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#47 深夜の

深夜、玄関のドアを激しく叩く音で自分は目を覚ました。


ソファーから起き上がり、ロウソクを片手に玄関へと向かう。

こんな夜更けの雪山で一体何事だろうか。


疑問に思っていると、ドアの向こうからくぐもった声が聞こえてきた。


「――誰か、誰でもいいから、助けてください……」


ルピナスの声だ。

彼女に何かあったのかと心臓が跳ね上がり、心配のままドアノブに手をかける。

その瞬間、次の声が聞こえだす。


「ナグ……サ様…………っ」


「……まだ、あの子たちに会えて……ないの……にー……」


「くそっ……知識だけじゃ……何の役にも……」


「……私は……まだ、作りたい……ものが……」


「ごめんねハートちゃん、ごめんね。私ももう、そっちに行っちゃう……」


ハート、ホオズキ、ランティア、ムスカリ、ナグサ。

仲間たちの悲痛な声が、次々と聞こえてくる。


あまりの恐怖に頭が混乱しながらも、彼女たちを助けようと勢いよくドアを開け放った。

しかし、そこに広がっていたのはただただ深い底無しの暗闇。

その中央に、黒い布を纏い巨大な鎌を携えた『何か』が静かに佇んでいた。


目の前の異形が、音もなく自分の顔へと近づいてくる。

そして自分に向かって、おぞましい声を囁いた。


『――お前の、仕業か』


あまりの恐怖に、自分の意識はそこでぷつりと途切れた。




「クローバー! クローバー、しっかりしてくださいっ!」


激しく体を揺すられ、自分は勢いよく跳ね起きる。


視界に飛び込んできたのは、朝日が差し込む明るいリビング。

そして、自分の顔を涙目で覗き込んでいるルピナスたちの姿だった。


「うわっ……あ、あれ……っ?」


「よかった……! ものすごくうなされていたので、みんなで心配していたんですよ!?」


ハートやヘリオたちも、心底ほっとしたように胸を撫で下ろしている。


先ほどまでの、みんなの悲痛な声を思い出す。

自分はたまらなく不安になり、目の前にいる彼女たちの体に夢中で手を伸ばした。


ルピナスの肩に触れ、ハートの腕を掴みその感覚を確かめる。


「く、クローバー……っ!?」


「ご主人様……?」


突然のボディタッチに真っ赤になって狼狽えるルピナス。

驚きつつもじっと自分を見つめてくるハート。


その肌からは、確かに生きた温もりが伝わってきた。

みんな、ちゃんと生きている。


(よかった……本当に、よかった……)


自分は深呼吸をして、激しく脈打っていた心臓が落ち着きを取り戻していく。


「ちょっと怖い夢を見ていたんだ。もう大丈夫だよ」


自分が苦笑交じりにそう返すと、今度はルピナスが不思議そうに首を傾げた。


「そうですか……。でもクローバー、どうして部屋ではなくリビングのソファで寝ていたんですか?」


「あー……それはね」


自分は冷や汗を流しながら、経緯を説明した。

ホオズキをベッドに寝かしつけた後、自室のベッドが召喚獣たちに占領されたことを。


すべてを話し終えると、ルピナスとハートが溜息をつき、同時に自分の耳元へとにじり寄ってきた。


「それなら私の部屋に来てくれればよかったのに……。クローバーだったら、いつでも歓迎しますよ」


「ご主人様がお望みでしたら、いつでも同衾させていただきますよ」


左右から、甘い吐息とともに囁かれる。


「っ! 流石にそれは色々と問題があるからさ、ほ、ほら! もう朝だし、みんなもお腹が空いたよね?   

 朝食の準備をしてくるからっ!」


自分は誤魔化すように叫ぶと、逃げるようにキッチンへと駆け出す。


「むぅ……、逃げられてしまいました」


「いきなり攻め過ぎちゃいましたね」


「……ボクもやりたかった」

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