56.『アメリカ最強の男』
NY編第2話!アメリカ最強のおでましです!
「えっ、軍?なんで?!えっ、軍?!」
アラタはパニックになる。そりゃそうだ。アメリカ軍に目をつけられたんだ。生きた心地がしない。
「...じゃ、私の仕事はここまd....」
「逃がすかぁ!頼むよぉ!俺を一人にするなぁ!ガイドォ!お前のデビューに星1つけるぞ!」
アラタは逃げようとするエリカを逃さない。必死にしがみついて逃げれなくさせる。
「勝手にしろぉ!私は軍に目をつけられるなんてゴメンだよ!だから、離せー!手を離せー!私から離れろー!」
「嫌だね!セクハラだとか、叫んだって構わねぇ!俺はまだ死にたくねぇ!それも自分の国じゃないところで!」
「私だってあんまり関わりのない日本の組織のために死にたくない!いやだ、嫌だだから!はな、は、離せーーー!クソガキーーー!」
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30分後
「...イヤダイヤダイヤダ....ワタシ、マダ、シニタクナイ...」
エリカはアラタに手を引っ張られてNYを歩いていた。向かう先は軍の最強の男がいるオフィス。めっちゃ高いビルの最上階だ。
「俺だって行きたくねぇよ。そんなおっかない場所。」
アラタはエリカをついてこさせるのにだいぶ手こずった。最終的に、『俺についていかなければ早乙女リリアにお前との契約を切ってもらう。』と言ったら凄く嫌そうだけどついてきてくれることになった。
「ダッテ、ダッテ、オマエ、コワイダロ...住所の場所が、私たちが呼び出された場所が場所じゃん....あのアレキサンダー・ヒルズの別荘だぞ?怖すぎるだろ!」
アレキサンダー・ヒルズ。日本人のアラタでも知っている名前だ。米軍最強の男。アメリカ最強の男だ。その男は強い能力者が生まれやすい日本や、母数が多いため必然的に強い能力者が多い中国やインドなどの国を抑えて、アメリカ軍を『閾の日』以降の新しい世界で最強の存在に仕立て上げたらしい。たった一人で。
理論や仕組みはわからないが、要はその男がいるからアメリカ軍は強い、ということだ。
正真正銘、『アメリカ最強の男』だ。
そんな男に呼び出された。生きた心地がしないのも当然である。
「アラタクン、コノビルダヨ...」
エリカが目の前のビルを指さしながらそう言う。凄く嫌そうだ。
「ありがとう、エリカ。じゃあ.........イクカ...」
アラタがそういった時だった。
「Mr.アラタ・獅童だな?アレキサンダー様がお待ちしている。ついてこい。」
銃を持っためちゃクソガタイの良い男がアラタに向かってそう言ってきた。
見渡せば、複数人の武装した軍人にアラタ達は囲まれている。
「ヒィッ!」
エリカがかるく悲鳴を上げる。無理もない。
「殺さないで!俺、日本に彼女いるから!まだ死にたくないから!やめて!やめてぇ!」
アラタもパニックだ。能力を使って逃げることも考える。
「何を言ってるんだ、ついてこい。」
軍人は呆れたようにそう言った。
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「まぁ、座りたまえ。」
アラタとエリカは用意された椅子に腰掛ける。
向かい側には少し豪華な椅子に白髪交じりの灰色髪の老人。青い目。赤と青のマント。優しそうな笑顔の奥に垣間見える圧。体は細いが、筋肉が隠しきれていない。体中に傷があることが歴戦の勇士であることを物語っている。
アレキサンダー・ヘイズ。62歳。能力は不明。アメリカ最強の男だ。
「はじめまして、私はアレキサンダー・ヘイズだ。よろしく。ところでアラタくん、君と取引をしたい。」
いきなり、アレキサンダーはそういった。
さっきの軍人もそうだが、日本語で話してくるのが驚きだ。よく見ると口元にマイクのようなものがある。まさか、アメリカの最新技術だろうか。
アレキサンダーが口を開いた瞬間にエリカが泡を吐いて上を向いたまま、動かなくなったのは放っておこう。
「取引?」
「あぁ。」
アレキサンダーはニッコリと笑う。
「私たちはあの遺跡でかなり年季の入った人骨を見つけた。情報によると、君たち真剣組はその骨を求めているらしいじゃないか。だから、その骨を君たちに与える。」
「えっ?!」
何ということだ、それを貰えばミッションクリア。アラタは日本に帰ることが出来る。
「が、無論、タダではやらん。条件付きだ。」
アレキサンダーはジロリとアラタを見つめる。
「キミは覚醒した能力者、さらには真剣組の主要メンバー。かなりの戦力になる。」
「そんな情報、どこで?!」
「ははっ、君たちは自分たちが思っている以上に有名人なんだ。あと、イオ星野のお気に入りだからね、君たちは。」
「はぁ....で、アメリカ最強が俺に何を頼みたいんです?」
