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白銀が護りし緋の神子 ―金霞の五星―【完】  作者: おやまみかげ(・8・)
白銀番外編

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*白銀劇場* 〜とある長兄の裏仕事〜


 ※本編に全く関係ありません。

 時系列でいうと、ぼたん加入後くらい。


 これは、とある長兄が密かに行なっている処理のお話――。




 この日も旭は、早朝から書斎にこもっていた。

 ぼたんという優秀な右腕ができたとはいえ、総司令代理も担っている今、時間は常に足りないくらいだった。


 不意に扉が叩かれ、使用人が入ってくる。


「失礼いたします旭様。こちら、先程届きました」


 豪奢な作りの封筒を手渡された。

 ご丁寧に家紋まで箔押しされている。

 使用人が出ていくと、旭は渋々封を開けた。


「またか……」


 封筒から出てきたのは、身上書(プロフィール)と大量の写真。

 そして、長々と書かれた紹介状だ。


「家柄も相楽より低いというのに……」


 旭は大きなため息をつく。

 憩が白銀に所属し外に出るようになってから、頼んでもいない縁談が毎日来るのだ。

 

 全く、手紙1枚でキミの何がわかるっていうんだ。

 こんな不届な奴の元へ、憩を嫁がせるわけがない。

 せめて、自ら足を運ぶのが礼儀ではないのか?

 挨拶もなしに、紙切れ1枚でどうにかしようとするなんて。

 そもそもあの子には、相応しい相手がいるんだ。


 ぶつぶつと、身上書を見ながら愚痴をこぼす。


 旭は便箋を取り出すと、万年筆を手にする。

 几帳面な字で、相手方に手紙を書きはじめた。


 拝啓 初夏の候。

 先日は妹への手紙、感謝申し上げます。

 大変ありがたい申し出ではございますが、

 貴殿に対し、我が妹は勿体なく存じます。

 目に入れても痛くない大切な妹を、

 貴殿の元に嫁がせる気は一切ございません。

 誠に勝手ながら、以降の申し出は固くお断りいたします。

 敬具


「よし、これでいいだろう」


 旭は丁寧に便箋を折りたたみ、家紋が入った封筒へと入れる。

 何度同じ文章を綴ったのかなんて、もう記憶にない。

 それでも、不届な奴に憩を嫁がせるわけにはいかないんだ。


 旭は使用人に封筒を手渡す

 

「これ、速達で出してきてもらえるかい?

 期待させてしまっていると申し訳ないからね」

「かしこまりました。旭様、こちらも先程届きまして……」


 申し訳なさそうに差し出される手紙。

 これも中身はどうせ同じなのであろう。


「ありがとう。すぐに返事を書くから少し待っていてほしい」

「かしこまりました」


 旭は書斎で再び文字を綴る。


 重度のシスコン兄貴の手によって、少女の未来は知らぬ間に護られていた。


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