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9.攻略動画を撮影しましょう

「次の企画は高難易度ダンジョンの攻略にしようと決めた訳だけど、どうしようか?」


 問題は色々とある。

 まず、場所を選ばないといけないという点だ。


「あまり人と出会わない場所がいいな」


 目立った行動は避けたい。


「この前のダンジョンがどこか分からないけど、今度もまたある程度人が来ないような所だったら問題ないかな?」


 とは言っても、ギラの住処にある大量のダンジョンゲートがどこに繋がっているかは分からない。


「直接現実世界のダンジョンゲートに行って、そこから入る形にしよう」


 ムロは自室で、高難易度ダンジョンについて検索をかけた。


「高難易度ダンジョンは、ここから近い所だと上野駅にあるダンジョンかな? 渋谷もいいけど、あそこは人が多いからやめておこう」


 上野駅も人は多いが、渋谷よりは少ない。


「という訳で行くよ」

『ああ!』


 スマホ画面には、ギラが映っている。

 テイムモンスターは、【モンスタークリスタル】という特殊なアイテムに入れて、ダンジョン間を連れ歩くことになる。


 しかし、ダンジョン外のアイテムは外には持ち出せない。

 外に出た時に持っていたアイテムは、ダンジョンに入ると再び手元に来る。


 その場合、クリスタルに入れたモンスターはダンジョンで寂しい思いをしなくてはならない。

 それを解消するのが、このダンジョン公式アプリである。


 これがあれば、ペットの監視アプリみたいな感じで、中の様子を見れる。

 ちなみにクリスタルの内部は東京ドーム何個か分なので、広さ的には申し分なさそうだ。



(上野駅のダンジョンゲートはここか。あまり人に会いたくないな)


 上野は人が多いので、嫌でも人に会ってしまう。

 一応身バレ防止としてマスクにサングラス姿で来た為、身バレはしないだろうが、それでも人に注目されるのは避けたい。


(さっさと、ダンジョンの奥の方に進もう)


 ムロはダンジョンゲートを潜ると、岩に囲まれたフィールドに周囲が早変わりした。


(無事入れたな。よし! 後は奥に進んでいこう!)


 ムロは走って、ダンジョンの奥へと進んでいく。


「この辺ならいいか! ギラさん、出番です!」


 水色のクリスタルを目の前にかざすと、そこから銀色のドラゴン、ギラが飛び出した。


「【光学迷彩】!!」


 ギラが叫ぶと、ギラの姿が一瞬にして消えた。

 だが、実際にその場からいなくなっている訳ではない。


 その銀色のボディを利用し、光を屈折し背景に溶け込むギラのスキルである。


「それにしても、そんなスキルが使えたなんてね」


 これならバレる心配もない。


「どんどん突っ込んで行こうぜぇ!!」


 階段を降りて行き、3層にまで到着した。

 ここまで来れば人が少ない。


 この辺りはかなりの高難易度なので、ここの攻略動画を出して視聴者を集めよう。

 もっとも、攻略動画と言っても……


「おらっ!!」


 ギラが殴る、蹴るなどによりモンスターを倒していくだけなのだが。

 そもそも、真面目な攻略動画にするつもりはない。


 モンスターの弱点などはネットで調べればいくらでも出てくる。

 だから今回は、まさに「攻略」する様子をただ単に映した動画にする予定だ。


 ちなみにカメラに映す時は、光学迷彩は解除させてある。


「それにしても、ギラさんは凄いな」


 段々と慣れてきたが、A級モンスターのプロミネンスタイガーなども、飛び蹴りで倒している。


(A級モンスターを一気に討伐! これは絵になるな!)


 このまま奥へと進んでいく。

 流石に上野ダンジョンの3層には人がほぼいない。


 Aランク向けなので、当然と言えば当然だろうか。

 そのおかげで、ずっと光学迷彩をさせておかなくても、大丈夫そうだ。


 そんなことを考えていると、


「だ、誰かああああああああああっ!!」


 叫び声が聴こえた。

 おそらくこの奥だろう。


「これは絵になるか!?」


 実在する人物を救出する動画。

 これは絵になる。


 そう思っていたのだが、


「あらら……」


 なんと、ドローンカメラが飛んでいた。


(ドローンカメラが飛んでいるってことは、配信者ってことか……)


 しかも、よく見たらこの前チャンネル登録者を自慢して来た人である。


「だ、誰かいるんですか!?」


 ベヒーモスが今にも彼女に襲い掛かろうとしている。

 そんな中、冷静さを忘れずにムロは状況を分析する。


(彼女を襲っているモンスターは確か、ベヒーモスか)


 彼女がこちらを向いたせいか、巨大な獣と龍が混ざったようなモンスター、ベヒーモスはこちらを向いた。

 そして、そのまま襲って来そうなポーズを取った。


(やばいっ! なんでこっち向くの!? さっきあの人襲ってたじゃん!!)


 ムロは新たなプランを考えた。

 自分から彼女の目の前に立ったのだ。


「グオオオオオオオオオッ!!」


 ベヒーモスは叫んだ。

 ムロは足が震えたが、死なない策を用意してあった。


(【身代わり】!!)


 ベヒーモスの口から、黑い火球が飛び出し、それはムロにぶつかったが、


(身代わりの効果で、全てのダメージはギラさん持ちだ!)


 勝手に使った訳ではなく、何かあったら使ってくれと言われているからその好意に甘えているだけだ。

 そして何より、これくらいのダメージであればギラは無効化できる。


 そして、


「ブホォツ!?」


 ベヒーモスは突然壁にめり込み、光の粒子となって消滅した。

 それを見た配信者の彼女の顔は、ぽかーんとしたものである。


(光学迷彩で姿を隠したギラさんが、ふっ飛ばしたのかな?)


「あ、えっと……あ、あなたは一体……」


 チャンネル登録者を自慢されたことを根に持ちながらも、優しい声で言い放つ。


「通りすがりの冒険者ですよ」

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