「そうだな。簡単に言うと、NYに謎の巨大生物が接近している。その討伐に協力してほしい。戦闘機や軍艦を使ってみたのだが、どうも効果が少ない。上陸は防げないだろう。」
「えっ、それってヤバくないですか?」
「正直ヤバい。世界の大都市、NYで被害を出すだけにもとどまらず、アメリカ軍の名誉にも影響する。アメリカ軍が舐められたら犯罪率も増えるだろう。他の国が責めてくるかも知れない。」
アレキサンダーは立ち上がり、アラタの前へゆっくりと近づいていく。
「そこで君に協力してほしい。その巨大生物は日本で創られた可能性が高いらしい。巨大なクラゲでな。」
「巨大クラゲ?」
「心当たりがあるのか?」
「えぇ。」
「ぜひ詳しく!」
巨大クラゲ。たしか、セルジュが作った5大魔獣の中にいたはず。空を飛ぶ大きなクラゲ。ラクが言っていた。
そのことをアラタはアレキサンダーにすべて伝えた。セルジュという人間が魔獣を作ったことも、その中で特に強い魔獣が5体いて、そのうちの一体がそのクラゲだと言うことも。
「まぁ、俺もうろ覚えなんで。後でリリアに資料を送ってもらいます。」
「...ありがとう、アラタくん。」
「いえ、これで取引成立ですよね?遺骨をください。」
「いや、取引はまだだ。」
アレキサンダーは話を続ける。
「君には一緒にその魔獣と戦ってほしい。」
「えぇ?!」
「私たちは真剣組と仲良くしたいんだよ。それに、戦力は多いほうが良い。覚醒した能力者の価値を君はあまり理解していない。覚醒した能力者一人で能力者世界になる前の軍の部隊と同等の力があると言われているんだ。」
「マジで?!俺ってそんなに強いの?!」
「あぁ。ぜひ協力してほしい。」
「いやー、危ないことコワイし?命危険なんでしょ?俺的には十分情報提供で協力したと思うんだけどぉ、けれどぉ、アメリカ軍のトップからの誘い、断るわけ無いでしょ!かっこいい!報酬も高くつきますよね?ぜひお願いします!」
「ありがとう、アラタくん。」
アレキサンダーはアラタと握手をした。ゴツい、マメまみれの手。最強と呼ばれても努力をかかせていないことが伝わる手。
「では!」
「ちょっと待ってくれ、アラタくん。」
「なんですか?」
「できればでいいんだが、この人の元を訪ねてほしい。」
アレキサンダーがアラタに一人の名前が書いてある紙をわたす。
『篠塚レンサイ』
と。
「日本人ですか?」
「あぁ、日本のサムライだ。」
「なにそれ!かっけぇ!」
「ぜひ、彼の協力が欲しいのだが、なかなか協力してくれなくてな。日本人の君ならもしかしたら、と思って。もし説得できたら追加報酬をやろう。」
「マジすか?!いってきまーす!」
アラタはルンルンでエリカを引っ張りながらその場を後にした。
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「アレキサンダー様、本当によろしかったのでしょうか。」
「あぁ、国民を守るためだ。彼の力は欲しい。それに、万一の事があった時、動ける存在は不可欠だ。」
アレキサンダーは話しかけてきた部下にそういう。
「さらに言えば、真剣組とは友好関係を結んでおきたい。敵に回したら脅威になりうる。」
「あの少年がですか?」
「いや、彼も確かに十分脅威になりうるが、明確に言えばアラタくんではなく、緋ノ宮ラク....奴は国を滅ぼせられる能力者になるぞ。そんなやつを敵に回したくないだろ?」
アレキサンダーはゆっくりとエレベーターに向かって歩いていく。
「訓練の時間だ。行くぞ。」
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薄暗い部屋の中で二人の男がいた。
一人は黒と銀色の髪、痩せた体。闇ノ九柱、第2位、コラプスだ。
もう一人は短髪の黒髪、赤い目。闇の軍のトップ、光冥シン。
「で、シン。オマエのような人間を殺しかけた人物がいると?」
コラプスがシンにワイングラスを傾けながら聞く。
「あぁ。一人は緋ノ宮カグヤ。彼ならもしかしたら、できたかも知れない。そしてもう一人、私に消えない傷を残した男がいる。驚くべきことに、その男は非能力者だ。」
「そんな強い人間がいたのだな。」
「あぁ。篠塚レンサイ、という男だ。」
シンは自分の首元の傷をそっとなぞった。
アレキサンダーの能力は最強、ではあるんですけど、イオとは違うタイプの最強です。また後ほど明かされるでしょう。
さてさて、第1章の早乙女邸編でちょっと語られた5大魔獣。そのうちの1体がNYで出てきます!
さらにあの闇の帝王、シンに傷をつけた謎の男、レンサイ。どんな強い人間なんでしょう。
NY編では強いジジィを書きたかったのでアレキサンダーとレンサイといった、強いジジィが二人も出てきます!




