日常へ
ふ〜、サッパリした。サムはもう上がってるかな。
麻里『そう・・・だから、離婚は絶対に避けたいんだ・・・。』
佐村『もう、人見もいないし・・・色葉のことを理解出来てる男って俺だけだと思うんだ。』
あれ・・・麻里?
麻里『理解してるなら、遅くなるときは電話くらいしてあげなよ。』
佐村『ああ・・・それもな・・・俺は電話してるし、色葉の了解も取ってるんだ。』
麻里『どういうこと・・・?』
佐村『物忘れが激しくなってるんだよ。それだけじゃない。何度も同じような話を繰り返したりもしてる。でも、年齢のせいにするには、まだ若い。色葉が自覚しているかどうかもわからない・・・生活に支障はなさそうだけど・・・。』
麻里『それって後遺症・・・?』
佐村『俺は医者じゃないからわからないだろ。また、温泉に入りに来たんじゃなかったのか?色葉遅いな・・・。』
麻里『そんな色葉がもう一人妊娠するの・・・?大丈夫かな・・・。』
佐村『俺も二人目を産ませるのは抵抗があるんだ。ここ何年か、『もう一人欲しい』って言われることは、何度もあったけど、その度にはぐらかしてきた。』
麻里『どうするのよ、今日はそのために来たんでしょ?』
そうだよ・・・そうだって言ってよ・・・。
佐村『俺は旅行先で子供のことについて、話し合おうとしか言っていない。』
麻里『でも、色葉はその気でいるんじゃないの・・・。』
佐村『・・・色葉を探しに行ってくれないか。さすがに遅いからさ。』
麻里『・・・わかった。』
麻里は女湯に入って行った。
佐村『・・・。』
私『サム・・・。』
佐村『あ・・・い、いつから・・・。』
私『・・・今だよ(笑)麻里とすれ違っちゃった。はやく部屋に戻ろうよ。』
部屋に戻ると夕食が片付けられ、布団が敷かれていた。サムはうつ伏せで布団の上に倒れ込んだ。
私『運転やサービスで疲れたでしょ。今日はありがとう・・・すごい、こってるね。』
佐村『・・・。』
私『サム?』
バッ!!
サムが私を押しつぶすような勢いできた。
私『きゃっ!?』
佐村『ははは(笑)こういう大胆な俺はどうだ?』
あー・・・本来の自分を抑え込まないと、保たないんだね・・・。
私『もー、びっくりした!!』
キスをされた。キスを返した。頬に、首筋に、唇に・・・胸をたどって・・・キスをされて・・・キスを返して・・・。
佐村『子供の話なんだけど・・・。』
私『うん。』
佐村『真剣な話だぞ。本当にもう一人欲しいのか。』
私『何度も言ってるじゃない。』
自分が思っている以上に言っているのかもしれないけど。
佐村『もし、子供が出来なくても落ち込むなよ・・・。』
私『ということは、子作りに付き合ってくれるの!?』
佐村『なに、驚いてんだよ。』
私『だ、だって・・・私・・・サムと麻里が私の話をしているの・・・聞いちゃったから・・・。』
佐村『聞いてたのか・・・。』
情緒不安定だ・・・怒ったり、喜んだり、泣いたり・・・まだ、部屋に帰ってきて10分も経っていないのに。
私『ずっと耐えてくれていたなんて知らなかった・・・私、このまま廃になってしまうのかな・・・サムや葉の顔も忘れてしまうのかな・・・。』
佐村『大丈夫だ。俺も葉も男なんだぜ?妻とママを守ることくらい出来なくちゃな(笑)』
私『ありがとう・・・サムと結婚して良かった・・・。』
佐村『それは、俺のセリフだよ。葉を産んでくれて、俺が家にいないときは葉を育ててくれて・・・俺、何してんだろ(笑)』
葉を授けてくれたのはサムだよ。
私『本当だよ・・・家にいるときも曲作りに頭を抱えてたりして、葉とあまり遊んでくれないもん・・・でも、変な夢のおかげで改善してくれるよね。』
私が離婚を持ちかけるなんて変な夢さん・・・ありがとう。
私『今夜はなんだか違うサムだったね。』
佐村『そ、そうか?いつもの俺と、今夜の俺、どっちがいい?』
私『いつものサム。欲を言えば葉を授けてくれたときのサム。』
佐村『そ、そうか・・・。』
私『子供出来るかな。』
佐村『出来れば・・・いいな・・・。』
私『もしも四人家族になったら、私、幸せに囲まれて・・・。』
情緒不安定な心が締め付けられてる・・・涙を我慢する、すすり音がサムに届いちゃった。
佐村『泣いてる?』
私はサムに背中を向けた。泣いてなんかいないよ、と言えなくて。
翌日の朝、私の化粧待ち。
佐村『まだ?』
私『まだ。実家に電話かけてよ。もう、帰りますって。』
サムはお義母さんに”ライブ”が終わったと伝えた。葉はまだ寝てるみたい。葉にとっても、いい休暇になったのかな。
私『終わったよ。』
また、日常へと戻るんだ。鈍感なサムとやんちゃな葉に手を焼く日常。お腹の中に6年ぶりに生命が宿ったら・・・
ガチャ・・・




