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タイムスリップ

翌日、美知が葉を預かれるような状況ではないため、サムの実家に葉を預けることになった。


佐村『じゃ、よろしく。』


ピッ


私『お義母さん、預かってくれるって?』


佐村『むしろ、はやく会わせろだってよ(笑)』


私『助かるけど、私にとっては複雑なんだよね・・・好奇心旺盛な年頃だから、目を離さないように念を押してくれた?』


佐村『お袋もわかってるって。ブランクはあるけど。』


私『そのブランクが怖いの。今と昔じゃ勝手が違うから。葉、お婆ちゃんと一緒じゃなきゃ、お外に出ちゃダメだからね。ゼッタイ、ダメだからね!!』


葉『お外に出ちゃダメなの?パパ。』


佐村『女の子ならまだしも、ゼッタイ、ダメは厳しすぎないか?』


私『しょうがないよ・・・あ、鯉のぼりが飾ってあるじゃない!!』


実家にたどり着くと、年季が入った鯉のぼりが風に吹かれて泳いでた。


佐村『あれは多分、俺が小さい頃からあるやつだな(笑)葉が来るって知ってから、急いで飾ったのかな。』


車の音を聞きつけてお義母さんが出てきた。私は色葉の手を握り、車の外に出た。


私『お義母さん、お久しぶりです。お義父さんはお元気ですか?』


民子『元気過ぎて、昼からお酒飲んでるのよ・・・定年退職してから腑抜けになっちゃって・・・ヨシは迷惑かけてない?』


迷惑かけてますが、そんなこと言えるわけありません。


私『頼りになってます。葉や私のことも気にかけてくれていますし。』


ここまではお約束のやり取り。それはお互いわかっているはずだ。何の実りもない。そんな実りないやり取りのあとの息苦しさから救ってくれたのはサム。車を停めて歩いてきた。


佐村『昼飯は済ましてきたから、俺たちは葉を預けたら、すぐに出発するよ。』


民子『そう・・・コンサートも時間厳守だろうしね。』


佐村『ライブだよライブ。色葉も手伝ってくれるから葉の面倒を見てくれる人がいないんだ。』


民子『コンサートって、私たちも見学できるのかな。』


私『つ、疲れますよ。ワンマンライブだから、ファンの人たちで埋め尽くされますし・・・。』


佐村『そういうことだ。葉はやんちゃだから目を離すなよ。』


民子『わかってるわよ。最近、嫌な事件も多いし。コンサート頑張ってね。』


佐村『はいはい。』


サムは車へと向かった。


私『よろしくお願いします。葉も迷惑かけないようにね。』


葉『うん。お婆ちゃん、公園に行こう!!』


あっ、来てすぐなのに!?


民子『いいよ、お婆ちゃんとお散歩しようか(笑)』


葉『すいません・・・来てすぐなのに・・・。』


民子『いいのよ。孫は宝物だもの。』


孫は宝物・・・


民子『ヨシのコンサートのお手伝い頑張ってね。あの子は強がってるけど、心は繊細な方だから。』


私『・・・はい。』


離婚の夢を見て、焦っちゃうくらいだもんね。そんなサムが乗った車に私は乗り込んだ。


私『ライブなんて嘘ついて大丈夫?』


佐村『旅行を悟られないためには、そういうしかないだろ。どこに行きたい?』


・・・・・・はい?


私『旅館に予約とかしてないの?』


佐村『・・・時間がなかったんだよ。』


私『はあ・・・どうすんの。離婚の夢なんかに怯えちゃって、二人きりの旅行に誘ったのはそっちだよ!!』


佐村『怒るなよ・・・とりあえず、俺がやりたかったことがあるんだ。』


私『俺がって、どういう面で・・・。』


佐村『あの頃に戻ろう。』


サムはそう言うと車を走らせた。行き先は・・・古着屋さん?


