余計なお世話
道中、立ち寄ったお店でランチを食べた。これまた、道中で買った観光ガイドを店内で広げて、今夜のお宿を決めて、予約もバッチリで、お店の外に出ると・・・。
麻里『休暇は楽しんでる?』
ズコーッ
私『は、はや!!いつ来たの!?どうして、ここがわかったの!?』
麻里『室伏に会って、今後の予定を照らし合わせて、いい日にちを約束出来たから、こっちに来たの。室伏警備員がこっち方面に出て行ったって言うからさ。美味しいランチがあるお店も紹介してくれてね。たった今、バスを降りたところ。』
くそ・・・旅館選びに時間をかけ過ぎた・・・。
私『ただの休暇じゃないってこと、わかってる?』
麻里『もちろん。だから、同行させて貰って、勉強しようと思って。』
勉強・・・子作りを見学する気!?こ、この、ど変態め!!
私『葉がいないのは何故だかわかってるでしょ!!大事な旅行なの!!サムも、言ってやってよ!!』
佐村『・・・ついてきてもいいんじゃないか?』
ん、聞き間違いかな。
佐村『女友達が一人でもいた方が、お前いきいきしてるよ。麻里も常識くらいわかってるだろ?』
麻里『夜の邪魔はしないよ。』
私『ま、まあいいや。絶対に邪魔しないでよ。・・・旅館まで、ついてくる気?』
麻里『そりゃ、私も今週、暇だし。帰っても一人で寂しくピザでも頼んで食べて眠るだけだもん。』
そんな生活で太らないのが羨ましい・・・。
私『家計を担ってるのは私だからね。宿泊代は自分で払って。予約も、この本の58ページ右上の赤丸で囲んである旅館の番号に自分でかけて自分で予約をとって。』
麻里『ケチ。』
私『あのね、ケチとかそういう問題じゃないの。日々、家計簿をつけては頭を抱えて・・・。』
佐村『ごめん・・・。』
私『い、いや、稼ぎは十分なんだけど。無駄遣いが・・・』
うわぁぁぁぁ・・・麻里が現れてから、恋人気分がふわふわ・・・ふわふわ・・・風船のように、どこかに飛んでいっちゃう!!
麻里『予約は自分でするから、宿泊代をお願い。妊娠している間のランチ代の請求は我慢してるんだから。』
痛いところを突かれた私は妥協してしまった・・・無駄遣い・・・。
私は不機嫌だ。だから、サムに旅館に直行してと頼んだ。道中、寄りたいところもあったけれど、早く二人きりになりたかった。
旅館に到着。ロビーで鍵を貰い、部屋に入ろうとすると、違和感が・・・。
麻里『いい部屋じゃん。』
おい。
麻里『同行してるのに、夕食一人なんて寂しいから、旅館に交渉して、夕食はこの部屋に持ってきてもらえることになったの。』
私が麻里の予約を取ればよかった・・・空回りしてる・・・。
麻里『浴衣に着替えよ。』
ちょっと待てよ・・・私は、この麻里と一緒に温泉に入らなくてはならないのか・・・。
佐村『飯の前に風呂に行くか?』
麻里『温泉なんて久しぶりだよ!!』
うきうきしやがって・・・。
佐村『色葉は?』
私『わ、私は夕食のあとでいいかな。』
佐村『じゃあ、俺も夕食のあとにしよう。』
おっ。
麻里『私は温泉に入ってくる。』
麻里が部屋から出て行った。
私『やっと、麻里が離れたよ・・・なんで同行を許可したの!!』
佐村『麻里が中々結婚出来ないのは俺のせいでもあると思うんだよ。長く付き合っていた割に後半は形だけになってしまっていたからな・・・もっと、早く友達の関係に戻ってやれていたら・・・。』
サムの優しさは私にとって、はがゆいときもある。たとえば、こんなとき。もしも、もっと早くサムが麻里と別れていたら、私とサムは結ばれていない気がする。
風呂上がりの麻里と優しいサムと冷めた私の夕食。旬の懐石料理だ。
私『・・・。』
麻里『どうすれば長続きするの?』
私『知らないよ。正直に生きることじゃない?』
麻里『またまた〜、ヘソクリぐらい隠してるでしょ。』
私『この人の趣味に消えました。』
佐村『俺の場合は趣味じゃなくて、本業だろ・・・いや、夢だ。』
私『あのスタジオ、全く使ってないじゃん!!若いミュージシャンに貸し付けて、レンタル代を搾り取るとか、意味ある使い方は色々出来るはずなのに!!』
佐村『若い奴らを連れてきたら、お前が疲れるだろ?』
私『だから事前に教えてくれれば、対応出来るって!!いっつも、いっつも・・・。』
佐村『酒が入ったら忘れるんだよ。』
私『家族のことを忘れるの!?意味わかんない!!』
麻里『あ・・・あの・・・。』
なんだよ!!
麻里『喧嘩をしても、別れないのは何故・・・?』
え。
麻里『朝、起きたら仲良しなんでしょ・・・?』
佐村『俺は喧嘩してる気なんてないけど。』
私『私も。本当の喧嘩だったら、サムが煙草を持って別の部屋に逃げ出すもん。』
麻里『でも、次の日には・・・。』
私『まあ、二人とも忘れてるよね。朝は葉の通園支度もあるし。』
麻里『そう・・・わかった。勉強になったかも。』
勉強になった?もしかして、朝になったら、喧嘩していたことを忘れるってこと?
私『相手の人もリセットされているとは限らないよ。これは、私とサムだから成立するんだもん。麻里の場合は相手の人をよく知ることが第一だと思うよ。誰にでも同じ顔して接したりしてるんじゃない?』
麻里『難しい・・・。』
私『私が麻里に恋が長続きする方法を教えてるなんて、学生時代には考えられなかったね(笑)』
学生時代、私は麻里のような彼持ちが羨ましくて堪らなかった。先輩の手紙を勘違いしたり、公子にさえ先を越されそうだったから、人見に事実だけは作って貰ったり・・・。
夕食を平らげ、麻里は自分の部屋へと戻っていった。頑張ってね、だって。余計なお世話だ。余計なお世話だろうけど、私も麻里に頑張ってね、と言ってやった。




