。
もちろん、何十歳も若いけど。
そして、どうやらかなり恥ずかしがり屋らしい。
ずっと母親の後ろに隠れている。
「はい、もちろんです!」
それでも、彼女とは仲良くなれそうだ。
もしかしたら、彼女のお母さんとも仲良くなれるかもしれない。
……まあ、僕は今まで女の子と友達になったことなんて一度もない。
でも、たぶん問題ないだろう。
「この子はララ。とても恥ずかしがり屋だけど、あなたたちが仲良くなってくれると嬉しいわ」
「はい、もちろん!」
「それじゃあ、よかった。明日から始めましょう」
そう言うと、二人は帰っていった。
でも――
家の中には、まだ甘い香りが残っていた。