私『なに考えてるの。』


佐村『高校生に戻って、恋愛してみよう。』


私『ロマンチックなこと言って、旅館の予約をしていなかった失態を誤魔化そうとしてるでしょ。』


私は愚痴を言いながらも、サムのあとを追い古着屋さんに脚を踏み入れた。


私『うっわ、懐かしい。』


佐村『ただの古着屋じゃない。俺たちが青春を過ごした頃の物がメインに置いてあるみたいなんだ。』


私『なんで、旅館の予約は取れなかったのに、こっちの情報はバッチリなの?』


佐村『この店、俺の知り合いの親父がやってたんだよ。当時は最先端のファッションを置いてたから、絶対に来たことあるって。』


私『そう言われてみれば、公子に誘われて来たことあるかも・・・ここって、人見と室伏が因縁吹っかけられた場所?』


佐村『その話は知らないけど、記憶にあるならそうなんじゃないか。』


新島『よっ、佐村。』


佐村『・・・新島さんじゃないか!!』


私『新島・・・あーっ!!に、新島先輩!?』


佐村『なんだ、お前も兄貴のこと知ってたのか。』


私『弟、居たんですか!?しかも、私たちの同級生に!?』


新島『・・・あ、俺もわかった(笑)白瀬だろ?弟はC組だったんだ。』


佐村『色葉はBだったもんな。それよりも、なんで二人が知り合いなんだ?』


新島『まあ、話せば長くなるからな。』


私『うん。サムに嫉妬されてもね。』


新島先輩は初恋の相手であり、初失恋の相手。どちらも勝手に私が挑んで負けたんだけどね。新島先輩は多分、私のことを保健室に運んだっていう思い出しかないだろう。何故、保健室に運んだのかという説明は面倒くさいからね。


新島『店内を自由に見て回っていいよ。俺がついて回ったら、居心地悪いだろ?』


私『ありがとうございます。』


店内には懐かしいものばかり。ぼろぼろのパンクシャツや、水色チェックのマリンルック、ミリタリージャケット、スタジャン、ポロシャツに色褪せたジーンズ、無地のひらひらスカート・・・。


佐村『これなんか、良く着てただろ?』


私『うん、好きだった。』


佐村『でも、俺はこっちの方が似合うと思うんだよなあ。』


当時から付き合っていれば、こんなやり取りもあったのかな。あれ?すっごく楽しいぞ!!


私『このシャツ着て肩まで袖をめくってみてよ!!』


佐村『今やると照れ臭いな(笑)人見がこれだったろ?』


私『学生服も置いてるよ!!麻里のスケバンタイプもある(笑)』


あの頃が蘇ってくる。高校1年、2年は楽しかった・・・3年生になると、家庭の都合でバイト生活になり、大きな事件も起きたから、あまりいい思い出はない・・・それでも、あの頃に戻りたいと思う。過去は無意識に美化されてしまうのだろう。


私『じゃーん!!』


佐村『いいじゃん。スカート姿なんて、いつ以来だ?』


私『セーラー服以来かな。サムも着替えてきてよ!!』


佐村『若返ったな(笑)』


若返った?意味深な一言。


佐村『はっずかしいな、これ。』


私『きっちり、インしてるね(笑)』


新島『さあ、どうする佐村。ワリカン?』


佐村『全部、俺が払うよ。これは無駄な買い物じゃないよな?』


私『80年代の男ならどうします?』


サムが全額払ってくれた。サムのお小遣いを補充してあげなくちゃ。さて、旅館の予約を・・・。


佐村『髪も遊ばないか?』


・・・・・・はい?


私『美容室に行くつもり?さすがに髪はマズイでしょ。テクノカット?前髪垂らし?ツーブロック?』


佐村『俺はしないさ、ポニーテールだよ。あの頃してただろ?ほら、ゴム。』


私『でも、今の私の髪は傷みがひどいから・・・。』


佐村『葉が生まれる前に比べたら、十分綺麗だぞ。』


私『まあ、ここまで可愛くキメちゃったし、ポニーテールくらいしてあげるよ。』


ポニーテールはお手の物。車のミラーで確認すると・・・うん。あの頃には勝てないや。


佐村『じゃあ、俺はこのサングラスで。』


私『ぷっ(笑)だっさいよ!!』


佐村『当時の俺の私物だ(笑)どこに行こうか?』


私『じゃあ・・・どこへでも。』


きっと、時間がなくて旅館の予約が取れなかったって言うのは嘘だ。真っ赤な嘘だ。でなきゃ、こんな格好なんかさせないし、自分もしないだろう。わざわざ、当時の流行歌を集めたMDなんか作っちゃって。私を楽しませようと必死なんだね。すっごく、楽しいよ。スカートなんて若返ったみたい。

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