第22色 滾れ、廻れ、赤き血よ
長にもう一度会い、〈械鳥〉の場所までの地図を貰った僕たちはその場所へ向かった。
そこまでの馬車を用意してくれていたらしくそれに乗って行く。
「倒し方はどうする?」
ワイドが聞いてくる。本当なら僕も3人の戦い方を答えたかった。だが、街で『白洗』を使ってからはもうそんな考えではなくなっていた。
「僕が一人でやってもいいか」
「ジュークが?」
「ああ。無理だったら3人でやる。だけど、最初は一人でやらせてほしい。」
レブとワイドは少し考えた後、
「分かった。それで行こう。ただ3人の戦い方だけ教えてくれ。」
「分かってる。」
そうして話をしている間に〈械鳥〉がいる平原に着く。
「行くぞ。」
そう言って僕達は戦場に出た。
〈械鳥〉は平原の中央を旋回していた。だが、飛び方に違和感がある。話の通り羽に怪我をしているらしい。あの鉄の塊のような羽にどうやってあんな抉るような傷を付けたのかは気になるところではあるが今はそれよりも奴の殺し方だ。
「クギュァァァァァァァァァァ!!!!」
僕を補足した〈械鳥〉はその傷の怒りとでも言うように一直線に僕の元へ飛びかかってくる。それを後ろに飛んで躱し、そのまま顔に向けてあの白剣の一閃を叩き込む。
だが、浅い。咄嗟に頭を引かれたせいで掠った程度のダメージに済まされる。
どうすればいい。詰めて行くか?それで追いつけるのか?追いつけたとして致命傷になる一撃を与えられるか?
「『白洗』」
余計な思考と記憶を消して、頭を落ち着かせる。
この前街で『白洗』をしてときにこれまでとは違う、『白』によってできた記憶の隙間、そこに誰か知らない記憶がなだれ込んできた。
機械獣を殺せ、殲滅しろ、あいつの仇だ。血で染めろ、BM。
その記憶の所為で、〈械鳥〉に対して抑えきれない怒りが湧き出る。癖で『白洗』を使いそうになるが使えばもっと酷くなるという直感に従いどうにかこの衝動を抑え、感情を落ち着かせる。
そして〈械鳥〉の方に向き直すと翼の機械が唸り、そこから竜巻がこちらに向かってくる。
どうにかそれを横に回避し、〈白剣〉の新たな使い方、いや、「本来の」使い方を自分のできる範囲で再現する。
「『刀身拡張・直剣』」
その言葉で左手の剣の刃が三つに分かれ、持ち手と分離する。右の剣の刃は長方形になっており、気持ち小さめになったか?
そして右の剣に持ち手が合体する。それに続いて刃も合わさり元より少し長い直剣となる。
それを確認した僕は、記憶の中の一つを言葉として紡ぐ。
「『血染』」
その言葉とともに刃が開き、刀身が更に長くなる。それによって出来た隙間に先程まで左手となっていた僕の『血』が流れ込む。はめる手が無くなった手袋がパサリと地面に落ちる。
使い方は、体が覚えている。血が体をサポートすることで身体能力も上がる。そのおかげで奴の竜巻も難無く躱せる。そして軽く飛び、剣を振るう。
音も無く、〈械鳥〉の体が縦にズレる。恐らくだが、自分が死んだことにすら気づかず死んだ。
明らかに届かない距離だった。だが、届く。剣を振る瞬間、刃を拡張。すぐさまその中に『血』を流し込む。そうすることでほんの数秒、刀身を拡張させる事ができる。ぶっつけ本番だったが、上手くいった。
離れたところにいたワイドとレブが駆け寄ってくる。よかった。周りを見れていなかったから何か流れ弾が当たっていなかったか心配だった。
その時、僕らの間に光が堕ちる。
その人を、僕達は知っている。
「よう、ジューク、ワイド、そして、レブ君?」
僕らの先生、ライラ・シューツがそこに居た。




