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修復の難しさ

私『まさか、迎えに来てくれるとは思わなかった。』


佐村『・・・。』


男のくせに、ねちねち怒ってる。私も悪いんだけど、自分が誤解してただけのくせに。


私『夕食は食べてないよね。私も食べてないんだ。』


佐村『今日は食う気しねえよ。』


私『そんなこと言わないで、嘘をついてたこと謝ってるじゃない・・・。』


佐村『・・・っち。』


舌打ちが聞こえた。あームカつく。さっさと家に帰って寝よう。私だって、夕食を食べる気なんてなくしてる。気を利かせてあげてるのに、くうーっ、ムカつく!!


朝になるとサムも落ち着いたみたいで、いつものサムに戻ってた。私はそんな簡単に舌打ちの音を忘れない。


佐村『今日は人見から貰ったチケットで映画を観に行こうか。』


私『・・・。』


佐村『なんだよ、まだ怒ってんのかよ。俺の誤解ってことで落ち着いたじゃん(笑)』


この態度・・・私が男でサムが女ならボコボコにしているところだ。


私『でも、アニメを夫婦で見るの・・・ロマンティックな気持ちにならないと思うけど。』


佐村『俺も良くわかんないんだけど、人見は名作だって言ってたぞ。』


私『へー、映画好きの公子は見てるのかな。どちらにしても、行かないともったいないよね。今、話題だから人見も手に入れるの大変だっただろうし。』


サムは長い髪を縛りサングラスをかけて、深く帽子を被った。中ヒット止まりのくせに。中途半端に顔を知られているから、ファンでもない人たちからサインや写真を求められるのが嫌なんだって。子供が産まれたらどうするのだろう。


私『さて、デートなんていつぶりでしょう?』


佐村『スケジュールが詰まってるから仕方ないだろ。この夏もイベントあるし。』


なにも、毎日イベントに呼ばれてるわけじゃないだろ。お互い避けるのはもうやめよう。一人目を授かるまでは恋人気分を忘れない方がいい・・・って、人見がアドバイスしてくれた。鬼嫁になるのは子供が産まれてからの方がいいとも言われた。


私『そうだよね。忙しいもんね。でも、週に一回くらいはどこかに連れてってよ。傷ついた心を癒さなくちゃいけないから。』


佐村『・・・そうか、俺が色葉の心を癒さないと、改善しないんだよな。改善って言うのはおかしいか。』


サムは私に帽子を被せた。


私『私も変装するの。』


佐村『人混み苦手だろ?』


サムはサングラスも差し出した。


佐村『行こうか。』


私『化粧してないんだけど。』


最近、一緒に出かけることがないから忘れてるのだろう・・・ということは、この半年間、女とお出かけしていないということ?


佐村『ごめん、焦ってた(笑)まだ時間はあるから、ゆっくり化粧すればいい。』


サムは人見と違って、大胆な優しさは見せないけれど、小さな優しさはさりげなく見せてくれる。それに惹かれたんだから、私もサムの小さな優しさを拾ってあげないとね。


久しぶりにサムと街に出た。初めてサムと映画を観た。


私『高校生のときに一度だけ公子に誘われてアニメ映画を観たんだけど、映像が進化してたね。そのせいで、あまり物語が頭に入ってこなかった(笑)』


佐村『俺はもう一回観たいな。何度も観て分かるような映画だと思うぞ。』


私『へー、意外だね。アニメにハマっちゃう?』


佐村『ハマったらダメか?』


私『イメージ崩れそう。お店、寄ってもいいかな?』


昨日の今日だから、サムは無言でいいとも。見るだけだから荷物持ちにはならないよ。


プルルルル・・・


佐村『はい・・・。』


仲谷『あれ、憔悴してる?』


佐村『いや・・・別に・・・。』


仲谷『昨日の件はどうなった?』


佐村『今、二人で映画を観終わって・・・なんて言うのかな、これ・・・色葉が店内を物色してるから、一人でベンチに座ってる。』


仲谷『付き添ってあげなよ。』


佐村『3軒目でダウンだよ、こっちは。この店で5軒目・・・意味わかんねえよ。どれもこれも同じじゃないか。服はまだ分かるけど、バッグなんかは最後まで使い続けろよ。買うもんないなら、連れ回すなよ。』


仲谷『私が説教されてんだけど(笑)バッグや靴って、その日の気持ちで変えたくなるものなのよ。私は仕事で、そんな時間はないけど(笑)』


佐村『あ、色葉が来たから切るぞ。』


仲谷『佐村。』


佐村『ん?』


仲谷『子作り頑張って。』


佐村『・・・うるせえよ(笑)』


ピッ


サムはダウンしたけど、買いたい服やバッグを数点覚えてきた。子供が産まれたら、こんなことも中々出来なくなってしまうのかな。子作りは来年に持ち越そうかな・・・。


私『ごめんね。じっくり見てたから時間がかかっちゃった。』


佐村『(自覚があるならいいか・・・。)全然気にしてないって・・・ん・・・やべ!!』


学生とサラリーマン、OLさんたちの大行進が始まる時間帯だ。私たちは急ぎ足で自宅へと帰った。


私『はあ、はあ、ヒールなのに・・・夫婦なんだから別に指差されてもいいじゃない・・・あーキツい・・・。』


!?


サムが抱きついてきた。は?無理やりキスをされたから、必死でもがいて突き放した。


私『何すんの!!』


佐村『え・・・い、いや・・・その・・・お互いがその気になるのが大事かと思って・・・。』


私『はあ!?意味わかんない・・・怖いって言ってるのに・・・うう・・・。』


佐村『何も泣くことないだろ・・・。』


私『近寄らないで!!出て行って!!』


佐村『待てよ!!出て行ってはないだろ!!ここは俺の家だぞ!!』


私『じゃあ、私が出て行く・・・優しいところが好きだったのに・・・。』


ガチャ・・・


私の帰る場所は人見の家しかない。母さんがいないから、父さんの代わりをしてくれる人見の家しかないのだ。それにしても、怖かった。サムに襲われるとは思わなかったから・・・。


人見の家に着いた。そういえば今日はレコーディングで居ないんだった。スタジオに寝泊まりしてるはず。どうしよう、鞄しか持って来てない・・・。


ピンポーン


どうせ、出るはずない・・・


ガチャ


え!?


人見『どうした?』

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