10.別視点からはこう見えます
☆別視点
桜七海は、ダンチューバーである。
ライブ配信者として、活動している。
チャンネル登録者数は現在、1万人を突破した。
数日前は100人だったことを考えると、かなりの進歩である。
デビューして、数日で100人超える人はかなり多い。
その為、これから先本気で伸ばすにはかなり厳しい数字だと考えていた。
もう、引退をいつにするか考える程であった。
そんな時、
『100人は凄いと思うよ。うん、凄い』
そう言ってくれたダンチューバーがいた。
あの余裕は、おそらくナナミよりも実力があるのだろう。
しかし、謙虚にチャンネル登録者すらも言って来なかったのである。
だからこそ、自分を恥ずかしく思い、努力を重ねた。
単なるアイドル系ダンチューバーではなく、実力派アイドルダンチューバーとして成長する為に、様々なダンジョンを冒険しようと考えた。
しかし、焦り過ぎたのだ。
「だ、誰かああああああああああっ!」
上野駅のダンジョンの3層まで潜り、A級モンスター達を倒す所までは良かったのだ。
だが、なぜか本来そこにいないハズのベヒーモスが出現した。
~チャット欄~
・ナナミちゃん逃げて!!
・誰かいないのか!?
・いる訳ないだろ!!
・いるかもしれないだろ!!
・マジで誰か近くにいる人、助けてあげて!!
(ごめん……みんな……)
死を覚悟した。
その時であった。
・足音聴こえね?
・助けに来てくれたのか!?
・ここのリスナーか!?
(足音……確かに誰かが走って来る)
命の危機に、助けてとは言った。
しかし、S級モンスター相手に戦いを挑もうものなら死んでしまうだろう。
犠牲者が1人増えるだけかもしれない。
それを考えると、ナナミは罪悪感があった。
「だ、誰かいるんですか!?」
思わずそう言うと、ベヒーモスの視線がナナミから別な方へ移動した。
そして、なんとその視線の元から人が走って来たと思ったら、ナナミとベヒーモスの間に割って入ったのである。
・助けてくれとは言ったけど、そりゃ無茶だ!
・いや、待て、よく見るんだ!
サングラスとマスクと帽子といった、身バレ防止スタイルのその人はベヒーモスの攻撃を弾いたのだ。
特に弾いた動作があった訳ではない。
(嘘!? S級モンスターの攻撃を弾いた!?)
・は?
・え?
・何が起こったんだ?
・有識者です。これは結界魔法で攻撃を弾いています
・結界魔法って超高等な魔法だろ!?
(結界魔法……聞いたことがある)
だとしたら、勝機はある。
「ブホォツ!?」
(え?)
・ベヒーモスふっ飛んだ!?
・そして死んだ!?
・専門家です。結界魔法の応用で、ベクトルを操作しています
・ベクトル操作って、あれ都市伝説的な結界魔法の使い方じゃなかったか?
そんな凄い人が助けに来てくれた。
物凄い幸運だったのだろう。
ただ、
「あ、えっと……あ、あなたは一体……」
どこか見覚えがあるような気がして、思わず聞いた。
「通りすがりの冒険者ですよ」
謙虚な答えが返って来た。




